「正義はどこへ」の寝ぼけ

皇紀2670年(平成22年)9月22日

 障害者団体向け割引郵便制度悪用事件に絡んで21日、捜査主任だった大阪地方検察庁特別捜査部の前田恒彦検事が逮捕されました。概して関連報道は「正義はどこへ」などとうたっていますが、本気で警察や検察の取り調べに於いて日常的に誘導や恫喝がないと皆が思っているなら、あまりにもおめでたいと言わざるをえません。また、取り調べ官に悪態をつき続ける容疑者がいることも事実でしょう。

 そもそも関連報道の中には検察関係者からもたらされたと明記してある情報もあり、それ自体の信憑性こそ日常的に疑わしいと言いたいのです。前田検事が事件証拠のデータ改竄に関し、本年2月ごろから同僚とトラブルになっていたという情報もその一つであり、大阪地検検事正や次席検事が改竄を容認していたという情報に至っては事実に反しているだろうと私は思っています。

 最も私が疑問を抱くのは、すでに「地検の特捜は東京だけで十分。大阪・名古屋は組織解体だ」という論調が形成され始めていることです。

 よくあることですが、前田検事は大阪地検特捜部から東京地検特捜部に移り、そこで極めて大きな疑問(政治的な狙い撃ち疑惑)を残した佐藤栄佐久前福島県知事汚職事件や守屋武昌防衛事務次官汚職収賄事件を担当して名を上げ、再び大阪に戻っています。今回の事件で特捜の在り方を論じるならば、すべてが解体的出直しの対象でなければおかしいではありませんか。

 誰が、というより何が前田検事のような捜査手法を可能にさせたかといえば、警察・検察の持っている「吐かせてなんぼ」という組織の性質(平成19年公開の日本映画『それでもボクはやってない』での警察・検察の取り調べ、裁判官の奇妙な交代劇は事実の一例)もありましょうが、むしろ約2年間の東京赴任が強く影響したように思えてならないのです。

 一刻も早く「吐かせてなんぼ」から「容疑をもって逮捕し、裁判にかけることが職務である」という原則に戻って、意識をこそ改めてもらいたい。「割り屋」という隠語の存在自体が、他の省庁に置き換えればお気づきになるでしょうが、いかにも官僚主導の発想からきていて放置できません。

 郵便制度悪用事件について言えば、確かに村木厚子元厚生労働省雇用均等・児童家庭局長は無罪を勝ち取りました。幸運だったと言えるほど名誉を回復し、厚生労働省大臣官房付として復職できましたが、ならばそれでも局内の虚偽公文書作成・行使に気づかなかった無能な官僚であることに変わりはありません。復職を適当とした長妻昭前厚労相の判断は決して見過ごせないのです。

 <長妻前厚労相で思い出しましたが、この人が引きずり下ろされ、部下のいない首相補佐官に(なぜか未だ国民人気の高い長妻氏に限って申せば)左遷が決まったのは、渡辺芳樹元社会保険庁長官が駐瑞国(スウェーデン)大使に充てられた時だったのでしょう。だから菅内閣は仙谷由人内閣なのですよ。>

 本件で特捜は確かに下手を打ちましたが、ここまでいかずとも大なり小なり誘導・恫喝をやられて検察と対峙することすらできないで終わる人はいます。村木元局長はうまくやれたということであって、係る「民主党潰し」疑惑とその目論み失敗疑惑はまた別に論じねばならないでしょう。今回の党代表選挙で、石井一衆議院議員が小沢一郎元幹事長を応援しなかった理由は、このあたりに絡んでくるのでしょうか。

 いずれにせよ、本当に組織として一旦解体すべきは東京地検特捜部のほうです。東京と大阪・名古屋では組織としての出自が違いますが、人事でともに水が濁り始めています。もうほとんど消費期限を過ぎて腐っているはずのGHQの置き土産といえば、日本国憲法という名の占領憲法も東京地検特捜部も日教組も皆同じなのです。

 だからと言って、大日本帝國憲法を復原すれば即問題解決などとは申しませんし、現に帝國憲法下でも妙な法律がまかり通ったこともありましたが、少なくとも私たちの国家・社会の大前提が狂いっぱなしなのは論外でしょう。占領憲法下でこそますます珍妙な法案を次から次へ可決させている、または可決させようとしていることから、ほんの小さな要因が時とともに膨れ上がり、人間の尊厳や国家の存在自体を脅かしかねません私たちも意識を改めねばならないのです。

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『「正義はどこへ」の寝ぼけ』に2件のコメント

  1. ストリートマン:

    憲法からして賞味期限どころか、前世紀の遺物、維新が看板の民主党やってみろ?????改悪に成る無理でしょう。

  2. knnjapan:

     一部では創価学会絡みではないかという噂も仄聞しますが。そもそも、この障害者を「弱者」と規定して莫迦にしたような連中の利用偽装行為は、決して凛の会だけではないでしょう。 どうしてもつけ加えておきたいのは、小林敬検事正に「どうにかなる」などと報告した大坪弘道前特捜部長(現京都地検次席検事)の管理責任を問うべきではないか、ということです。 大阪地検の「組織ぐるみ」を言いますが、特捜部は決して大阪地検の全体ではありません。組織としての責任は特捜部にあり、組織の長であるだけに「被害者」とまでは言えませんが(限りなく被害者に近いと私は思っている)小林検事正、或いは大阪地検それ自体に問題があるかの報道は、どうも変なほうへ誘導している気がします。