MMT当てはまる唯一の国

皇紀2679年(令和元年)11月16日

「MMT」名付け親 “麻生氏の発言はナンセンス”

 日本のように自国通貨で国債を発行できる国は借金の残高にこだわる必要はないという、MMT(現代貨幣理論)の名付け親が来日し、麻生財務大臣の発言を「ナンセンスだ」と指摘しました…

(テロ朝news)

 先月の東京講演会(日本の心を学ぶ会のほう)の懇親会で、参加された方から「MMTについてどうお考えですか」とのお尋ねがあり、私は最初「MMT」という略称にピンとこなかったのですが、現代貨幣理論と聞いて思わずわが国の財務省が目指す前提から力説してしまい、途中で別の方が私の隣に来られて話しかけられましたので結論まで申し上げられませんでした。その方というのは、実は田母神俊雄元航空幕僚長だったのですが(もちろん有意義な対話を楽しませていただきました)。

 本日は結論から申します。この理論は或る意味正しく、しかしながら最大の欠点は、究極的に申せばわが国だけ(独国も?)にしか当てはまらないことです。他国の財政状況を全て説明しうる理論ではありません。

 よって財務省はこれを決して認めないのです。いわゆる「間違った理論」として片づけてしまいたいでしょう。麻生太郎副首相兼財務相の発言からも、財務官僚が大臣にどうレクチャーしたかが伺い知れます。

 英連邦豪州ニューカッスル大学のビル・ミッチェル教授の発言にある通り、これは概念であって政策ではありません。この理論のいう状況を再現できる国は、ほとんどないでしょう。この理論を「政策」と勘違いして、例えば韓国が「そうか、政府の借金にこだわらなくてもいいんだ」なんて実行に移せば、たちまち韓国そのものが破綻します。

 いかに消費税率の引き上げが不必要な「消費に対する懲罰課税」になっているか、内需回復(景気回復)をこそ目指さねばならないわが国が真剣に考え、税制を改めなければならないのです。

【追記】
 現代貨幣理論によって分析しうる国家の大前提として、国際決済通貨(自国発行基軸通貨)で国債を発行できること、というのがあります。

 そうしますと日米のみがこの理論に当てはまると申せますが、私がなぜ欧州連合(EU)のユーロ建てである独国を仮に入れたかと申しますと、先進国で日独のみが非完全複式簿記(完全な単式簿記でもない)の国なのです。

 この裏には、二度の世界大戦で国家財産を根こそぎ持ち去られた独国と、たった一度ではあるが世界大戦で同じ目に遭ったわが国が「政府の隠し財産」を保有するために敢えて全て複式にしないという考察が成り立ちます。

 このことからも、独国がEU内で「何としても頂点に立ちたい」と他国からの「第四帝国」とまでの批判を浴びてなおイニシアティヴをとり続けてきた背景には、一見「無借金予算案」で注目を集めた独国のしたたかな戦略があると申せましょう。潜在的には、独国も(結果的に)現代貨幣理論に当てはまるよう国家財政を運営してきたきらいがあるのです。

 よっていざという時に実は弱い米国よりも、独国が、わが国とともにこの理論に当てはまりうる国ではないかという仮定の提起をしておきました。

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『MMT当てはまる唯一の国』に5件のコメント

  1. やす:

    現代貨幣理論は自国通貨建てができる我が国だからできるというのはその通りだと私も思いますし、特に経済評論家の三橋氏が以前から盛んに力説していましたね
    概念であって政策ではないという遠藤さんのご指摘もごもっともですが、私は政策として積極財政の名のもとに現代貨幣理論を利用してほしいと思ってまして、もしやれば我が国のデフレが解消するのは間違いないですし消費税も必要なくなります
    時代劇に騙されがちですが、江戸時代までの我が国は幕府が通貨を発行していたので、私達が考えるより民達は裕福だったと言われていますし、まさに現代貨幣理論と同じようなことを幕府はしていたと言えるのではないですかね
    ただこれによって半永久的に我が国が経済的に豊かになって幸せになれるかというと疑問ですし、あくまで経済は国民の生命と財産を守る一つの手段にすぎず、かえってそれが毒になることもあると私は思ってまして私達は経済に重きを置きすぎてお金の奴隷に成り下がっているのではないかとさえ思うんですよね
    結局現代貨幣理論の根本にあるのは信用創造だけど、ドルや円の価値を決める明確な基準って実はなく、価値のあるものだと信じ込まされているだけだとも言えるのではないでしょうか
    極端な事かもしれませんが、私はかつてのようにお米で給与が支払われていた時代を復活させて、農耕民族としての我が国本来の姿に戻るべきだと考えています
    通貨も大事だと思いますが、あまりにもそれに縛られすぎて本当に価値のあるものを特に明治以降我が国は見失ってきたのではないでしょうか
    現代貨幣理論は今すぐにでも実行してほしいと思ってますが、結局これもマルクス主義と同じであり、本当の意味で私達を幸せにするものではないということを考えることも大事ではないかと私は思います

  2. 織田信中:

    いつも楽しく拝読しております。日本の税金の大半は、明治以降ロスチャイルドに上納することになってると思います。当然、密約がありヘブライ語で書かれていると思われます。その為財務省には法学部卒業が事務方になっていると思います。
    高橋洋〇さんの主張は目くらましで、財務省からの工作員でしょう。
    以上、わたしの妄想です。

  3. TATSURO:

    先生の言われるように日本がMMTが効く国となっているのは幸運なことと思います。
    MMTは主流経済学の足元を脅かすので恣意的に酷い仕打ちを受けていると思うが、今後、多くの政治家、評論家、マスコミ、国民がMMTの本質を知れば流れを変えられるでしょう。財務省と主流経済学者だけは救いようがないですが。
    たまたま今日11月18日の三橋ブログにMMTが有効になる条件が書かれていました。
    以下引用:
    MMTがフルに有効となるのは、日本やアメリカのような主権通貨国、つまりは独自通貨国でかつ変動相場制の国になります。
     厳密には、わたくしは上記二「供給能力がそれなりに有る」という条件を付け加えるべきだと思いますが、いずれにせよユーロ加盟国は全滅です。
     イギリスはどうでしょう? イギリスは、主権通貨国ではありますが、「EU」という国際協定に加入したままで、財政ルールに違反をすると、「過剰財政赤字是正」の措置を取られます。
     つまりは、完全なる主権問題である「財政」に、EUの官僚たちが嘴を突っ込んでくるのです。EUのルールでは、過剰財政赤字を是正するために、各国の財政をEUの監視下に置けることになっています。
     というわけで、EU離脱前のイギリスは、とりあえずはMMTはフルに成り立たないように思えます。離脱後は、別ですが。
    ・・・引用終わり

  4. 鼠三等兵:

    韓国に当てはまらないのは、何故か、自国通貨建て国債が発行できないからですかね。ドイツは、ユーロ建て国債のため、自国通貨建て国債を発行できず、MMT適用外と考えられます。三橋貴明氏・青木泰樹氏によれば、MMTの全項目が当てはまるのは、米国と日本のみとのことです。三橋貴明氏によれば、供給能力がそれなりにある、というのもMMT適用に必要な条件とのことです。ある程度の生産力が自国通貨建て国債が発行できない国があるのは何故か、ご存じでしたらご教示ください。個人的には、どの国でも自国通貨建て国債が発行できると妄想しておりまして、そうすれば、どの国でも経済的な繁栄が永続させられると空想しています。世界の支配者層(BIS)が、資源制約やエネルギー制約をふまえて、自国通貨建て国債発行できる国を選別しているのでしょうか。

  5. js:

    MMTのプラス面だけ強調した一部の勢力の意見ばかり引用されてて少し不安
    発想の基本は現在のドル建て経済に穴をあけるためのもので、経済が滑らかに動く前に極端な貧富の差が発生することが確実視されています
    もちろん米との関係も懸念されることで、なぜこのタイミングで中国をアシストするような理論を広めるのか、もう少し考える必要があるでしょう
    これを強力に推す藤井氏や三橋氏は単純な反米思想の持ち主、そして山本太郎氏推しで、私は信頼できないなあ
    もちろん理論的な準備は進めておくべきでしょうが