稲田防衛相は外されるのに

皇紀2677年(平成29年)7月7日

 九州北部豪雨で被害に遭われたすべての方がたに、衷心よりお見舞い申し上げます。

 また、救助活動に当たられた警察官、消防士、自衛隊員の皆さんに、国民の一人としてお礼申し上げます。稲田朋美防衛相が四十分間、防衛省内にいなかったことが指摘されてはいますが……。

 東京都議会議員選挙期間中、さすがに庇いようのない発言をした稲田防衛相は、どうせ今月末(または来月初旬)の内閣改造で外される(らしい)のですから、投開票日前に「辞表を出しました。でも改造までは責務を果たせと叱られました。改造でクビになります。反省して出直します」という、かつて下村博文文部科学相(当時)で使った手を使えばよかったのです。

 国民(都議選対象で限定すれば都民)の中には、安倍晋三首相が稲田防衛相のことだけは庇いきるのではないか、と疑心暗鬼になった方もいたでしょう。それがまたよくなかったのです。

 改造人事の焦点は、麻生太郎副首相兼財務相を留任させるか、或いは以前申したように「最近火消しが下手になった」菅義偉官房長官をどうするかでしょう。

北ミサイル、「東京の方がいい」 原発攻撃想定に田中俊一・規制委員長が不適切発言

原子力規制委員会の田中俊一委員長は6日、関西電力高浜原発がある福井県高浜町で住民と意見交換した。北朝鮮のミサイル攻撃を想定した対応を問われ、「冗談」と断りつつ「…

(産経ニュース)

 さて日頃は、報道各社が要人の「失言」で騒ぐことを嫌い、いかにそれが「失言」でないかを説明する私が、どうしても聞き捨てならなかったのがこれです。

 「冗談ですが」と断ればいいという話ではありません。原子力規制委員会の委員長が、米国製の原子炉を米国に許可された原子力の平和利用の範囲で従前通り「今後も」という立場で、北朝鮮の弾道弾は「東京都のど真ん中に落としたほうがよっぽどいい」というのなら、東京都のど真ん中に原子力発電所を作ってみろ、と「反原発過激派」にいわれても仕方がなくなるでしょう。

 致命的に思慮の浅い発言であることは、申すまでもありません。なぜわざわざこれほど国民の思想対立を扇動するような誤った発言をする必要があるのか、原発に撃ち込まれる悲劇と戦争そのものの悲劇を(戦争になれば原子炉だけの問題ではなくなるとの意味だった、とはいいましたが)混同していることがそもそも間違っているのです。原子力規制委が戦争のことについて答える必要はありません。政治家でもないのに勝手なことを述べるから不適切発言になるのです。

 とはいえ、恐らく政治家が似たような(同じではない)発言をすればもっと騒がれるでしょう。しかし、本来それ(戦争が起きること)は政治家として述べなければならない範疇になります。なのに言葉尻だけを取って「謝れ!」などと報道各社が政治家を脅して回るからおかしくなるのであり、原子力規制委は、専門的にあくまで原子力のことだけを述べればよいのです。

 文科省の前川喜平前事務次官といい、田中俊一委員長は工学者とはいえ、環境省の外局の代表が立場をわきまえない発言をしてはなりません。

 いわゆる「勘違い官僚」ではないのでこれ以上の批判は無用ですが、現行憲法(占領憲法)下にあるわが国の諸問題を一学者が露呈させたことに、私たちが考えなければならないことがたくさんあるとは申したい。

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『稲田防衛相は外されるのに』に2件のコメント

  1. 心配性:

    この度の、九州の水害でお亡くなりになられた全ての方のご冥福をお祈り致します。

    かつて「数百年に一度の災害に備える必要があるのか?」と言い放ち、災害対策に関する様々な予算を‶仕分”した方々がいらっしゃいましたが、日本は、世界有数の巨大災害大国ですので、「防災」を軽視してはいけませんね。

    韓国の企業が、「土砂崩れ」が心配される地域で、木々の大量伐採を伴う「巨大事業」を始めようとして、伊東市の抗議にあっているようです。
    朴代表とやらは、「わが社の資金力で、伊東市に発展をもたらす」と豪語されているようですが、水害や地震の多い地域で、自然を大規模に破壊するプロジェクトを起こすべきではありません。

    メガソーラー建設問題 市長が業者に“白紙撤回”要求
    https://www.youtube.com/watch?v=1EcQBsQkplI

    それから、以前指摘した、中国資本による伝統旅館などの「買い漁り」ですが、ますますヒートアップしているようですね。

    昨日関連する特集が放送されたテレビ東京の番組を私は直接見ていないので、認識に間違いがあるかも知れませんが、聞いたところによると、温泉地や観光地の旅館などを買い漁る中国資本は、まさに「赤いハゲタカ」であると。

    地域の経済活性化につながればよいのですが、中国人宿泊者が地域の商店などでお金を全く使わない為、儲かるのは買収された旅館だけで、地域の発展に全く寄与しないケースも多々あるそうです。(自分だけが儲かればそれでよい、後は野となれ山となれ、という事でしょうか?)
    現在中国のこうした方々は、温泉地や都内だけではなく、京都など、関西の古都に狙いを定めているそうです。

    今後、京都や奈良など風情ある事の様子が一変し、「カネ、カネ」といった、殺伐とした雰囲気が漂う事は耐えがたいものがありますが、関西の皆さま、何事も決断する前に一度立ち止まり、慎重になられる事をお勧めします。

  2. きよしこ:

    私が住む地域も避難勧告が発令され自宅の前を流れる川も氾濫寸前でしたが、5年前の豪雨災害の反省から川の水捌けを良くするための工事を行っていたので難を逃れました。しかし、日田市の被災状況は前の時とは全く比較になりません。復旧までにどれほどの時間がかかるのかと思うと気の毒でなりません。そして何より私が心を痛めたのは、43歳の消防団員の男性が土砂崩れに巻き込まれて命を落としたことです。私も地元の消防団に所属しているのですが、常日頃から「自らの命を最優先に」と強く言われています。当然ご本人も理解されていたはずですが、やはり自然災害の脅威と命の儚さを感じずにはいられません。どうかご友人やご家族が気を落とされないよう、今は祈るばかりです。