あたご事故はシステム疲労

皇紀2673年(平成25年)6月14日

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130611/trl130611……
 ▲産經新聞:「あたご」衝突、2審も無罪 東京高裁、検察側の控訴棄却

 漁船「清徳丸」が平成二十年二月、海上自衛隊イージス艦「あたご」と衝突した事件で、東京高等裁判所は十一日、あたごの当時の当直責任者二被告を無罪とした一審判決(横浜地方裁判所)を支持し、検察側の控訴を棄却しました。

 私は五年前にも、この場合に於いて海自艦に回避義務はなく(回避が極めて困難であり)、そもそも自衛隊が関わった事故を海難審判所や地裁が裁く現状は異常であり、危険でもあると指摘しています。

 ところが、当時の報道は海自側の責任を追及するものばかりで、極めて不公正でした。犯罪者のごとく吊るし上げられ、起訴された二人の三等海佐はさぞ悔しかったに違いありません。

 誤解していただきたくないのは、私が自衛隊をひたすら擁護する立場で申してきたのではなく、裁判の争点にもなりましたが、巨大な艦船に対して小さな漁船が衝突を免れない航跡をあえて辿ったためであり、もしも超巨大客船に護衛艦が訳の分からない行動をとって突っ込めば、私は海自を非難します。

 問題なのは、占領憲法(日本国憲法)の有効状態を維持する限り、自衛隊を国軍と規定出来ないまま、しかしながら海洋国家の防衛手段として厳然と存在する軍艦の起こした事故を軍事専門的に裁けない(軍事裁判所がなく、ついでに憲法裁判所もない)ことです。

 大日本帝國憲法の現状有効を確認するだけで状況は一変しますが、政府が繰り返してきた「自衛隊は軍隊ではない」という国際的には意味不明な解釈によって、自衛隊の自浄能力は最初から奪われ、専門的に事故を解析して審判を公表することが出来ません。

 このままでは海自艦を狙った破壊活動(テロリズム)ですら、一方的に活動家(テロリスト)を被害者、自衛官を加害者にしてしまいます。中共公船による沖縄県近海での領海侵犯が相次ぐ中、私たちの身の安全にも関係する非常事態が今も続いていると申さざるを得ません。

 捜査権限のない海自と、捜査権限を持つ海上保安庁との関係もよくないままであり、私たちにとって占領憲法下の規定では得るものが何もないのです。

 漁船に乗っておられたお二人の尊い命が失われたことへの悔しさは申すまでもありませんが、清徳丸の行動は、まるでわざと巨船に近づいて網を切られたりした方が水揚げより金になり、休漁補償も貰えることを期待したかのようなものであり、誤って命を落とした彼らがそうだとは申しませんが、そのようにして客船や貨物船に突っ込んでくる小船の存在を世に知らしめた事件でした。

 五年前のこの事故は、明らかに占領憲法の有効期限が切れたことによる「国家のシステム疲労」を露呈させ、私たちに警告しています。二人の三等海佐、そして亡くなったお二人の漁民もその犠牲者なのです。

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