日露を邪魔した「反安倍」

皇紀2679年(令和元年)6月24日

北方領土返還「計画ない」 プーチン露大統領、訪日前に表明

 【モスクワ=小野田雄一】ロシアのプーチン大統領は22日に放映された露国営テレビのインタビューで、「(北方領土を日本に引き渡す)計画はない」と述べた。今月末に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせた日露首脳会談を前に、北方領土問題で態度を軟化させる考えがない…

(産經新聞社)

 いよいよ二十か国・地域(G20)首脳会議の日程が近づき、大阪市内は厳戒態勢に突入しています。大阪城や梅田スカイビル、関西国際空港と大阪空港の各展望デッキなどが二十七日から休業し、通天閣やユニヴァーサル・スタジオ・ジャパンでは手荷物検査が実施され、主要鉄道駅などと同様にコインロッカーが使えません。ゴミ箱の一時撤去や使用不可については、商業施設でも行われ始めています。

 平成七年、阪神淡路大震災(一月十七日)を乗り越えて十一月に同市で開かれた亜州太平洋経済協力会議(APEC)でも、商人の街らしく大阪市民は厳戒態勢に著しい拒絶反応(「あっちもこっちも道路封鎖で商売あがったりや!」など)を示したのをよく覚えていますが、それでも会議は成功に終わりました。今回も「やっぱり日本は品格があって、東京だけでなくどこでも安心して国際会議が開ける国だ」ということを証明できるよう、少なからず協力したいものです。

 わが国が主催国となった初のG20で、日韓首脳だけが個別会談を開きませんが、日露首脳会談は開催されます。それを前に、露空軍の爆撃機「ツポレフ95(Tu-95)」が二十日午前、沖縄県島尻郡の南大東島と東京都八丈町の八丈島付近で二回にわたり、領空侵犯に及びました。

 これに対し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して退去警告を行いましたが、首相官邸は沈黙しています。しかし、両首脳が既に合意している五項目(海産物養殖、温室野菜栽培、観光開発、風力発電といった経済協力に加え、環境対策も)の事業開始に向けた最終合意は見送られる覚悟で臨むようです。安易な合意は、国民的批判を浴びかねないと理解しているのでしょう。

 とは申しても最大の関心事は、一体いつになれば日露が大東亜戦争を終結させられるのかという点にあり、日露平和条約の締結(日露講和)が棚上げになった落胆は決して小さくありません。

 ここでは何度も指摘してきたようにウラジーミル・プーチン大統領は、稀代の愛国者です。いわゆる「母なる露国」を取り戻すため、共産主義革命で露国を駄目にしたユダヤ人の企業家らグローバリストを徹底的に追い出し、従わない者は消し去り(殺しを命じ?)ました。

 安倍晋三首相が「日本を取り戻す」と掲げて第二次内閣を立て、対露外交を推進すると宣言した時、プーチン大統領は彼が信用できる人物か否かを探ったでしょう。初めのうちはよかったのですが、次第に「やっぱり安倍首相は対米従属のグローバリストではないか」となり、或る時一瞬にして「北方領土(本来は千島列島全島と南樺太)」が遠のいたのです。

 概してわが国の保守論壇は「ただの反共」でしかありませんから、一部の保守派を除いてプーチン大統領との講和の可能性を一貫して否定してきました。つまり「露国人なんぞ中共人と朝鮮人に次いで信用ならん嘘つきだ」という思い込みです。確かに日ソ不可侵条約が(米国にそそのかされて)破られたなどの過去はありますが、ソヴィエト共産党と現在の露国は、例えば中華人民共和国共産党が秦とも(かなり飛ばして)隋とも唐とも(またまた飛ばして)明とも清とも中華民国とも何ら連続性のない別の国家に過ぎないのと同様で、まるでお話にならない相手と決めつけるには、あまりにもわが国のほうが露国に信用されていません。

 恐らくプーチン大統領は、主として米軍によって交戦権を剥奪された現行憲法(占領憲法)を「憲法」とする限りの日本では、講和(戦争を終わらせること)ができないことを知っていると思います。彼が安倍首相に期待したのは、かつて「こんな憲法は無効にできます」と発言したことでした。何らかの形で(憲法改正でも)やるのだろうと思っていたはずです。

 それが一向にやらず、一時は完全に諦めたかにも見えましたから、あくまで対米従属の安全保障関連諸法などの議論を経て、ついにイラン(義国)の問題で化学物質等輸送船(ケミカル・タンカー)を攻撃された際の煮え切らない態度(米国の出鱈目丸出しの発表に異議一つ唱えない)を見て、外交的圧力を仕掛けてきたのが爆撃機の領空侵犯だったに違いありません。

 むろんプーチン大統領の近年の対日姿勢は、私たち日本国民にとって全く受け入れられないものです。とはいえ日本は信用されていないのですから仕方がありません。領土交渉という駆け引きを目前に控え、安倍首相がプーチン大統領に「べたべた」しすぎたのも誤りでした。

 結局、安倍政権下の憲法論議さえ絶対拒絶の姿勢を見せる「ごりごりの反安倍・護憲派」によって、対米従属が据え置かれ、日露関係の平和的発展が阻害されたのです。それを思い知るべきなのです。

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