共謀罪反対の左翼のせい

皇紀2676年(平成28年)10月2日

 本題に入る前に、そろそろ劇場公開が終わりそうなので申してもよいと思いまして……あの、映画『シン・ゴジラ』(庵野秀明脚本総監督、樋口真嗣監督・特技監督)のことです。

kimg0286-1 わずかに空いた時間を利用して東宝シネマズへ飛び込んだのですが、観ているうちに全く相反する感情が私の中に沸き上がりました。つまり、日本映画の『ゴジラ』として期待された作品の質を満たしているという想いと、これはとても全世界では公開できないまるで内向きな大失敗作だという想い。

 とにかく画面に登場しまくる美しい明朝体の字幕は、市川崑監督の影響を受けた庵野監督らしい演出であり、読み切れない量であることもおかまいなしなのですが、その意図を、翻訳された字幕に疲れ切ってしまうであろう外国人が理解できるでしょうか。

 人物説明や自衛隊法の一文を示す字幕が「ゴジラのリアリティを増幅させる一つのアイテム」であることは申すまでもありませんが、それが恐らく伝わらない以上、あのままの形で全世界公開し(既に亜州各国から始まっている)、大ヒットするとはとても思えません。

 さらに主演級の三人がミスキャストであり、石原さとみは論外としても、肝心の長谷川博己と竹野内豊が政治家に見えないのです。まして首相(大杉漣)以下、防衛相(余貴美子)以外の閣僚がほぼ全員無能に近いのは、やはり枝野幸男氏になんぞ取材したせいではないかと観ていて疲れます。彼らと矢口衆議院議員(長谷川)との能力の差について、説得力がないのです。

 また、マスコミとのリークのバーターに関する場面で、突然ハリウッド映画から拝借しただけのような幼稚なものになるのも、取材協力の青木理氏のせいなのでしょうか。記者との長年の信頼関係などなさそうな若い防衛官僚(高良健吾)を登場させたミスは、青木氏が現役当時いかにその程度の扱いしか受けていなかったかがよく分かります。

 わが国がことほど左様に自国民を守るためでさえ自衛隊を出すにも困難な「占領憲法国家」かは、そのあまりの滑稽さから観た外国人に伝わるかどうかはともかく、私たちに多くの課題を提示していますが、そのリアルの追求に(ほかにも私が思うに外務官僚の台詞がおかしいなど)問題があり、それでも後半一気にファンタスティックな「無人在来線爆弾」を登場させてしまう(JR東日本の所有物!)といった大阪芸術大学「ダイコンフィルム」時代を彷彿とさせる庵野監督のパワーだけは、とてつもありませんでした。

 本作に、大して政治的な意味はないでしょう。巨大不明生物への対処に、リアルに向き合おうとした芸術家の作品であり、もちろん一見の価値があります。ただ大絶賛の嵐の中、これだけのことを申すのも早早には控えたかっただけです。映画は、映画館で観るものであり、東宝の株価が上がるほど映画『君の名は。』とともに大ヒットしたことは、大変喜ばしいことです。

 http://www.cnn.co.jp/world/35089671.html……
 ▲CNN(米国):デンマークの政党、難民対策で「スプレー」配布 非難の声殺到

 さて、本題。デンマーク(丁国)は本年一月、移民の家族呼び寄せを遅らせ、当局による貴重品の没収を認める難民申請抑制のための法案を可決しています。移民・難民問題の解決が国際的な枠組みでなされるまでの措置とのことです。

 丁国はこれまでも、難民を独国へ送還したり、賢明な読者の方がご指摘の通り国籍を取得するにも、確か四十問のかなり難しい設問に回答し、三十二問以上正解しないと合格しません。「丁国は欧州最悪」とまで言われますが、国民・国土を守るためにこのような方針の国が欧州にあることを、私たちは認識しておくべきです。

 今回の「ヘアスプレー」配布はいかにも過激ですが、このような背景を理解してから報道に触れなくてはいけません。

 移民・難民をめぐる混乱の中、まず欧州各国やわが国のような「伝統国家」と米国のような「新興国家」の違いも理解し、その上でわが国が彼らを容易に受け入れられない理由の一つに、同じ読者の方が指摘した「日本には共謀罪がない」ために「国際組織犯罪防止条約が締結できない」(外務省該当ページを参照)ことが挙げられます。

 つまり、概して移民推進に積極的な(安倍晋三首相らを除く)「反日」勢力が反対してきた共謀罪の未成立が原因なのです。こう考えますと安倍首相は、共謀罪を成立させて受け入れたいのかもしれません。

 今後の展開に注視すべき問題であることを、皆さんとともにここで確認しておきます。

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『共謀罪反対の左翼のせい』に3件のコメント

  1. 心配性:

    >でわが国が彼らを容易に受け入れられない理由の一つに、同じ読者の方が指摘した「日本には共謀罪がない」ために「国際組織犯罪防止条約が締結できない」(外務省該当ページを参照)ことが挙げられます。

    くどいようですが、ドイツにせよ、イギリスにせよ、難民を受け入れている国々は、いずれも共謀罪が存在します。(G7で無いのは日本だけだそうです。)

    日本のリベラルな方々の主張は、「シリア難民を大量に受け入れろ。但し、テロを未然に防ごうと監視をしたり、法整備(共謀罪の創設)を進めるのは人道に反する。せめて実際にテロが起ってから警察は動け!」という滅茶苦茶なものです。
    テロ計画を未然に察知して逮捕するのは「非人道」で「軍靴の音」が聞こえると言うのです。
    実際にテロが起り、死傷者が出てから警察は動くべきだと。

    もっとも、「共謀罪」が成立したところで、せいぜい数千人の難民を受け入れるだけに留まると思われます。
    シリア難民の方々は、英語が通じる国や、祖国から遠く離れ過ぎない国への一時的な移住を考えている方が多いようで、英語も通じず、受け入れ態勢のお粗末な日本を選択する人は自ずと限られると思われます。

    むしろ日本が一時的にでも受け入れるべきは、紛争地域周辺に留まり続け、病気を患い、餓死しかけている人々だと思います。
    400万人とも500万人とも言われるシリア難民が話題にならない日はありませんが、300万人以上と言われるイエメン難民が話題にならないのは何故でしょう?

    シリア人は経済力があり、高学歴で、英語も話せて、腕に技術のある人が多いので、自力で欧州を目指せるのでしょうが、中東最貧国の貧乏なイエメン人は、僅か2~3万人が海外に流出するのみだと聞きました。
    先日BBCの放送でも紹介されましたが、骨と皮に痩せ細ったイエメンの赤ちゃんたちが、続々と飢えて死んでいるようです。
    こういう飢えから深刻な病を発症した子ども達や、病気の大人達を一時的に受け入れる事は、テロの心配も少なく、中東地域に「親日家」を増やすという点でも良い事だとは思われます。

  2. 心配性:

    それから、石破氏も「共謀罪」の創設には熱心なようですね。

    リベラルな方々が「安倍総理が辞め、石破氏等が総理になれば、外交や安保でより穏健になる」と期待しているようです。
    彼らリベラルの期待する‶穏健”が何を意味するかは分かりませんが、「共謀罪」の創設や、領土を守る事、「四島返還」等については、安倍総理よりも熱心で強硬に見えます。 

    リベラルな方々が「中東難民の大量受け入れ」を政府に求めるならば、ドイツやイギリスやフランスと同じような「共謀罪」の創設も同時に求めるべきでしょう。
    今の日本は、玄関の鍵はぶっ壊れており、当然「セコム」などは全くしていない状態ですから。

  3. やす:

    私もシンゴジラは見ましたが、確かに海外では受けないでしょうし、理解されないでしょう
    日本の自衛というものをリアルに描いた点で自衛隊が攻撃をするまでの前半部分は個人的によくできていたと思いますが、その後の展開が中途半端な形で昔のゴジラ映画に戻った印象で、少し雑な展開に思いました
    本来核爆弾でも死なないゴジラが無人在来線爆弾ごときで怯むとは思えませんし、作戦に合わせてゴジラを無理やり動かしたという感じで、そのことでゴジラ本来の強さというものが捻じ曲げられてしまったのが個人的に残念でした
    人間の力ではどうしようもない絶望感を与える力の象徴だったのがゴジラですから、結果論としてゴジラ映画にリアルを求めると、逆にゴジラそのもののスケールを小さくするだけだったのかもしれませんね

    移民難民については今更議論する余地はなく、危険であることは各国が示しています
    共謀罪の不成立も問題かもしれませんが、もっと根本的な歴史や文化が違う国との有効関係なんてありえないという単純なことを理解していれば、どうすればいいかなんて誰でも分かります
    2700年近く続く日本の歴史と伝統を守る気が安部総理にはないようですね