著作権法改悪と国家の腐敗
安倍政権がまたまた取り組む「法の改悪案件」が著作権法改正案です。これは朝日新聞社記事の通り、権利者の許可なくインターネットにアップされたと知りながら漫画や動画、画像、論文などをダウンロードすることを違法とするものですが、そもそも最初に挙げた漫画の業界から出てきた案件で、悪質な海賊版サイトの取り締まりが目的でした。
しかし、これを「改悪」と断ったのは、自民党文部科学部会と知的財産戦略調査会が日本漫画家協会らからの陳情を踏み越えて、違法サイトだけでなくダウンロードした人までもを処罰の対象にするといい出したからです。個人の心情レヴェルでは結構でしょうが、法はそれでは運用できません。いえ、してはなりません。
残念ながらわが国の現行法の中には、既に無効にすべきおかしな運用の根源になっている法が少なからずあり、その最たるものが現行憲法(占領憲法)なのですが、本改正案の致命的問題点は、ダウンロードの定義の曖昧さにあります。キャッシュもダウンロードに当たるような運用をするなら、もはや著作権法がそのままインターネット禁止法に姿を変えてしまう改正案です。
さらに「違法と知りながら」にも到底無理があり、悪質なサイトが「公式」を巧妙に装った場合でも、ダウンロードする側の「私たちが『本当に公式か否か』をいちいちチェックしたか否か」を警察が取り調べで私たちに自白させ、その曖昧さを放置しながら自白調書に基づいて「チェックしていたに違いない」と裁判所が判断して有罪にしていくというなら、下手をすれば司法権力が国民の半数以上を犯罪者に仕立て上げることも可能になるのです。
司法権力にとって気に入らない人を逮捕し、気にならない人は逮捕を免れるという法の運用は、絶対に許されません。現状でもこれが散見される(法の不公正・不公平)がゆえに、それを是正すべき立法権力(国会)がこのような改正案を認め始めますと、出鱈目な予算編成と相まって国家が崩壊するのです。
これは大袈裟でも何でもありません。法と予算が立法の責務の範囲であり、この怠慢や不作為が行政と司法を堕落させ、国民ごと国家が腐敗していくのです。占領憲法下で、この腐敗はもう進行しています。
自民党は分かっているのでしょうか? ことほど左様に悪質な改正案に異議一つ唱えなかった議員は、次の選挙で落選しなさい。しっかり異議を唱えた議員は、その旨をインターネットででも主張したほうがよいでしょう。
【追記】 安倍晋三首相が「これはさすがにまずい」と思ったようで、ダウンロード側の処罰に関する項目を改正案から削除させたと伝えられましたが、菅義偉官房長官がこれを否定しています。この混乱ぶりからして、恐らく今国会への提出は見送られるでしょう。
皇紀2679年(平成31年)3月8日 3:58 PM
安倍晋三首相の「鶴の一声」で、当該項目は削除されたそうです。
まずは一安心ですね。
☆なぜ自民は了承したのか 首相の「鶴の一声」で違法DL項目削除へ
(産経)2019.3.8 08:26
http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/190308/plt19030808260005-n1.html