グッバイ、レーニン!

皇紀2670年(平成22年)10月22日

 独国のアンゲラ・メルケル首相は16日、与党キリスト教民主同盟青年部の集会で「多文化社会を推進し、共存・共栄しようという取り組みは完全に失敗した」と発言し、話題になっています。

 http://www.cnn.co.jp/world/30000585.html

 ▲CNN:「多文化主義は完全に失敗」 メルケル独首相が発言

 私の親しい独国人がかねてより土国(トルコ)や希国(ギリシャ)の悪口を言うので、いずれもいわゆる「親日国」であるがゆえに私は思い切って反論しましたが、そうした対話の中で、日本人には到底分かり得ない彼らなりの歴史的経緯を知るのです。それはすなわち失敗の歴史でした。

 旧西独時代、彼らは日本と同様にひたすら経済成長を目指した結果、労働力が不足し、安易に土国や希国から大量の移民を受け入れています。それが今日の社会不安を引き起こし、さらなる金融危機の発生で、移民に寛容な左派と移民を認めない右派という国論の二分を招いてしまいました。ここに宗教が招く本質的な対立構造があるのは勿論のことです。

 メルケル首相の発言に脊髄反射すれば「独国の排外的右翼化」ということになってしまいますが、本当のところは恐らく大日本帝國が台湾や朝鮮に対して行なった「皇民化政策」のようなものを推進していくという意志の表明でしょう。或いは満洲国の「五族協和」とも言え、多人種を独国の基本に合わせるよう策を講じていくに違いありません。拝金的なる目標だけで多民族が真に共生できることはないのでした。

 ですから、彼女の発言の主旨は決して移民を追い出すことではなく、責任ある為政者として、例えば独国語教育の徹底と自前の憲法に基づく社会不安の是正が目的です。このような協和の行儀を無視すれば、当然追い出されるでしょう。前出の友人は「最近はチャイニーズの正体を知って、皆うんざりしている」と語っていますから、欧州でもすでに表出している対中問題の深刻化は確実に時間の問題です。

 それより何より、日本人の私たちが皇民化を「間違い」「とにかく謝罪すべきこと」なんぞと言い、占領憲法のままでやっているのですから始末に負えません。この統治目標と結果がどのようなものであったかを冷静に分析しないと、日本も独国や仏国と同じ失敗の歴史を重ねることになるのです。

 ところで「旧西独」と書いて、以前から未見の方にご紹介したかった独国映画を思い出しました。それは『グッバイ、レーニン!』(平成14年製作・16年日本公開)です。ヴォルフガング・ベッカー監督が描いたのは、何と東西独国統一を舞台にした或る親子の悲喜劇でした。

 実は本作に「社会主義がよかったか否か」などの政治的主題はまったくありません。あると誤解するのは自由ですが、東独建国40周年の日に行なわれた反体制デモで警官隊と衝突、逮捕された息子(ダニエル・ブリュール)の姿に衝撃を受けて心臓発作で倒れた母親(カトリーン・ザース)が最後に告白する内容から考えて、明らかにこれは「オスタルギー(東独懐古)」を香料にした親子劇です。

 この母親が倒れて昏睡している間に東独が崩壊するのですが、かつて夫が西独に単身亡命した反動で強烈な社会主義者になっていましたから、奇跡的に目覚めた彼女に、まさか西独的なるものの侵入を見せるわけにはいきません。医師には「次の衝撃は命取り」と言われていますから、息子は姉や友人たちと協力して、必死に「未だ東独」を作り出していくのです。

 仏国映画『アメリ』のヤン・ティルセンによる軽妙な音楽も相まって、ここが実に滑稽に描かれており、最初は仕方なくはじめた「破れかぶれの大作戦」を次第に誇りをもってやり切る息子に、母親は暗に東西統一に気づきながら、心からの感謝を微笑みに表します。

 映画監督志望の友人(フロリアン・ルーカス)による作り物の東独報道番組で、本来はやむをえず東西独民族協和を伝えたものの、これが母親の或る告白を促しました。息子が「母さん、実は東西は統一してたんだ」と音を上げるよりも前に……。とても面白い作品ですから、是非一度ご鑑賞下さい。

10・24緊急集会のお知らせ

 http://www.shinhoshu.com/2010/10/post-157.html

 ▲真・保守市民の会:詳細はこちらをご覧下さい。

↓↓↓クリックして下さい!

人気ブログランキング

政治部門・映画部門の2カテゴリー登録になっています。ご了承の上、何卒ご協力下さい。

↓↓↓こちらもクリックして下さい!

FC2ブログランキング

映画『氷雪の門』オフィシャルサイト

スポンサードリンク

『グッバイ、レーニン!』に2件のコメント

  1. ストリートマン:

    多文化共生?「人間の甘え」です。本来あり得ない、それが自然界の常識、人間も自然界に住んでいる。

  2. matu:

    共産主義者(反国家主義者)の「転倒語法」なるもの素直な日本人には、これを見破るのはなかなか難しいですね。しかし何かおかしいな・・くらいは感じます。先の大戦時の彼らの用法は八紘為宇は・・・世界共産化。  平和は・・・戦争。自由は・・・奴隷的従属。   をそれぞれ意味していたのですから、全く転倒しています。同様に、立憲君主の陛下は天皇主権者となって乱暴に利用されました。「共生」はどうでしょうか。「東アジア共同体」はどうでしょうか。これも、「奴隷的従属」「共産化」そんな意味で使われていませんかねえ。「人権」は?「国民主権」は?・・・何かおかしい・・くらいはみんな感じますよね。