なぜ児童虐待は起こるか?

皇紀2670年(平成22年)8月3日

 平成16年製作・公開の日本映画『誰も知らない』(是枝裕和監督)は、昭和63年に発生した巣鴨子供置き去り事件に材を得て、家族の在り方を問うた作品です。

 特に、身勝手な母親(YOU)に育児放棄=ネグレクトされる4兄弟の長男を演じた柳楽優弥が、カンヌ国際映画祭史上最年少・日本人初の最優秀主演男優賞を受賞して話題になりました。

 本作が育児放棄の実態を巧みに表現していると思われるのは、この母親が決して子をかわいがらない非情な女性として描かれていないことです。子に会えばかわいがりますし、夜の仕事を通して客にもらったと思われるお寿司をみんなで食べる場面などもあります。

 しかし、彼女はいつも「自分の都合」なのです。自分が男性たちと遊びたい時は子を放っておきますし、自分が子と遊びたい時は夜中でも彼らを起こしてしまいます。前述のお寿司を食べる場面もそうでした。この有り様をYOUが見事に演じています。

 先月末以来、メディアを賑わせたのは、育児放棄または児童虐待と思われる複数の事件の発生でした。大阪府寝屋川市で中学生の息子の背中にライターのオイルをかけて火をつけた父親、大阪市西区では2人の幼児をマンションの一室に放置して死なせた母親がそれぞれ、大阪府警に逮捕されました。

 前者の父親はこれを「(しつけ)」だと主張しましたが、躾とは文字通り「身」を「美」しくするものであり、躾をするほうもそうあらねばなりません。わが手を痛めてでも子に教えるのが躾であり、オイルをかけて火を放つ行為に親から子へ想いをつなぐ接点がないのです。

 後者に対しては、大阪市中央児童相談所の職務怠慢を指摘する声が上がっていますが、児相の全職員に専門性が備わっておらず、的確な状況判断ができないのは制度設計そのものの問題である、と静岡市児相問題に取り組む南出喜久治辯護士は指摘しています。

 http://www.shinhoshu.com/2010/05/post-141.html

 ▲真・保守市民の会:「家族と憲法」決起集会のご報告(YOUTUBE動画集)

 そのくせ、一方的に躾に厳しい両親から児相が子を引き剥がしていく事件が発生しており、民法の規定から逸脱して公権力が親権を(制限どころか)停止させる脱法行為が起きているのです。この時ばかりは手際がいいのはなぜでしょうか。

 これは多分に、躾によって泣いている子の状況(手をつけやすい案件だから?)と、「児童虐待」という名で誤摩化された暴行、または育児放棄によって泣いている子の状況(手をつけにくい案件だから?)を見極める専門性が、全児相職員に備わっていないからです。よほどの専門知識と経験がなければ、このような判断はできないでしょう。

 南出辯護士や私はいわゆる児相問題を取り上げてきましたが、私が最初から申しているのは、今回のような親の子に対する暴行・殺人事件の多発は、家族単位から個人単位へと社会構造を革新する共産主義のゆるやかな増長が原因にほかならず、そのほんの1滴のウイルスは占領憲法第13条「すべて国民は、個人として尊重される」に仕込まれていたということです。

 私たちは知らない間に「個人の自由・権利は素晴らしい」という論調にすっかり同意し、ウラジーミル・レーニンによるロシア革命毛沢東による文化大革命のようなことをしてしまいました。このような思想によれば、「他人(ひと)のために……」は私個人の自由の妨げにしかならないのです。

 まさに『誰も知らない』に登場した母親はこの典型でした。反共の米軍による対日占領統治が、実は日本民族の団結力を削ぐべく共産主義革命に基づき、家族をバラバラにして個人単位に弱体化させることでした。その副産物が、近年増加していると報じられている子への暴行・殺人、或いは子による身勝手な理由の親殺しなのです。

 私たちは一刻も早く、この占領統治の呪縛からわが国家を解放せねばなりません。その第一歩が、国会での占領憲法の無効確認です。私たちにはすでに自前の憲法や、それに伴う教育勅語などがあります。「なんだか日本は悪い方向に進んでいるような気がする」とお思いの皆様、その原因が実は日本国憲法という名の占領憲法にあることを知って下さい。こんなものを小手先で改正しても、もちろん護り抜いても、よいことは何もないのです。

映画『氷雪の門』オフィシャルサイト

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『なぜ児童虐待は起こるか?』に2件のコメント

  1. matu:

    占領憲法の呪縛、人は個人で生きてそれが幸せなのだ。学校でも知識人?も、自己実現=夢の実現こそが人の幸せと説く。しかし、それで幸せをつかむ人など殆どいない。「人のために生きていいんだよ、人から信頼されるために勉強するんだよ、信頼されて社会や国に必要とされる人になるためだよ。家族の一員として、祖国の一員として生きて、そして死んでいく。それでいいんだよ。」そんな当たり前のことが、抜け落ちてしまうのが、個人主義礼賛憲法、占領憲法の呪縛。無効にしなければ不幸になるだけです。

  2. ストリートマン:

    これからお母さんになる人へ・・人格・品格を醸成する道徳教育しか有りませんが、子供時代から多くの童話を読んで聞かせる事も必要でしょう。親に子供を育てる「道徳教育」が必要な時代?おかしな世の中になったものです。男の子は「自衛隊」で男を磨く、女の子は「母親教室」で女を磨く、矢張り昔の教育は正しい面が多く有りました。