川勝知事が辞めるにはワケが
政治家というのは、必ずしも貧しい暮らしを経験した者がなるものではありません。大切なのは、あらゆる境遇の国民を想像し、それを立法に反映しようとするか否か、ということです。反映すべきこととそうでないことを分別するのもまた、政治家の務めでしょう。
ここで何度も申してきましたように、今日の少子化を招いた原因は、団塊世代に団塊ジュニア世代が誕生した通り「放っておいても団塊ジュニア・ジュニアが誕生する」と高をくくり、平成に入って経済政策が大失敗に始まったまま歴代政権(竹下・宮澤・細川・羽田・村山政権など)も旧大蔵省(財務省)も放置したことです。
団塊ジュニアの受験戦争と就職氷河期は、約束されていた努力の対価がいざとなると全く得られない「政府が国民にやらかした詐欺」のようなものでした。小津安二郎監督の映画『大学は出たけれど』(昭和四年・松竹 当時の不況で就職できない人びとを描いた小津映画初期の作品)ではありませんが、名だたる大学の学生たちが五十社、百社と受けて一つも内定をもらえないのが当たり前だったのです。
それを(ご自身は違うようなので)想像できない程度の政治家がことほど左様に山といるから立法も行政も少子化対策に失敗し続けているのであり、わが国とわが民族の将来を真剣に考えようともしない国会議員は、政治家として恥を知らねばなりません。
その恥ずべき典型が静岡県の川勝平太知事です。この愚か者が暴言を吐き散らしてきたのは、今に始まったことではありません。その発言の奥に常にあったのは、「私は早稲田大学教授から知事になった」という一種の利己的選民意識です。
これは、失言ではありません。これこそが川勝氏の本性なのです。
川勝氏は二日、県庁で記者団に「讀賣新聞社報道のせい」「発言を切り取られた」などと言い訳しましたが、公開された訓示の動画(無編集版を参照)で、そっくりそのまま述べています。例えば麻生太郎元首相の「ナチスのように憲法改正すればいい」報道のような、実際には「あれはいかん」と述べた部分を切り落とした悪意の賜物でもなんでもありません。
川勝氏がこの期に及んで六月の定例県議会後の辞任を明言したのは、東海旅客鉄道(JR東海)が「リニア中央新幹線(通称)」の当初開業目標の断念(讀賣新聞社記事を参照)を三月二十九日に明言したからです。つまり、川勝氏が妨害工作の目標を達成したのでもう辞める、と。
川勝氏が任期途中の辞任を言い放ち、記者団を無視してそそくさと部屋から出て行ったのは、本性をもって述べたことに関する見下げ果てた言い訳だけを述べ、辞任理由の詳細を突っ込まれたくなかったからでしょう。まさか「中共サマのために憎きJR右翼のリニアモーターカーを潰して役目は終わった」とは言えませんから。
中央新幹線の着工妨害のために持ち出した「似非科学」のネタもことごとく嘘がバレて尽きていましたし、早稲田大学教授時代の性加害報道を大きく出されて失職するくらいなら「今のうちに辞めてしまえ」ということでしょう。
ただ、川勝氏は、中共工作員の協力者程度にすぎないでしょうから、中共・共産党の直接指示を受けた工作員が「まだ駄目だ」と言い出せば、辞任の意向を撤回するかもしれません。今後しばらくは、注視が必要です。
このろくでもない「妨害知事」を叩き出すべくこれまで少なからず動いてきましたが、こうもあっさりと本人が「辞める」というからには、まだまだ油断ならないのです。