香港の混乱~中国権力闘争
まず、中共の香港特別行政区議会議員選挙(定数=四百五十二)が二十五日、投開票され、いわゆる「民主派」が三百八十議席以上を獲得しそうな勢いで大勝しました。投票率は、七十一%(前回四十七%)でした。
以前にも申しましたが香港の大混乱は、米国の介入もありましたが本質的には中共内部の権力闘争です。習近平国家主席体制に対する反抗であり、ともすればクーデターの可能性すら匂わせています。
それを裏付けるのは、十六日にも米国の報道各社に漏洩された(米国がもぎ取った)共産党の内部文書にあり、旧東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)で多数のウイグル族の人びとが拘束されている問題にかかる習主席体制の実態(党上層部が「全員捕まえろ」などと指示した事実)が暴露されました。
北京政府は、これを「曲解だ」と反論するのが精いっぱいで、文書の存在自体を否定できなかったのです。つまり、文書漏洩の背景と香港の混乱は繋がっていて、共に「人権問題というアプローチで習主席体制を倒す」意図を持った勢力が共産党内にいるということになります。
そもそも香港の最高裁判所の判事十七人中十五人もが外国籍であり、米国などに有利な判決が出されることへの対抗措置(いわゆる「逃亡犯条例」の改正)から始まった北京政府の闘いは、党内の権力闘争に利用されていきました。
香港の人びとは目下、十一日の日本放送協会(NHK)の報道番組で林鄭月娥行政長官の氏名の一部が「蛾(虫へん)」に誤表記されたことにすら「日本の報道は素晴らしい」と大歓声を上げ、今上陛下御即位に際して執り行われた即位礼正殿の儀で林鄭長官が「スマートフォンをいじっていた」ことにすら非難の声を上げています。もはや「息をしているだけで叩かれる中共の雌犬」に堕ちたのです。
中共の共産党が目論む太平洋支配は、既に米西海岸のカリフォルニア州やワシントン州などで着実な歩みを始めており、英連邦豪州でも上記讀賣新聞社記事にあるようなことが起きています。申すまでもなくわが国も、中共に「配慮」して政府自身がさまざまな間違い(六月十七日記事も一例)を犯してきました。私たち国民の大多数も然りです。
少なくとも習主席を国賓待遇で招いてはいけません。安倍晋三首相は、習主席の訪日を促し、天皇陛下への拝謁を許してしまいそうな現状なのですが、六四天安門事件以降の「中共の国際社会への復帰」に手を貸してしまったわが国の間違いを、もう二度と犯してはならないのです。
人びとの自由を奪い、徹底的に弾圧し、命をも奪っていく中共の共産党体制に、決して私たち日本国民が協力してはならないのです。