タイの今後…大混乱の行方

皇紀2676年(平成28年)10月14日

 ※ 本日配信予定だった記事を明日に差し替えます。ご理解いただき、何卒明日もご期待ください。

 http://www.bangkokpost.com/news/general/1109581/……
 ▲バンコク・ポスト(英語):HM the King passes away

 タイ王国(泰王国)のラーマ九世プーミポンアドゥンラヤデート国王陛下が十三日午後三時五十二分、シリラート病院(バンコク都バンコク・ノーイ区)にて、御崩御になりました。すべての泰国民に、衷心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 泰王室は、直ちにワチラーロンコーン王太子に王位を継承し、チャクリー朝(ラッタナーコーシン朝)ラーマ十世に御即位になる予定です。暫定軍政のプラユット・チャンオーチャー首相が発表しました。

 十日記事前段で申した医師団による声明発表の段階で、実はかなり危ない状態だったことが分かっており、誠に恐縮ながら、続く「もしも」が一両日中のこととして想定されました。

 この発表があってすぐ、泰駐在日本人の中には、例えばバンコク都内の日本食材専門と申してよいUFMフジスーパー(ワッタナー区)へ買いだめに走った人もいたほど、経済活動の停滞を心配する声があり、悪政浄化(泰国のクーデター)騒動にすら「どうせ官公庁が集中するドゥシッ区だけでやってるんでしょ」と笑ってきた多くの国民も、今回ばかりは、長寿を祈る色とされる桃色国王の御誕生色である黄色のシャツを着てシリラート病院前に集まっていたのです。

 問題は、これからです。下手をすれば「泰王国」の存続自体が危うくなりかねません。

 詳細は、こちらの動画または記事をご参照願うとして、まずわが国の報道各社も指摘している通り一年間にも及ぶ服喪期間のうちに国民の活動が鈍り、各社製造工場の稼働がままならなくなる可能性があります。この国民感情を無視して生産を優先させると、かつても起きた日本企業に対する反動が再発しかねません。

 また、政情不安がさらに深刻化するという指摘もその通りです。国王とともに影響力を行使してきたプレーム・ティンスーラーノン枢密院議長(元首相)も高齢で、民政移行すらリードできないできた経緯もあり、中共共産党の協力者がいるタクシン元首相一派(シャツ軍団)がたくらむ立憲君主国崩壊のシナリオが一気に書き進められてしまうかもしれません。

 或いは、シリントーン王女を担いで国難を逃れようと考える勢力が出てきても不思議はなく、王室の存続をかけた血で血を洗う政争が始まることになります。

 泰国は大東亜戦争中、同盟を組むとした大日本帝國が勝利した場合と敗北した場合の二通りの国家存続策を打ったよく申せば「したたか」、悪く申せば「事大主義」の国民性を隠しません。そうやって亜州に於いて、わが国と泰国のみが西欧列強の植民地支配から逃れた「意外な国」です。

 よって私は、中共の破壊工作は失敗すると考えています。現チャクリー朝誕生に際しても、実は先代のタークシン王は気がふれてのちのラーマ一世に殺されたのではなく、気がふれたということにして禅譲したのが真実です。泰国民は、防共政策の一環だった汎泰主義によって多民族が統一されたもので、どのようなアクロバティックなすり抜け方をしてでも「泰王国」を守り抜くでしょう。

 私たち日本民族は、しばらくかかる泰国の大混乱から多くを学ぶことになります。この混乱を悪用した「生前退位という不敬」を手前勝手に進めようとする自称・有識者に、決して騙されてはなりません。

 日本と泰国は、時代の流れの中で再び、自主独立を維持できるか否かが試されるのです。むしろ現行憲法(占領憲法)下のわが国私たちのほうが泰国民より危険な状態に置かれていると申せるかもしれません。

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『タイの今後…大混乱の行方』に1件のコメント

  1. 心配性:

    国民から深く敬愛された国王陛下を失ったタイ国民の哀しみと動揺は、どれほど大きなものでしょう。
    心からお悔やみを申し上げるとともに、タイ社会の安寧を願わずにはいられません。

    >この混乱を悪用した「生前退位という不敬」を手前勝手に進めようとする自称・有識者に、決して騙されてはなりません。

    これに関しては、海外メディアの「天皇vs安倍」という報道にはお腹いっぱいになりました。
    先日紹介したアルジャジーラの報道も変てこでしたが、中韓含め世界中の報道が、似たり寄ったりの「金太郎飴」状態だったようです。
    なぜ一斉に「金太郎飴」になるのかは、知りません。

    また、「皇太子殿下に対する批判は中共の陰謀」というご意見もありますが、中国メディアの報道を見る限り、中共は、一応皇太子ご夫妻を支持し、好意的に扱っているという気がします。
    「日本の天皇は右翼の安倍総理と違い平和主義者」「息子の皇太子もリベラルな護憲派」、基本的にこういった論調ですし、雅子妃殿下が久しぶりにオランダを訪問された時も、新華社や人民日報系のメディアが、比較的好意的に、それなりに敬意を以て紹介していたと記憶しています。

    韓国メディアも一応「明仁日王と王太子は護憲派」といった認識のようです。(「日王呼ばわりだけはやめろ!!」と思いますが・・・)

    旧民主党政権時代「女性宮家」が話題になりましたが、当時「朝鮮日報」の日本語版などは、「天皇も病気がちで男子の少ない日本の皇室だが、ついに皇室典範が改正され、女性天皇が誕生するかも知れない」といった、妙な期待に胸を膨らませたような報道を行っていました。
    いつものように「日王・・・日王・・・」といった不敬表現の連発や、頓珍漢な「天皇韓国起源説」は無かったと思います。

    一方欧米メディアは、「男尊女卑に苦しみ、男子を産めと折檻され、遂には鬱病になられた雅子妃」といった同情報道がやたら多いように思いました。
    皇太子ご夫妻を‶男尊女卑的守旧派と戦う勇敢な改革派”と見做している、或は見做したいようです。

    AFPなどは数年前、「日本の皇室は、イギリス王室程国民に開かれていない。皇族たちは神秘のベールの向こう側で、数多の(形骸化した)煩雑な儀式に明け暮れている。その上、(女帝を認めていないので)愛子様が天皇になる事もできない。秋篠宮は、息子を庶民的なお茶の水へ通わせ、娘をキリスト教系の大学に通わせているが、皇室の近代化はまだまだだ・・・云々」といった、欧米的上から目線で報じていました。(何様でしょうか?)

    私などは、皇室の在り方を巡っては、欧米や中韓など世界からどう思われるか?とか、よく思われたいとか、「海外の目線」を気にし過ぎる必要はないのでは?と感じますけれど。