反米が中共を本気にさせた
十八日午前、中共の漁業監視船が沖縄県石垣市尖閣諸島の北北西約四十三キロの接続水域を航行しているのを第十一管区海上保安庁の巡視船が発見し、警告しましたが、彼らは「海保こそ出て行け」と応酬したようです。
中共の漁船千隻がすでに尖閣諸島へ向けて浙江省と福建省から出港したとの情報もあり、いよいよかねてより「ありうる」としてきた悪夢が現実化しつつあります。中川昭一元財務相も今回の事態をご生前に予告しておられました。
しかし、中共はなぜここまで本気であり、この時期に仕掛けてきたのでしょうか。いえ、今回ばかりは中共政府も(人民解放軍はなおさら)本気なのです。
それは連日申してきた通り、露中韓による「日米包囲」が始まったからなのですが、私たちの望んだ「政権交代」の結果、民主党の鳩山由紀夫政権が致命的に日米関係を悪化させたと見て、どこまで日米安全保障条約が適用されて米軍が出てくるのか、中共は今後のためにも見定めておく絶好の機会だと踏んだからでしょう。在日中共人工作員が在日米軍基地周辺の動向を本国に密告している気配があることを情報当局がつかんでいるとも聞きました。
また、中共国内の事情からも、国外へ流出する資産や頭脳をつなぎとめるべく資本主義の堕落を「愛国無罪」で修正したい共産党指導部の思惑があります。
恐らく地方の共産主義青年団が主導しているデモの中で毛沢東の肖像画が掲げられているのは、一部で論評されるほど「反政府」の象徴ではなく、共産党幹部候補生らによる「共産党絶対への回帰」の第二次文化大革命であり、上海閥や人民解放軍との権力闘争の一環でもあるのです。
ではわが国はどうすべきでしょうか。昨日も申しましたが、まず政府は事態を正確に把握することです。所詮は経済的事由によって発生した今回の暴動を、欧米各国に対して「人質」にとれるかというところでしょう。
そして太平洋防衛戦略という日米最大の価値観の共有を確かなものにするため、わが国が占領憲法(日本国憲法)の無効を宣言するしかありません。これによるほか日軍と米軍が(米軍にすべての責任を擦りつけるのではなく)共闘する道はないのです。占領憲法の無効確認が「反米」的だという主として改憲派(第九条の改正程度では米軍への依存体質、つまり米国にとってもはや厄介なものと化した体質は決して変わらない)の言いぐさはまったく間違っています。
実は以前にも指摘しましたが、韓国の李明博大統領はわが国内の「反天皇制」論壇を過大評価して失敗しました。例の「天皇は謝罪せよ」発言に対する私たちの反発のあまりの大きさに最も驚いたのは李大統領です。
同様に、中共は目下わが国内の「反米」論壇がいかほどの規模なのか見定めようとしています。沖縄県がその例ですが、日本を欧米から切り離して孤立させる方法を探っているのです。
そうして彼らが本当に狙うのは日本海海底に眠るわが国が採掘すべき大量の資源(メタンハイドレート)であり、わが国の政治への介入であり、太平洋への進出であり、そのための準備は北朝鮮において着々と進められてきました。この資源が使い物になることを知らないのは多くの日本国民だけです。
当面は海上自衛隊による警備行動で中共船の不法侵入を撃退することですが、中共政府が本気だということを忘れてはなりません。すなわち防衛出動になることを私たちが覚悟しておく必要こそあるということです。その交戦権はもちろん本物の憲法(大日本帝國憲法)において有効なものであり、それを否定するなら今の日本に勝ち目はない。