タイ国王の決定に国民は?
日本の心を学ぶ会・百回記念講演と第十一回救国の提言講演会・東京が昨日、それぞれ偕行社(東京都千代田区)とシビックセンター(同文京区)で開かれました。久しぶりに多くの皆様とお会いでき、とても充実した一日でした。本当にありがとうございます。またお会いしましょう。
さて、今上陛下の御即位に際し、開かれている饗宴の儀は、明日にも三回目、三十一日に四回目が催されます。国内外から出席する全賓客数は、約二千人にも及ぶ予定です。
東南亜のタイ王国(泰国)からは、プラーユット・チャンオチャー首相夫妻が二十二日に出席していますが、目下泰王室が混乱しています。
既に報じられましたが、ラーマ十世ワチラーロンコーン国王陛下は二十一日、下した勅令で、配偶者だった元国軍看護師のシリーナート・ウォンワチラーパックさんの全ての称号を剥奪しました。
そもそもこの称号は、スティダー王妃とは別に「チャオクンプラー(高貴な配偶者)」というもので、およそ一世紀ぶりに「一夫多妻にするつもりか」などのごく秘かな一部泰国民の反感を買っていたところ、国王が突如「王妃にとって替わろうとした不実により」と与えたばかりの称号と国軍の階級までもを剥奪したのです。
さらに泰王室は二十三日にも、寝室警護隊の看護師と獣医師を含む高官六名の解雇を発表しました。理由は「権力の乱用」とされていますが、恐らくシリーナートさんの称号剥奪と関連している(この六名はシリーナートさんに協力的だった?)と思われます。
問題はこれらに対する泰国民の反応です。先述の通りシリーナートさんにチャオクンプラーの称号が与えられた約三か月前から、公言すれば不敬罪に問われるので密やかにではありますが、国王の判断が一部国民の反感を買っててきたため、今度はその称号が荒っぽく剥奪されたことに泰国内のSNS上では、シリーナートさんの愛称(泰国民はこちらのほうでお互いを呼び合う)である「コイ(Koi)」を使った「#SaveKoi(コイを救え)」がトレンド入りしてしまっています。
ここでも何度も申してきましたが、ワチラーロンコーン国王陛下は、王太子殿下の頃から国民的不評(複数の女性とのみだらな関係や暴力、殺人疑惑まで)を買っており、多くの国民があくまで密かにテープ殿下・シリントーン王女(学習院大学名誉博士)の王位継承を望んできました。私の親しいチュラーロンコーン大学やタンマサート大学の教授たちもそうです。
これに目をつけたのが中共の共産党と深い関係を持った「偽愛国」のタクシン・チンナワット元首相(当時の与党タイ・ラック・タイ党=泰愛国党党首)でした。彼が一貫して泰王室を軽んじる態度をとり、まるで独裁者のように振舞ったことこそが失脚の原因だったのです。
ラーマ九世からの継承劇で、必ず泰王室に対する国民的尊敬(汎泰主義の基礎中の基礎)が減退すると見た中共の思惑通り、ワチラーロンコーン国王はまるで国民的敬意を得るに至っていません。祭祀を司られる皇室と違い、権力に近い王室は、実に恐ろしい(私たちが安易に口にしてはならない)極左暴力用語ですが「革命」という名の国民の反乱によってうち滅ぼされてしまうのです。
しかし、この風潮はわが国にも間違って持ち込まれており、今上陛下御即位に際して私たちがもう一度よく考えなければならないのです。