トランプ氏逮捕に沸く米国
九日午前に亡くなった扇千景(本名=林寛子)元参議院議長は、初の女性参院議長にして初代国土交通相ですから、国交省の美しい揮毫は扇さんの手によるものです。改めて衷心よりお悔やみ申し上げます。
さすがは元宝塚歌劇団の女優にして「梨園の妻」でしたから、行動は大胆にして堂に入ったもので、性格は極めて男性的だったという話をよく聞いていました。概して意外にも宝塚の娘役女優はそうだとも聞きますが、政治家としては、文書さばきが実に見事だったそうです。
国交相時代、全ての国務大臣を襲う「官僚が毎日積み上げていく山のような文書」を、秒速で目を通し処理していくさまは、半ば「女優上がり」と莫迦にしていた職員たちを圧倒したといいます。
その国交省は、今や創価学会(公明党)にすっかり穢されてしまい、霞が関の文書と言えば、総務相時代の高市早苗内閣府特命(経済安全保障)担当相を貶めようとする総務官僚たちの手による怪文書(本物に偽物を混ぜたもの)が出回る始末です。
機密文書の漏洩では、先月二十四日に亡くなって再び脚光を浴びている毎日新聞社政治部の西山太吉元記者が既婚者でありながら外務省の女性職員にしつこく近づき、強引な姦通に及んだ挙げ句、日米「密約」電文とされるものなどを持ち出すよう強要し続けて手に入れ、旧日本社会党の横路孝弘、楢崎弥之助両衆議院議員(当時)に横流しして国家公務員法違反で逮捕、起訴、有罪となった事件がありました。
これのどこをどう切り取れば英雄的行動になるのでしょうか。今なお西山氏の「功績」を讃えようとする左翼・極左の神経こそ、根っから犯罪者気質であると指弾せずにはいられません。
現行憲法(占領憲法)放置の経緯から沖縄県のこと、在日米軍基地提供条約にすぎない日米安全保障条約の問題とは、全く別次元に批判し続けなければならない事件でした。これがわが国の報道権力に於いて未だ賞賛される行為なら、もはや報道に対する国民的信用を得ることを彼ら自身が捨て去ったとしか申しようがありません。
報道権力が堕ちるところまで堕ち始めているのは、この西山事件を省みることなく、総務省の怪文書を嬉嬉として報じていることにも表れています。それにしても、立憲民主党の小西洋之参議院議員が持ち出した文書の、何と質の低いことでしょうか。
行政権力も立法権力も、もう堕ちるところまで堕ち始めているのです。
さて、米国のドナルド・トランプ前大統領は、米国史上初の大統領経験者逮捕となるでしょうか。米国の報道は目下、これ一色です。事件としては小さいので、身柄拘束を伴わず起訴される可能性が高いようです。
ウクライナに露国をそそのかすよう仕向けたことと言い、米民主党のジョー・バイデン大統領が自身と次男の無能さと度を越した愚かさを隠すために事件を煽った可能性も否定できません。トランプ支持者たちがそれを確信すれば、暴動が起きることも予想され、既に治安当局が警戒態勢に入ったそうです。
しかしながら「安倍晋三回顧録」(中央公論新社刊)を拝読しますと、いかに安倍晋三元首相がトランプ大統領の対北韓(北朝鮮)外交で「商売人ゆえお金のかかる軍事行動を忌避していた」ことを北韓に気づかれないようにするか、非常に苦労したさまが読み取れます。
米国の国家安全保障会議(NSC)から安倍首相にトランプ大統領の説得を頼まれることまであったようで、まるで日米関係が逆転していたようにも見て取れますが、一方で占領憲法をどうにもできなかったからこそ「北は、日本が軍事行使できないことを知っているから、『お前なんか、どうせ弱いだろう』と、日本の足元を見てくる。だから、トランプに踏み込んでもらって…」というくだりに、得も言われぬ哀しみを覚えずにはいられません。
経済も外交も、そして北韓が犯人(犯行集団)の拉致事件も、全て占領憲法が足かせになって問題解決しないのです。
占領憲法の問題を解決しなければ「死んでも死にきれない」と言ってくれた東京都の石原慎太郎元都知事も、私が長長と示した占領憲法の問題に理解を示してくれた安倍元首相も、それでもどうにもできないまま亡くなってしまいました。
残った私たちでどうにかするほかないのです。