麻生副首相「水道民営化」

皇紀2673年(平成25年)4月26日

 http://www.youtube.com/watch?v=Qo9mq9PVae0
 ▲YOUTUBE:麻生太郎 副総理兼財務相が水道の民営化に言及 2013年4月19日 CSIS戦略国際問題研究所

 或る方から「麻生太郎副首相兼財務相が米国でとんでもない発言をした。彼は売国奴だ」と聞かされ、早速調べました。その発言とは、麻生副首相が訪米中の十九日、戦略国際問題研究所(CSIS)で講演した「例えば」から始まって「そういったものもひとつの考え方に、アイデアとして上がってきつつあります」に終わった「水道の民営化」についてでしょう。

 CSISがいわゆる「ジャパン・ハンドラーズ」に振れるシンクタンクであることは繰り返すまでもありませんが、麻生副首相はただ現下のわが国に於ける議論の状況を説明しただけです。

 確かに私は先日の講演会でも「実は安倍晋三首相をまだ疑っている」と述べ、質疑応答の中で「その一つは自民党に対する疑いだが、彼らはまた順番を間違えた。小泉純一郎首相のあとも麻生氏であるべきだったが、三年間の民主党政権が酷い間違いだったと自覚するなら麻生政権に戻すのが筋で、また安倍氏が出てきた」と申しました。

 しかし、そのような考えとは別にあくまで公平に申しますと、件の発言は公式のものとして財務省が公開している「アベノミクスとは何か ~日本経済の再生に向けた日本の取り組みと将来の課題~ 麻生太郎副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣 平成二十五年四月十九日/米ワシントンDC、CSIS」にはありません。

 つまり、公式の発言ではない部分から、しかも「全て民営化します」の箇所だけが切り取られて一部から非難されているのです。これはかつて麻生首相(当時)が報道各社にやられた卑怯な手法であり、同じことをインターネット上でも独自でやる人が出てきただけではないでしょうか。

 麻生副首相が説明した現況とは、産業競争力会議(議長=安倍首相)での議論に違いありません。竹中平蔵元総務相がかねてより似たような主張をしています。また、大阪市の橋下徹市長もこれを目論んで市議会に跳ね除けられました。

 むろん私は原則として国民生活を支える社会基盤(インフラストラクチャー)の民営化には反対です。麻生副首相もこれをよいこととも悪いこととも言及しておらず、あくまで一例として挙げており、まして彼は竹中氏を批判の対象としてきましたから、以前にも申しましたが、私たちはむしろ産業競争力会議での議論に注視すべきで、誤った考えには敢然と反対の意思を示せばよいことではありませんか。

 麻生副首相は冒頭から米政府の基本的構造に「嫌味」を言っています。件の発言も俗に「屈米保守」らしいのではなく、公的な責任を民間に任せてしまう傾向の議論を紹介しているに過ぎません。米政府とて南米暮国(ボリヴィア)の民営化が招いた悲惨な失敗を踏襲したくはないでしょう。わが国も同じです。

 医療費負担増の問題に対する二十四日の都内会合での発言(「七十歳以上で年に一回も通院しなかった人には十万円あげると言ったら、ちょっと病院に行こうかなという人が行かなくなって医療費は下がる」)も、麻生副首相の発想の主旨が私にはよく分かります。先日のコラムでも申したように、私たちはすぐに病院に行って病気になりたがるのです。これは決して老人を病院から遠ざけて早死にさせようというのではありません。

 私たちはもっと麻生副首相の発言から自分たちで自分たちの問題を考えるべきです。新聞社や放送局が繰り返す意図的な情報拡散を自分たちでもやって「売国だ」何だと騒いでいる場合ではありません。

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『麻生副首相「水道民営化」』に1件のコメント

  1. 心神:

    「アメポチ」とか「ゆるい売国奴」とか、発言される方もおられますが、リーマンショック時の対応などからみても、そうかな・・?と、思うんですね。
    動向を見守りたいですね。