日本は戦争を止められた筈

皇紀2670年(平成22年)9月2日

 酒癖の悪い某夫人まで出てきて議員会館を回り始めた選挙の話なんぞ、一旦やめておきましょう。

 そんなことよりも、米国のバラク・オバマ大統領が8月31日夜(日本時間9月1日午前)、イラクでの戦闘任務の終了を宣言しました。しかし、長らく日本のメディア各社が報じなくなったために知られていないかもしれませんが、実態は今や無政府状態と化しているイラクヌーリー・マーリキー首相のもと半年以上議会も開かれない始末)から、イラクを荒らしに荒らし倒した米国が逃げることにしたという顛末です。

 http://sankei.jp.msn.com/world/america/100901/amr1009011124004-n1.htm

 ▲産經新聞:オバマ大統領、イラクでの戦闘任務終了を宣言 国民向けにテレビ演説

 オバマ大統領の言う「核のない世界(→世界平和)」はこの程度のものです。この程度の者が口先だけの世界平和を騙ってノーベル賞を受賞するような民主主義や資本主義に未来はありません。

 私は開戦前からイラク戦争に反対でした。ブッシュ政権当時のコリン・パウエル国務長官がUN(連合国 俗称=国連)安全保障理事会に提示した不鮮明な画像と音声記録では開戦の理由にはならないと書いたこともあります。

 米国は、ただサダーム・フセイン大統領(当時)を処刑したいだけであり、クリントン政権下の、イランとの兼合いからイスラム教シーア派やクルド人を使ったCIA発案の革命工作を断念したことがトラウマになっていただけにも思えました。ここにCIAが国防総省と組んで主導する戦争の欺瞞を感じたのです。

 そして何より、占領憲法を無効にもせず威勢だけはよかった小泉純一郎首相(当時)が、その第9条に規定された交戦権のない状態を無視して開戦に賛成し、自衛隊の派遣を決定、実行したことが許せません。米軍による占領統治の続く日本に何が出来るというのですか。

 自衛官たちは小泉政権の出鱈目に誰よりもさらされたのですから、私はとても任務に就く自衛官たちに向かって罵声を浴びせた人々の神経が理解できませんでした。日本の左翼は海外の左翼と違い、文字通り「木を見て森を見ず」という恥を恥ずかしげもなくさらけ出します。

 かくして小泉政権は屈米のためなら遵法精神を捨て去り、批判も筋違いなものばかりで救われたため、とんだ人治政治がまかり通りました。不本意だろうと無効を決議しない限り、国家の三権は日本国憲法という名の占領憲法に従うのですから、一連の小泉首相の決定は脱法行為でしかありません。それでも首相なら出来たというわけで、小沢一郎氏はいよいよこの座に就こうとしています。

 オバマ大統領の偽善を叱るなら、かえってジョージ・W・ブッシュ前大統領や英国のトニー・ブレア元首相は故・フセイン元大統領と並んで無罪放免であり、一方の小泉元首相は有罪確定でしょう。なぜそうなるのか、それは、イラク戦争は日本こそが止めることの出来た戦争だったからです。

 日本政府がそのような覚悟を持つべきだったことは、例えば昭和57年製作・翌年公開の日本映画『東京裁判』(6部作・9時間31分もの超大作『人間の條件』で知られる小林正樹監督の長編記録映画)を見ても分かるように、連合国の欺瞞に満ち、小林監督自身もブロパガンダ・フィルムと知って使ったと話された『中国之怒吼』の南京大虐殺という捏造(事実は南京陥落)まで持ち出された敗戦国に対する戦勝国による凌辱行為の正当化に抗さなかった、或いは抗せなかったことから始まります。

 平成10年には『プライド・運命の瞬間』(伊藤俊也監督 津川雅彦主演)が製作・公開されましたが、本作は上記指摘したことに多少触れられており、ゆえに一部から「右翼映画」などと決めつけられもしました。大東亜戦争の正当化を喧伝すべく本作が作られたというのですが、そうでしょうか。本作はむしろ、戦勝国が一方的に敗戦国を裁くという時代背景を真っ向から認め、人類叡智の進化を理想として極東国際軍事裁判を否定する必要があると言っているのです。

 それが「右翼」だと言うのなら、やはり右派・保守派こそがイラク戦争のような行ないに反対し、世界平和実現の理想に向けて行動しなければなりません。その逆は「左翼」ですから、左派・革新派はいわゆる東京裁判を受け入れ続け、今後もこのような行ないが繰り広げられることに目を伏せるのです。それが屈米左翼という、日本の左翼ならではの極めて屈折した、或いは矛盾した理屈によって世界平和の実現を妨げる勢力という正体に他なりません。

 東京裁判の出鱈目を指摘する者は好戦的な右翼であり、まるで犯罪者のように言われてきたのは大間違いです。講和発効後、日本政府が公式に東京裁判そのものを一度も否定しなかったことこそ大間違いなのです。その前ならやむをえずとも講和条約が発効していて、なぜできなかったというのですか。

 独国に覚悟があるのかないのか知ったことではありませんが、英国や蘭国(オランダ)で始まったイラク戦争に対する政府検証は、日本でもなされるべきです。小泉元首相を国会で証人喚問にかけるべきではないでしょうか。それは些末な個人攻撃を目的とする類いではなく、占領憲法問題に日本民族がぶちあたる大きな機会としたいのです。

映画『氷雪の門』オフィシャルサイト

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『日本は戦争を止められた筈』に3件のコメント

  1. 素浪人:

    イラク戦争開戦前、私も、知人との議論で、どんなにイラクが非民主的国家であっても、この戦争に正当性はなく、国際法違反で、アメリカの単なる侵略である、と結論した。驚くべきことに、知人は、日本の立場に選択の余地はなく、アメリカに従い、参戦すべきだ、と説いた。その心は、と尋ねると、知人曰く、日本は北朝鮮の拉致問題や核兵器開発問題を抱え、アメリカと協調・協力を仰がねばならず、アメリカと敵対する様な態度は許されない、とのたまった。私は、この言を聞き、それ以上、議論する意欲を喪失した。つまり、この知人は、たとえアメリカの戦争に国際法上の正当性がなくても、現下の状況次第では、日本もアメリカとともに不義を働け、と吐いたのだ。かような意見を持つものは、この知人以外にも、数人いた。私の様な原理原則主義者には、到底持ち得ぬ、無頼漢的超法規主義とでもいえる、恐ろしい思想であった。当時の日本には、恐らくこの手の思考が蔓延したであろう。そして、今尚、この事実を黙して語らない不逞の輩がいる事だろう。こんな言論空間の日本で、どうして現憲法無効化などという、遠大且つ正論である議論が成り立つであろうか。

  2. ストリートマン:

    日本の国益を損なう事をした人は歴史の「罰」は受けるのが当然です。政・官を通じて戦後は性責任を取った人は誰もいませんね。

  3. matu:

    >イラク戦争に対する政府検証は、日本でもなされるべきですイラク戦争、東京裁判、占領憲法、大東亜戦争・・・どれもこれも検証がありません。誤魔化しだらけです。検証がないから誰も責任もとらないし、それどころか国益に反することを引き続き堂々とできるのですね。日本国の破壊です。自殺行為です。こんなことが大手をふってまかり通るのは、なぜなんでしょう。それでも、しなやかにしなやかに日本の底力が今も広がっていて、いつか表に出てくると信じていきましょう。真実を知る努力を怠らず、広めてまいりましょう。