駐露大使に菅首相が激怒?

皇紀2670年(平成22年)12月25日

菅内閣は河野雅治駐露大使を事実上更迭し、後任に原田親仁駐捷(チェコ)大使を当てることが分かりました。その背景を毎日新聞社が記事にしています。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101224k0000m010106000c.html
▲毎日新聞:駐露大使更迭 私はロシアに詳しくない…首相、怒り爆発

私の知る限り、これは事実と違っているのではないでしょうか。駐露大使館は、ドミートリー・メドヴェージェフ大統領が11月1日、北海道国後島に上陸してしまう直前まで、露政府幹部の誰もが北方領土訪問を否定しないので、本当に「不法」上陸されてしまう可能性を外務省に送り続けていたはずです。

10月28日の河野大使の定例記者会見では、確かに上陸の可能性に言及していませんが、先日も申しましたように、現在進行中の事案について当事者やその関係者が公に事実を認めることはほぼせず、ともすれば菅直人首相に外務省が情報を上げていなかったのかもしれません。

先述のように、外務省は情報を持っていましたから、この様子ですと前原誠司外相にさえ情報が上がらなかったか、或いは前原外相自身が北方領土問題に事前対応など出来ない、すれば内閣が飛んでしまうと判断して知らぬふりを決めたか、はたまた河野大使に上陸の可能性を事前に公表させないようにしたか、というところでしょうか。上記記事にある官邸での話し合いに前原外相が呼び出されていないのは不可解です。

仮にも外務省が首相官邸に情報を上げなかったとすれば、その理由も菅内閣の能力では対応出来ないと踏んだために違いありません。民主党が胸を張ってきた「政治主導」の機能不全とも言えますが、事実ならば官僚のこの判断は(実際対応能力がないという判断に間違いはありませんが)決して正しくはないのです。

しかし、菅首相が激怒して仙谷由人内閣官房長官がなだめたという話には、やはり釈然としないものがあり、大使館はこれまで通りの仕事をしてきたにも関わらず、むしろ露国の態度を豹変させたのは、菅内閣の米国や中共に屈してまでも自国の領土(沖縄県石垣市尖閣諸島)を危うくした態度こそが原因ではありませんか。

この記事は、河野大使の「私はあまり露国に詳しくない」と言ったような、或る種の日本外交・日本国大使館そのものにつきまとってきた「まことしやかなお話し」ではありますが、ならば菅内閣は大使館を政治工作機関として機能させることが出来るのか、それを示してくれませんと、外務省にせよ、政治の失敗で自分たちだけが叱られるばかりでは仕事になりません。

伯国(ブラジル)のジルマ・バナ・ルセフ新大統領就任式典に、鳩山由紀夫前首相ではなく麻生太郎元首相を特派大使として派遣することに決めた菅内閣は、まさしく自党の外交能力のなさ、或いは野党に華を持たせねばならない国会運営の行き詰まりを露呈させたようなものです。

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