英国の領土問題に口を出せ
http://www.afpbb.com/article/politics/2961642/11176469……
▲AFP(仏通信):ジブラルタル問題で英が法的措置検討、スペインとの対立激化
欧州イベリア半島の南東端にある英国領ジブラルタの自治政府および英国政府と、西国政府の対立が特に先月から激化しています。この「三百年来の領土対立」は、ジブラルタが人工岩礁を建設することに西国政府が不快感をあらわにし、国境検問を強化したことから顕在化しました。
ジブラルタが英国領となったのは、英国が「欧州の僻地」から「大帝国」へと発展するきっかけとなった西国王位継承戦争の講和条約である正徳三年(西暦千七百十三年)のユトレヒト条約が締結されて以来です。
昭和五十七年のフォークランド紛争では、英国が爾国(アルゼンチン)との戦いに向け、ジブラルタの要所としての価値が再評価されました。
要は、経済・財政問題を抱えた現在の西国政府がたとえ「領土奪還」を叫んだとしても、英西両国がジブラルタの英国帰属を決めた条約に締結しているという国際法上有効な秩序が守られる限り、それは通用しないということです。また、この秩序が守られなければ国際社会の全てが無法地帯化します。
中共の人民解放軍は、沖縄県石垣市尖閣諸島をわが国から武力で強奪してしまおうと画策し、フォークランド紛争に関連してかねてより爾国に近づいていますが、韓国の与野党国会議員の数名が十三日、島根県隠岐郡隠岐の島町竹島に不法上陸した問題でも、国際法によって有効な手続きをとった国家がどこなのか、私たちは明確にしておかなければならないのです。(→島根県への編入手続き)
北海道千島列島と南樺太については、桑港講和条約で日露(当時の日ソ)が戦争の終結を確認出来なかった(旧ソビエト連邦が調印しなかった)ため、帰属はわが国にあり、実効支配は露国がしているという、いわば「戦闘状態」が続いていますが、日韓は戦争をしていたのではなく、日韓併合条約の締結によって共に同じ国だったので、大東亜戦後に韓国が竹島を強奪するいかなる国際法上有効な理由などありません。
私たちは、欧州など他の地域の紛争になりかねない事案に対し、概してこれまで何ら発言してきませんでした。そのことがわが国の領土・領海政策を困難なものにさせてきたとも考えられ、特定国家への「肩入れ」ではなく、国際法の秩序を説明して、今回の場合は「英国政府の主張を支持する」と表明すべきです。
この問題に於いて、英国が「帝国の名残にしがみつく軍事大国」などと非難されるいわれはありません。国際法に基づいて正当な主張をしているだけです。これを支持しなければ、わが国は竹島領有や尖閣領有の正当性を説明しにくくなるでしょう。
占領憲法(日本国憲法)の有効を講和発効後も維持するという、なかば国際法を無視したわが国政府は、その条文にある「平和を愛する諸国民」を前提として何も発言出来ずにきたのでしょうが、別の条文によって交戦権を否定されたままでは、友好地域での紛争回避のための努力すら法的な権利を有さないことになっているのです。
英国に対する支持の表明は、そのような現状を打破する一助になりうるでしょう。