日印EPAの利点と欠点

皇紀2671年(平成23年)2月17日

 たまにはわが国政府の成したこと、発した言葉に少しばかり、ほんの少しばかり希望を見出してみたいと思います。

 http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481……
 ▲日本經濟新聞:日印、関税94%10年以内に撤廃 EPA夏にも発効

 日印経済連携協定(EPA)の交渉自体は自公連立政権下で始まったものであり、国家戦略と国民の暮らしを守るための兵站なき現在の民国連立政権が関係省庁に中止の指示を出そうと思えば出来たことでしょうが、昨年9月の合意を経て、ついに16日、前原誠司外相とアーナンド・シャルマ商工相が調印しました。

 これについて皮肉を言えばいくらでもあるのですが、共産党官僚による地方単位の腐敗著しい中共に依存するかのような現下の経済状態からわが国が脱却するためにも、いわゆる「次なる大国」との自由貿易を約束し合うほうがよほどよいのです。

 私は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の参加には反対(1月24日記事参照)していますが、それは直ちに自由貿易そのものを否定したものではありません。TPPはわが国の輸出戦略に於いて何らの得がない(米国の輸出拡大政策に呑まれて損しかしない)ために反対しているのであり、国益に適うかどうかの高度な政治判断をしながら個別に枠組みを作ることは、例えば印国のように日本の数倍も高い産品平均関税率を誇り、今後さらに内需が膨らむであろう国に対して極めて有効と言えましょう。

 ただし、それには相手が中共であれ(外交・安保戦略としての中共包囲網の重点である)印国であれ実は関係なく、まずわが国が自立していることこそ大前提なのです。

 印国に於ける日本の存在感は、わずか15年前と比べてもひどく落ち込んでいます。それも何もかも、わが国の内需が萎んで国際競争力をも低下させたためなのですが、たとえ橋本龍太郎元首相がまるでご遺言のように「価格下落(デフレーション)下での財政再建策は失敗だった」と率直に回顧しても、或いは政権交代が実現しようとも、与党になった民主党があまりにも無知・無能・無策であるために、同じ轍を踏み続けたがる財務省主導政治が止まりません。

 日本企業の輸出戦略が障害なく印国へ移動出来るよう期待する一方で、こちらが進出するにしても印国の労働法制がややこしいことに対する覚悟は必要であり、また各種技術の知的所有権を守りつつ技術移転に見合う対価(ロイヤルティー)を得るための戦略や人材がわが国側に欠けているなどの問題を克服することも重要です。

 特にこのようなことを断わるのは、EPAが単なる自由貿易協定ではなく、人材の相互流入を加速させるものであるためなのですが、まず日本人がよき人材となるべく教育を受けることと、日本人の雇用を守ることは決して自立の条件として外せません。

 そして、印国の安価な製品・農産品が輸入されることでわが国が一層のデフレに苦しんだのでは、一体何のための連携協定なのか分からなくなってしまいます。このデフレを解消するためにも、官庁会計を複式簿記にし、時限措置としての徴税調整を行ない、紙幣の増刷を可能にする資源外交に勝つための軍事力を持つことです。それには占領憲法の無効手続きを今すぐ国会でやらねばなりません。外国がどうのではなく、すべてわが国自身の問題なのです。

 わが国の農業が自由貿易で勝ち残るには、13日にご講演いただいた神戸市議会の北山順一議員(たちあがれ日本神戸市支部長)のご提案である「徴農制」と、それに関連する施策に具体的な方法を見つけることが出来ます。

 http://www.kitayama.gr.jp/kitayama/img/kousakuhoukiti.pdf
 ▲神戸市会議員 北山順一 公式サイト:提言「徴農制を考える」(PDF)

 これもそもそもは自国民の食べものを自国で作る(もともと保持していた)能力さえ削いでしまった農政に問題があったのであり、基軸となる考え方ややり方を復原するだけで、これからの日本がたちあがることは大いに可能なのです。

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『日印EPAの利点と欠点』に1件のコメント

  1. 心神:

    いまだ続く中共へのODA。あれだけのお金、本当に日本の為になるんですかね?

    NHKの番組で汚水処理施設の‥いわゆる水ビジネスをやってたんですが、何ていうか技術をパクられる覚悟というか、そのような前提乗り込んでいくみたいですね。
    何れコピーされる間までの利益だけでも稼ごうと。
    日本が乗り込まなくても、どこか海外の企業が参入するので…

    地理的に支那からでる公害を日本が受けるはめになりますから、何とも複雑な気持ちですね。
    本当は、支那は地球で一番最後に経済発展するべきだったんですよね?