露大統領を山口へ招く意味

皇紀2676年(平成28年)9月4日

 http://www.sankei.com/politics/news/160903/plt160903……
 ▲産經新聞:【日露首脳会談】北方領土交渉進展への“仕掛け” 安倍晋三首相の日露首脳会談定期化提案 経済協力てこに

 露国のウラジオストクを訪問した安倍晋三首相とウラジーミル・プーチン大統領との日露首脳会談は、十二月十五日に山口県内で次の日露首脳会談が開かれると決めたことが成果でした。

 これで昨年中のプーチン大統領訪日を準備しながら、その全てを中止した露政府との交渉が一つまとまったことになります。しかも東京ではなく安倍首相の地元での開催であり、そこには大きな意味があるのです。

 つまり、外務省主導ではなくあくまで安倍・プーチン両首脳の個人的信頼を軸に諸課題を解決するというわが国側姿勢の表明であり、それを最も望んでいるのがプーチン大統領でした。

 何度でも申しますが、日露講和ができない限り大東亜戦争の終戦は未だにないのであり、日本帰属の千島列島と南樺太に関する問題が解決しない限り日露講和はないのです。

 しかし、領土問題解決への不信感は、私たち多くの国民の間に何となく広がっているでしょう。それは、条約未締結の現状で千島・南樺太の領土帰属がわが国にあることを明確にして交渉に臨まない安倍首相の姿勢からくるのと、プーチン大統領の「強さ」にわが国など簡単に押し切られるだろうという諦観からきているに違いありません。

 外国人主導の共産主義革命以来、解放後も彼らに浸食されていた財界を蹴散らしたプーチン大統領は、むしろ領土帰属を明言しない日本政府の態度をいぶかしげに見てきたでしょうし、現行憲法(占領憲法)を有効のまま放置する日本の対米従属を軽蔑し、まともに交渉できるとも思っていなかったはずです。

 一方安倍首相も日米関係を何より重視していますが、周辺事態がわが国独自のものであることを思い知らされています。特に中朝問題を睨めば、露国との講和未締結(いわば未だ交戦状態)という異常な関係を放置できないと腹を括ったはずです。

 講和交渉の中で、かつてわが国提示のいわゆる「四島返還」に落ち着くには、まず現状帰属を明確にし、択捉・国後・歯舞・色丹各島に於ける露国人の居住権問題をどう提案するかにかかっています。

 エネルギー分野の経済協力は、実は露国の弱点でもあり、わが国の優位を忘れてはなりません。どなたかのように「領土を返してもらう」などと弱腰なのは、交渉に臨む資格を有しません。

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『露大統領を山口へ招く意味』に1件のコメント

  1. 心配性:

    私は心配性ですので、北方領土の返還そのものについては楽観的ではありません。
    まだかなりの長期間を要するのでは?と思ったりします。
    また、返還後のロシア系住民をどのような資格で滞在させるべきか?「二重国籍」を認めるべきか?といった問題もあります。

    とは言え、毎日アメリカの言う事をよく聞いた結果、日本の‶親密な友好国”(?)がもっぱら米韓二国に限られたり、日本人の世界観が米中韓三カ国に限られてしまうのも問題だと思っています。

    実際日本の報道を見ても、米中韓、米中韓、米中韓・・・

    恐らく大多数の日本国民の世界観も「米中韓」を中心とした非常に狭いものになっているはずです。

    アメリカは、外交や安全保障の分野で完全にアメリカと共同歩調をとり、韓国が困った時には大枚をはたいてでも命がけで救う日本をのぞんでいるのだろうと思います。

    その一方で、「性奴隷」という言い方を欧米に広めたAP通信が、今でも「性奴隷」を連呼し続けているなど、「吉田清治の作り話」を「デマ」だと指摘する事さえ許さない様な空気が、相変らず欧米社会にはあります。
    今後アメリカなどを舞台に、確実に吹聴されるであろう「歴史問題」としては、まず「徴用工」。
    それから関東大震災(恐らく事件の性質や被害者の数などの面で、今後激しい誇張や歪曲がなされると思われます)。
    それから、最近ロサンゼルスタイムズでも報じられた、朝鮮人の北朝鮮への「帰還事業」です。
    後者については、朝鮮日報などの保守紙もだいぶ前から「朝鮮人を邪魔に思った日本政府の犯罪的行為」と批判していましたから、今後「朝日新聞」等の左派も‶しれっ”とした顔で批判を展開するかも知れません。

    というわけですので、日本人の世界観が米中韓の三カ国に限定された場合、「換気口」の無い、かなり濃密で息苦しい、窒息寸前の人間関係になってしまう事は確かですね。
    北方領土とは全然関係の無い話になってしまいましたけれど。