米中を天秤にかける外交

皇紀2671年(平成23年)11月24日

 http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=56112
 ▲レコードチャイナ:中国が「孔子平和賞」をプーチン首相に、本人は無言、党は「一文の価値もない」—米メディア

 北京師範大学元講師で国家政権転覆扇動罪により逮捕、服役中の劉暁波氏にノーベル平和賞が授与されたのを機に、中共の学者らが独自に設けた「孔子平和賞」は、その主催団体が昨年、台湾の連戦元副総統に賞を与えた1回きりで解散しましたが、香港の団体がこれを引き継ぎ、15日に露国のウラジーミル・プーチン首相の受賞を発表しました。

 文化部の傘下にある団体の主催とはいえ、国家によって正式に創設された賞ですらないものを、プーチン首相が喜んで受けるとは思いません。レコードチャイナの記事では、露中関係を考慮すれば難しい判断を迫られるように書かれていますが、彼は間違いなくこのまま受賞を無視します。むしろ、日本の幾人かの政治家なら喜んで受け取りにいくでしょう。

 残念なのは、そこで名前が挙がりそうな者の中に、地政学を見極めて戦略的に米中を天秤にかけ、中共とうまい駆け引きが出来る政治家がいないことです。

 目下、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加こそが「中共包囲網」になりうるという主張がありますが、前にも指摘した通り、中共政府はこれに関心などなく、いかにさらなる大枠の貿易圏構想で覇権を掌握するかを考えています。

 中共とは海底資源開発と領土に関する対立を抱えていますが、これすらも「日本との対立は得策でない」と相手に政策の転換を迫るべく、本来の意味でわが国は対中外交を強化すべきなのです。

 ところが、政治家も官僚もすぐに「親中」「媚中」「屈中」に墜ちるため、米中の経済連携の間にはさまれたわが国は、特にクリントン政権と江沢民体制の頃から右往左往させられてきました。

 鳩山由紀夫元首相が沖縄県の在日米軍普天間飛行場返還問題で仮にも米中を天秤にかけていたなら、あのような不様な終わり方はしなかったでしょう。彼にそれほどの戦略はなく、また兵站もなかったのです。

 わが国は、東南亜諸国連合(ASEAN)+3(日韓中)の経済圏でこそ主導権を握るべきであり、TPPになんぞ参加して埋もれてしまってはいけません。それこそ中共に利する行為です。

 しかし、ここで首相が前者の道をとると公表すれば、一概に「中韓にすり寄った」と国内で批判されるかもしれませんが、表向きには中共政府も歓迎の意を示すものの、対日強硬路線を一層強めて必死に突っぱねようとするに違いありません。本当は日本が亜州に重点を置くことのほうが中共にとって難儀だからです。

 そこで、わが国のメディア報道が「喜んでいる中国をもっと喜ばせるよう日本は経済連携交渉で精一杯譲歩しなければアジアの中で孤立する」などと誤誘導するのでしょう(既に私たちはこれを何度も見てきたでしょう)が、これに政権が迎合すればますます対米依存が進行し、中共を増長させるのであって、そうはさせない最大の兵站とは、まずわが国に自分たちの憲法を置くことに他なりません。

 わが国政府が兵站を軽視してきたことは、まず大東亜戦争の敗北でも明らかでしたが、一部の作戦に於いて米国に抗しきったものは、全てこの兵站が整っていたためであり、消耗戦に持ち込まれて疲弊しないよう、部隊の維持に係る大抵のものを自立再生していました。

 自分たちを自分たちで守り、傷ついてもすぐに治すことが出来るはずの基本法が占領憲法(日本国憲法)では、最初から負けであり、わが国が占領統治期以降、外交で負け続けてきた最大の理由は、昭和27年4月28日に大日本帝國憲法の有効確認をしていないことでした。

 米国にとって日本が亜州太平洋地域の最重要拠点であるにもかかわらず、その立場を高く売って関係を深めようともしていない現状こそ本来の「日米同盟」からはほど遠い、と考えもしない親米保守派の言論こそ、大した売国行為なのです。

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『米中を天秤にかける外交』に1件のコメント

  1. sakura:

    いつも新鮮なブログをどうも有難うございます。 今日は、気になる情報を見つけましたので、お知らせさせて頂きます。 今日の投稿とは関係ない話題で
    申し訳ありません。

    総務省がネット監視についての業務を一般競争入札で業者委託する旨のパブリックコメントを求めております。

    明日、11月25日が意見募集の締め切りなのですが、案の公示が11月12日と意見募集の期間を2週間もとっていませんのに、「意見提出が30日未満の場合その理由」という欄は空白になっています。

    中国工作員のような利益を度外視しても参入したい業者が、法外な安値で入札してくる恐れも多々あると思います。 抗議しないとマズイと思います。

    詳しくは、以下の総務省のURLをご覧ください。

    http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=145207893&Mode=0