風通しの悪い会社は潰れる

皇紀2673年(平成25年)3月8日

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130306/biz130306……
 ▲産経新聞:シャープ、「下請け」で再建目指す サムスンに部品供給

 韓国の三星電子(サムスン)がどのような手を使ってわが国企業を出し抜いてきたかは、二月二十五日記事で述べています。これでもシャープは三星に「液晶パネルを供給するだけ」などと呑気なことを言っていられるのでしょうか。

 台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)との資本提携を断念するべくしたシャープは、第三者割当増資で約百三億円を三星日本法人に引き受けてもらいましたが、これでは財務体質を改善するには至りません。

 あくまで主戦力たる液晶画面の供給先を増やしたかったということですが、これから日韓の立場が逆転していくことをシャープ経営陣は全く信じていないのでしょうか。というより、それほどわが国の「円高デフレ」は酷かったのです。

 中韓両国の企業が政府による通貨安のあからさまな誘導策でわが国企業から利益を奪っていったことに加え、シャープ自身の問題は「社内の風通しの悪さ」にありました。二十五日記事でも触れたように、技術者の意見を軽視する風潮はシャープにもあり、さらに営業職の声まで経営陣にほとんど届かなかったと聞いています。

 彼らが提唱した「亀山モデル」がすでに家電量販店でそっぽを向かれ始めていたことを社員が警告しても経営陣は「そんなはずがない」と聞き入れず、以前にも申しましたが、店頭に並ぶ前から製造者も販売者も得をしないような給与物価下落(デフレーション)状態にあって「シャープのAQUOS」は誰にも買われないただの展示品に成り下がっていました。

 シャープほどの液晶技術を有していてなぜ「iPad」を作れなかったのか(アップルの下請に堕ち、その受注体制が終了する)という問題は、自社製品を「iPod」に進化させられなかったソニーと共通し、奇しくも両社は形態に違いこそあれ三星との提携を経験します。

 技術より配信力でわが国企業に勝った米国のアップルが三星に謝罪させられるという、とんでもない判決が下されたこともありました。その裁判官の一人が既に三星の特許顧問として雇われているという指摘まで英国から上がっています。このようなことを平気でしてきたのが三星です。

 しかし、韓国にとって唯一の武器だった通貨安は、安倍晋三首相の強い経済政策によって今後かき消され、韓国企業は有利な条件をことごとく失います。わが国企業の力強い復活は確かな技術力によるのであり、それを韓国に売り渡してしまえば再び競争に勝てなくなるでしょう。

 シャープの始めたことは自分の首を自分で絞めることであり、そう指摘する声が社内にあったにもかかわらず封殺した風通しの悪さは致命的です。私たちはこれを他山の石として自社を守るしかありません。安倍政権の政策とはほとんど無関係に、こうして倒産していく会社はこれからいくつか出るでしょう。

スポンサードリンク

Comments are closed.