減反廃止…自民農政の終焉

皇紀2673年(平成25年)11月7日

※ 本日配信予定の記事を変更してお届けしました。中共山西省で起きた爆発事件に関する情報は、明日配信します。 

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/131106/biz131106……
 ▲産經新聞:政府 減反廃止 自民に提示 コメ政策50年ぶり大転換

 政府は六日、昭和四十五年に始まった生産調整(減反)を五年後の平成三十年度を目途に廃止する案を自民党に提示しました。これで、米の生産量を絞って価格を維持し、減反の参加農家に定額補助金を支払うというわが国の農政は、約五十年ぶりの大転換を迎えます。

 この一報が入った時、私は、これまで真正保守政策研究所として提言してきた「減反廃止案」が政府に受け入れられたことを純粋に喜びました。もちろん、私たち以外にも同様に何年も訴えてきた方がいましたから、いわば束になってかかれば利権化した自民党農政の間違いを正すことも出来るわけです。

 四日の講演でも私は、米の減反をやめることが安倍晋三首相の進める経済政策(成長戦略)に必要な決断だと申しました。わが国の農業を弱体化し、国土に休耕田や耕作放棄地を増やして、補助金で農家の生産意欲を削いだのが、かつての自民党と農林水産省だったのです。

 環太平洋経済連携協定(TPP)の参加交渉を巡る議論でも、例えば楽天の三木谷浩史会長は、農家を弱者と規定し、そのような存在は保護しなくてもよいという意見を披露していましたが、米国の参加意図が弱い産業の保護であるのに対して目標を失い、そもそもわが国の農業について、生産を外国に譲ってもよい程度と決めつける姿勢に、産業競争力会議の成長展望のなさが露呈していました。

 一方、産經新聞社の記事からも漂ってくるように、政府はTPPの参加をもはや前提にし始めています。また、いわゆる「農協票」の著しい減少もあって、議員介入の調整をやめ易くなったともいえるのですが、きっかけが何であっても、安倍首相はむしろこれを大いに利用し、食糧政策の大転換を図り、わが国農産品の輸出戦略をも具体的に示すべきです。

 何度も申しますが、安倍内閣で進められている「クール・ジャパン戦略」は、未だ言葉だけで中身は殆ど伴っていません。各国での知的財産権に関する手続きを政府が主導することや、次世代の参入障壁をなくす耕作地取得制度などを検討して初めてクール・ジャパン「戦略」なのです。

 ただ、減反廃止をTPP参加の言い訳にしてもらいたくありません。TPPの参加交渉議論をきっかけに、わが国の農業が強くなれる(強くしなければならない)ことに気づいたのは結構ですが、そのこととTPPとは何の関係もないのです。

 米の生産・価格調整をやめるのですから、わが国の農家が自力で儲けられるよう、諸外国に高品質な日本米を売り出すのが政府の新しい任務になりました。この問題は、まだ最初の一歩を踏み出しただけです。ここからが勝負です。

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『減反廃止…自民農政の終焉』に5件のコメント

  1. *:

    考えてみれば、「減反すれば、お金がもらえる!」ってのは、おかしい。

    日本人らしくない。

    正直者が損をする社会から脱却しなくては・・・。

  2. 篠の目:

    はばかりながら「同感」です。

    「おっ、快挙だ!」と率直に思うと同時に、
    TPP参加という文脈でしか、やれなかったのかな~と想像し、
    「政治とは恐ろしく難しいものだな」などと思いめぐらしている次第です。

    なぜまっすぐなことがまっすぐに通らないのかと・・・

  3. ゆき:

    今月「そこまで言って委員会」でANA出身の航空評論家の話を聞き驚きました。トヨタの代わりに航空機を日本は買わされている。官僚主導で地方自治体に不要な空港を作らせ、買った飛行機を飛ばさせる。トヨタを売る見返りに不要なものを作ってきた。TPPに入ったのもトヨタが主眼のように思う。その犠牲にコメなどの農産物がなることを官僚は何とも思っていないだろう。コメも飛行機のようなものだ。米国とは密約が多すぎる。また欧州は農薬などの規制が厳しい。日本は諸外国より農薬を数倍多く使用していると言う。農産物の輸出はむつかしいと有機農家が言っていたことを思いだす。

  4. sora:

    はじめまして。
    秘密法案が今日決議されますね。
    この大きな事をどうして取り上げて下さらなかったのですか。

  5. 遠藤健太郎:

     http://endokentaro.shinhoshu.com/japan/post3094/
     ▲十月十五日記事「特定秘密保護法案の問題」

     こちらをご参照ください。