責め処を間違う「反安倍」

皇紀2680年(令和2年)5月23日

治療薬アビガン、有効性示せず 月内承認への「前のめり」指摘

 新型コロナウイルス感染症の治療薬候補アビガンを巡り、国の承認審査にデータを活用できると期待された臨床研究で、明確な有効性が示されていないことが19日、分かった。複数の関係者が共同通信に明らかにした。感染した著名人がアビガンの投与後に回復したと公表し、安倍晋三首相は「5月中の承認を目指す」とするが、現時点で薬として十分な科学的根拠が得られていない…

(東京新聞|中日新聞社)

5月中のアビガン承認は困難か、藤田医大は臨床試験を継続

新型コロナウイルス感染症治療薬としての承認に注目が集まる「アビガン」を巡り、臨床研究を進めている藤田医科大学の土井洋平教授は19日、ブルームバーグの取材に対し、時間が限られており5月中の承認は難しいとの認識を示した…

(Bloomberg)

 まず、ブルームバーグの記事は、一度訂正が入りました。どこかと申しますと、安倍晋三首相が富士フイルム富山化学が開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」(一般名=ファビピラビル)の五月中の薬事承認を目指すと発言したことについて、藤田医科大学の土井洋平教授が「臨床研究がまだ終わっていないため、何を根拠にしたのかが分からない」とコメントしたとの記述が、単に「詳細はわからない」というそっけないものに直されたのです。

 ご本人からの訂正要求だったか、或いは社として取材内容を見直した結果かは存じませんが、実は根拠は明確だったからでしょう。それを土井教授も恐らく政府から聞かされていて、前の記事では「そんなことも知らないのかという話になる。直してくれ」ということではなかったかと思われます。

 安倍首相が本当は先にアビガンを承認させたかったのは、わが国から諸外国へ備蓄分のアビガンを提供した際、以前にも申しましたが各国から臨床報告を受けていました。中には提供されるだけして、わが国に何のフィードバックもしなかった「恩知らずな国」もありましたが、タイ(泰王国)などからぞくぞくと効果が認められる旨の報告があったのです。

 「反安倍」の地方紙には、以前にも指摘した副作用(催奇形性)があたかも承認すべきでない理由のように書かれていますが、これは抗インフルエンザ薬として備蓄された時から当然分かっていたことで、使用できる患者とそうでない患者の注意は、どの薬にもあります。

 むしろ政府は、米ギリアド・サイエンシズが開発した抗エボラ出血熱薬「レムデシビル」のほうが臨床報告が思わしくなく、しかも副作用が肝機能障害や腎機能障害など数多あり、死亡例も多数報告されていたことから、わが国での特例承認は本来望ましくありませんでした。

 こう述べますと、九日記事のコメント欄に頂戴したようなご意見を再び賜るかもしれませんが、臨床試験から治験の手続きにも入っていなかった段階でアビガンの承認を安倍首相が急ごうとしたのは、前述の通り海外提供の見返りとして受け取った臨床報告をもって「特例」で承認するというものだったのです。

 ところが、富士フイルム富山化学がいわば「何も政治工作をしていない会社」だったことと、アビガンが比較的安価であることから、厚生労働省自民党厚労族議員の「製薬利権」から弾かれました。

 「反安倍」がそのまま「反自民」であるなら、霞が関の利権を批判したいというのなら、安倍首相がアビガンの承認を急いだことを揶揄するのはとんだ筋違いです。国産薬の承認が後回しにされたことをこそ批判すべきでした。

 しまった。「反安倍」は何より「反日本」でした。国産薬の活躍なんぞ目にしたくなかったから中傷したわけですね。

 武漢肺炎ウイルス(新型コロナウイルス)のせいで首相官邸も機能不全なら、報道各社もことのほか酷いと申しますか、荒いですね。インチキ混雑映像にインチキ円グラフ……官邸批判の資格すらない連中です。

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『責め処を間違う「反安倍」』に6件のコメント

  1. 心配性@我は蛮夷なり:

    関係者自らが「マスコミの報道によって誤解が生じた」として、偏向報道に対して釘を刺しているにも関わらず、偏向した「アビガン叩き」に興じる日本のマスコミの姿勢は異常です。
    このご時世、「人命」がかかっているのですから、もう少し真面目にやって欲しいです。

    日本で使える薬が、使い勝手が悪く、肝機能障害や腎機能障害を引き起こし、死者まで出しているアメリカ製のレムデシビルだけになったら最悪です。

  2. 早起き鳥:

    札幌医科大学医学部 附属フロンティア医学研究所 ゲノム医科学部門の各国の人口比死者数グラフは興味深いです。
    で、これと各国の政権支持率の対応をやはりグラフに出来ないかと考えています。
    日本だけ支持率が下に突出して、明らかに異常になると思います。
    日本の報道機関の明らかな異常性がある程度客観的に明らかになるのではないでしょうか。

  3. js:

    マスコミをたたくのは筋違いじゃないですか?
    もちろんマスコミは悪い、しかし各国はそのことを織り込んで、例えばトランプはSNSを主なツールとして誤解の少ない発信を心掛けているわけではないですか。マスコミなんてどの国だってろくなもんではないですよ
    日本政府は電波法などでできることも全部先送りし、そのくせネットの活用も腰が引けたまま。結局できることをやらないだけの話
    首相の仕事は科学的に妥当なことを粛々とこなすことではなく、それを超える力強いメッセージを国民に直接届けることです。私は発信力の乏しさを首相の着実な性格と最初は好意的に見ていましたが、本当は明確に述べ得ることをできてないとみなすようになりました

  4. 遠藤 健太郎:

     コロナ禍で放送局など報道も体制自体が手薄になり始めています。そのことに少し言及したかっただけで、このような報道社と連携する活動家や政治家のこともありますから、たまには書かせてほしいです。それが筋違いということであれば、もうこのブログを続けていくのはしんどいです。辞めることを考えます。

  5. js:

    ああ、すみません
    私は上のコメントに対して言ったのであって、遠藤さんの記事に対してではありません
    遠藤さんの立場であるならメディア批判はあってしかるべきです
    ただ、ここでコメントを書く人のメディア批判は負け犬の遠吠えにしかならないことを、私自身も含めて、用心しています。単なる憂さ晴らしに終わっていまいかと
    こういうブログへのコメントと、実際の政治活動は別次元のものであると考えています。わかりにくい書き方で申し訳ありません

  6. js:

    補足:先ごろレスラーと言われる人がなくなり、官房長官はSNSの責任のみを言い、メディアを責めませんでした
    政府はいざとなったらネットを弾圧してでも旧メディアを残す方向へ来るのだと思います。それは要するに、メディアは政府の悪口ばかりを言っているようだが、実のところ国会における野党と同じで、本当に都合の悪い存在ではない
    政府の本当の敵はネットなのであろう。だから遠藤さんには発信を続けていただきたいし、(ここでは)コメントを書くだけの人間は、もう一段別の発想による戦いが必要なのだろう、と、そういう考えです