移動する権利を与える?

皇紀2670年(平成22年)8月24日

 今回は映画・映像作品ではなく、一冊の本をお薦めしたいと思います。英国の哲学者であり演説家でもあったエドマンド・バークが著し、半澤孝麿が訳した『フランス革命の省察』(みすず書房刊)です。「あ、難しそうだな」とおもわず逃げないで下さいね。

 私が何度となく取り上げてきたものではありますが、これが保守主義の基本哲学を最も容易に知ることができる書物ということになるでしょう。しかし、天皇陛下によって司られる祭祀を知ることのほうが最も容易とも言え、ゆえに「保守」なる文言は政治思想の道具に非ず、人間が人間として地球に生きる基本を指すのみであると私は書き続けてきました。

 バークは、本著で社会契約論に於ける契約の欺瞞を指摘し、批判しています。そのため、政治について多く触れられていますが、よく読み解けば基本哲学がはっきりと浮かび上がってくるはずです。

 現世の者のみの理性や意志、心情によって何ごとも変えられるとする革命思想が否定されるのは、受け継がれるものをないことにして現世の者のみですべてを貪れば、仮にも地球は不毛の星と化し、生命という生命が絶滅しかねないからに他なりません。そのような「やりたいようにやる」或いは「やりたいようにやらせろ」という個人主権を認めてはならないのです。

 さてさて、書きたいことが山のようにあって、つい長くなってはいけませんから、まず今回のお話しに絞りましょう。

 在日韓国・中共人のみ地方参政権付与法案(通称=永住外国人地方参政権付与法案)の賛成派でもいらっしゃる前原誠司国土交通相は、民主党の基本理念とも言える「国民の移動する権利を基本的人権の1つとする交通権」をべースに、交通基本法なる法案を成立させようと目下、省をあげて準備しています。

 http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100129/212456/

 ▲日経ビジネスオンライン:「交通基本法」がやって来る

 http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100822-OYT1T00744.htm

 ▲讀賣新聞:交通基本法 問題はらむ「移動権」の保障

 自由で平等な状態を最大化すべく、個人が社会契約を締結することによって国家が成立し、その個人や集合体の人民こそが主権者という考えならば、奇遇にもまたぞろ仏国の「交通権」を模範とすればよいでしょう。

 そうすれば、讀賣新聞社の社説が指摘するように、地方の公共交通機関の不採算路線が廃止された場合、住民が権利の侵害を理由に相次いで訴訟を起こし、行政が混乱をきたすのも、何らかの革命を起こして更地にすることで乗り切るのでしょうか。

 いえ、これは地方に限らず、東京メトロの最寄り駅から徒歩3分の住民と、徒歩15分の住民では「交通権の格差がある」などと言われ、15分の住民が「うちから3分圏内まで地下を掘れ」と言い出せば、カネがいくらあっても足りません。

 いわゆる道路族の利権政治にも困ったものですが、これは新たな利権を創出するだけのものだとの指摘もあります。直言すれば「交通の自由はカネをバラ撒いて保障します」という新手の福祉利権であり、(本当に生活に困窮して助けねばならぬ者ではない)生活保護対象者や部落解放同盟らと組んで「鳩ポッポ小沢ナイナイ」(笑)する企画だったりするのでしょうか。是非とも前原国交相にお尋ねしたい。

 そもそも交通行政を含めた街づくりの権限を地方自治体に移譲するというわりには、予算は国交省が掌握し、地方の役所はただ煩雑な仕事をやらされるだけに違いありません。このような基本法によらず、例えばコンパクトシティ化を実現する知恵の集積と予算の確保があればよいではないですか。地方議員の皆様、ともに法案成立阻止に向けて立ち上がりましょうよ!

 というわけで、ついカネのお話しをしてしまいましたが、私は、個人の交通権なるものが社会契約の中で保障されることにより、国家が正当化されるなんぞという薄気味の悪い思想には、どうしても組することができません。この思想でない限り、交通権という言葉も概念も出てこないはずなのです。民主党政権は、やはり革命政府を生み出したということになるのでしょう。

 交通基本法というのは、これはとんでもないですよ。

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『移動する権利を与える?』に3件のコメント

  1. 傍聴人:

    またしても有罪判決!!犯罪者「りさ」こと成田悦子!【転送・転載大歓迎!】昨日(2010年8月24日)午後3時から、大阪高等裁判所第1003号法廷にて、HN「りさ」こと成田悦子(鳥取県米子市河崎1542-17下岡カズ子方、TEL:0859-29-2865)による、社民党の鳥居正宏氏に対する名誉毀損事件の控訴審判決が言い渡された。判決の主文は「被告人の控訴を棄却する」。即ち、控訴審でも「りさ」こと被告人の成田悦子は、事実上の有罪判決となった。裁判官による控訴棄却理由の説明では、裁判官が成田悦子による数々の犯罪行為(名誉毀損行為)を列挙してこれを糾弾し、被告人成田悦子(およびその弁護人)による控訴趣意を完膚なきまでに徹底的に全否定するという、誠に痛快な内容であった。《大阪府警の警察官のコメント》「あれ(成田悦子)は、キチガイでっせ。正真正銘のキチガイですわ。完全に頭のオカシナ人です。正直言って、あんな狂った人間、話になりませんわ」《成田悦子の母(下岡カズ子)のコメント》「悦子が(北海道から)米子へ帰ってきてから、あの子(成田悦子)の頭がオカシクなった」

  2. ストリートマン:

    学問の有るバカは、本物の馬鹿と言いますが、この男もこれに類するバカなのでしょう。

  3. 質問:

    ハーバード大学のマイク・サンデル教授が東大で特別講演したという報道をマスコミ各社が採り上げてます。「共同体主義(コミュニタリアニズム)」について調べると、「リベラリズムに対抗する思想で、共同体の価値を重んじるが、国家主義では無く、自由民主主義の枠をはみ出さない…(wiki要約)」などと書かれています。サンデル教授については「道徳や正義を強調する点に特徴がある(wiki)」とありますが、このへんは意味不明です。要するに地域主権とか、外国人参政権とか、外国人居住区の自治を尊重する類の反国家主義思想という認識で良いのでしょうか?