パチンコ屋に訴えられた市

皇紀2673年(平成25年)7月22日

 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013071900913
 ▲時事通信:パチンコ出店阻止は違法=国分寺市に3億円賠償命令-東京地裁

 静岡県のパチンコ店経営会社「浜友観光」(浜松市)などが東京都国分寺市に対し、JR国分寺駅前へのパチンコ店出店を阻止するため、隣接地に市立図書館分館を設置したのは違法として、約十四億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が十九日、東京地方裁判所であり、志田原信三裁判長は「社会的相当性を逸脱する行為で違法」として、同市に約三億三千四百万円の支払いを命じました。

 国分寺市が目指したのは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)を活用して駅周辺の環境を可能な限り改善することであり、市議会が七年前に分館設置のための条例改正案を可決、市が顧問弁護士らと相談し、法的に問題のない措置と考えていたことです。

 ところが、東京地裁の志田原裁判長はこれを違法と判断しました。それは、もともとパチンコ店の出店が法的に可能だった地域を、あとから市が不可能な地域に指定することでこれを妨害し、営業上の権利を侵害したという理由です。

 昭和五十三年五月二十六日の最高裁判所判例に、山形県余目町(現・庄内町)が個室付浴場の開業を阻止すべく児童遊園の設置を申請し、県知事が認可したことは「営業の自由を含む職業選択の自由ないしは私有財産権を侵害するものであり、行政権の著しい濫用によるものとして違法」(山形地裁二審判決を支持して上告棄却)というのがあります。

 今回もこの最高裁判例を下敷きに、あくまで市が意図的に営業を妨害したか否かが問われました。パチンコにまつわる家族的、国家的諸問題の解決を求める私たち国民から見て、たとえ腑に落ちない判決でも仕方がありません。

 特に地方都市の治安維持なども視野に入れた健全な街づくりとは、主要駅周辺に公的施設を設置することで市民生活の利便性を向上させ、住宅街の環境を保全し、同時に不健全と判断される民業の侵入をあらかじめ阻止することですが、ここで必ず問題になるのが「不健全の評価」です。

 パチンコ(いわゆる「三点方式」)への賭博罪の適用が事実上免除されているような現状では、やはり正当な営業の権利を主張されてしまいますが、少なくとも風営法や各自治体による規制条例の適用対象業であることをもって、パチンコ店は「不健全」なものの一つと申せます。

 国分寺市民の皆様にお願いしたいのは、街の環境を守ろうとした市の行いに約三億円もの賠償が命じられたわけで、これが司法の判断であることを前提としても、市が目指したことを支持して立ち上がってください

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