菅政権は本当に財務省主導
占領憲法下の日本政府は基本的に対米従属なのですが、日米友好を前提としても、特に米自由主義(リベラル)派の牽引する米国政府は日本左翼が国家国民の自立心を否定することに敢えて静観を保ち、ゆえに「米国に従え」と要求し、また日本右翼があまりにも自立しようとすることに牽制して、やはり「米国に従え」と要求します。そして、両翼ともにあくまで対米従属の枠の中で日本政治を動かしてきたわけです。
恐らく、菅直人首相がこれを思い知ったのは、鳩山内閣で財務相に就任してしばらく経った(急に大人しくなった)時でしょう。何度も申しますが、民主党は「政治主導」を掲げながら、単に財務省以外の省庁職員の報告を拒否、或いは恣意的に選別し、業務を混乱させ、それでも自分たちの「経済音痴」を隠すために財務官僚の指示には従ってきたものと思われます。
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/101205/fnc1012052108003-n1.htm
▲産經新聞:環境税、23年度中に創設 政府税調方針 暫定税率廃止は見送り
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381949……
▲日本經濟新聞:政府、予算編成の基本方針を来週決定 国債発行44兆円以下に
これまた何度指摘すれば菅内閣は真っ当な回答をよこすのか、と引き続き指弾せずにはいられませんが、完全な公約破りに他なりません。国債発行額を大胆に抑制出来ると主張して政権を獲ったことなど、もう国民は忘れているか、どうせ国民は分かっていないとでも民主党は思っているのでしょう。
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0003647866.shtml
▲神戸新聞:「今こそ公共事業を」 麻生元首相が神戸で講演
麻生太郎元首相が1日の講演で、904兆円に達したと言われる政府の借金(神戸新聞社の記述は一般的に相変わらず不正確ですが、このからくりは後述)について「金を借りているのは国民ではなく国。満期になったら、政府の権限で金を刷って返せばいい。企業と国の借金は性質が違う」と語りました。
公共事業の「どんどん」がどの程度を指すのか、更なる議論を要するにせよ、この麻生元首相の発言は私が何年も言い続けてきたことであり、概略として正確なものであると思います。
しかし、紙幣を増刷するには、その等価分と申してもよい資源の獲得がなければ、現実には出来ません。それが占領憲法下の、対米従属の日本政府が抱える最大の問題とも言えるのです。政府の安定性が担保されていなければ、内債とは言え債務不履行(デフォルト)も起こりえます。
また、自民党も民主党も散々国民に「夢」を語りながら、その実現の基礎となる公会計簿記の方式を決して改めることはしません。これほど複雑な予算編成の求められる日本政府が、なぜ北朝鮮のような単式簿記を未だに続けているのか、敢然と私たちは財務省に抗議すべきなのです。
簡単に申しますと、単式簿記とはいわゆる「現金主義」で、税収と支出を重視し、財産と債務の増減が連動しておらず、しかも一般会計と特別会計、特殊法人会計などが連結していないため、正確な日本の資産と債務を把握出来ないことになります。
にもかかわらず、財務省は「財源がない」「増税せよ」と詳細な説明責任を逃れ、まんまと政治家がこれに従属しているのです。時にしたり顔の政治家の口から出る「国の貸借対照表(バランスシート)」は結局のところ明解に示されておらず、それでも日本政府が負債より資産の多い可能性が極めて高いものの、財務省は必死に「財政危機」を主張してきました。
皆様、よく考えてもみられて下さい。税の徴収時には連結決算など厳しい会計監査を経ますが、いざ予算を執行する側が単式簿記では、まるで「ヤミ会計」です。政府の無駄遣いを省くと公約した民主党政権は、自民党政権のころから変わらない、正確な財務諸表なき会計を財務省に許しているではありませんか。これで無駄遣いなど発見出来る筈がありません。増税を施行する前に「まともな帳簿を出せ!」と抗議しようではありませんか。英国でも仏国でも国民行動の原因は必ずと言ってもよいほど経済事案なのですが、なぜか日本国民はまるで大人しいのです。
このようなことを指摘し、改める政治決断を約束しないような政党・政治家、根拠なき自信家に投票するのは、もうやめましょう。
皇紀2670年(平成22年)12月10日 1:40 PM
根拠なき自信家は今の政権にぴったりの言葉ですね。しかし選挙やるなら解散してくれないとどうにもならないですね。日本も実務がわかる政治家を育てなければいけないかもしれません。自民党はもとより日本の国のための政党がほしいです。
皇紀2670年(平成22年)12月10日 1:57 PM
至極同感です。
皇紀2670年(平成22年)12月10日 10:28 PM
企業から見ても政府は信じられないほどいい加減なことをしているのに、誰も見て見ぬふり。麻生氏は内債だから大丈夫といっているが、遠藤氏は内債でもデフォルトが起こりえるという。それはどうゆう状態を指すか、ぜひご教授ください。
皇紀2670年(平成22年)12月10日 11:38 PM
どなたかも前に書いてましたが、遠藤さんの経済は判りやすい。塾の先生だからでしょうが、難しいことを易しくしてくれる。石原都知事も同じようなことを言ってるが、ちょっと簿記を勉強すれば財務省のインチキや総務省の我欲を追求できるはずだ。こんなありえない馬鹿げた事をやってる先進国は日本だけで、どうやって国際社会で信用されるものか。これを読んで日本の病巣が見えた気がする。
皇紀2670年(平成22年)12月11日 10:04 AM
もう官僚いも足元を見られて居ます。素人の我々が見ていても無いをして良いのかが判らない状況、自分で判断も出来ないのが現状では無いでしょうかね・・・日本の財政が健全なのは日本よりアメリカが知ってる、可笑しな状況です。
皇紀2670年(平成22年)12月11日 10:55 AM
内債でも政府が債務不履行に陥る事態とは、例えば徴税がままならなくなる時です。或いは、異常な価格騰貴(ハイパー・インフレ)が起きても可能性はあるでしょう。政府が債務超過になっても大丈夫なのは徴税出来るからであり、それ自体が不安定になれば一気に政府としての信用を失います。 平易に申せば、著しい景気不安がその要因となり得るため、実は政府の債務が超過することで国家経済が破綻するのではなく、民間の債務がどこもかしこも超過して資本を失うことで国家経済は破綻するのです。 ゆえに、現下の日本は財政再建よりも景気刺激策を必要とするというのが私の政策提言なのですが、そのための最も効果的な方法を政府はまるで提示、実行出来ておらず、財政出動するにも記事で指摘したような有り様ですから、誰もまともな計算が出来ていません。ともすれば、貸借対照表の作り方を知らない政治家すらいるような気がしています。