中共主導の国際銀に好機?

皇紀2675年(平成27年)3月18日

 http://www.sankei.com/world/news/150317/wor150317……
 ▲産經新聞:英紙報道「米国の打撃」 中国は早速「歓迎」 中国主導の国際インフラ銀に仏独伊も参加へ

 この報道は、私が三月十六日記事「金の値決めに中共の銀行」で申したことを踏まえています。

 まずその前提として、仏独英ら欧州各国がすでに「米国の凋落」を見ているという現実を知るべきでしょう。私たち多くの日本国民にとっては、あまりピンとこない話かもしれません。

 しかし、仏独英のいずれも決して中共を信用しているわけではなく、米政府の要請に応える必要がないという一点です。彼らは「転落が始まった中共」でも利用できるなら利用します。

 なぜなら、中共人民経済になど何ら興味はないからです。多くの貧困層を抱えて仮に中共が沈没しても、自分たちの手元に資金がばらまかれるのであれば、唾をつけておくでしょう。

 社会基盤(インフラストラクチャー)投資を謳い文句にしながら、実態はほぼ異なるであろうことも折込み済みです。役にも立たない米政府につつかれて、みすみすこの好機を逃すはずがありません。

 ところが、亜州インフラ投資銀行(AIIB)を警戒してきた日米では、その事情が違います。わが国には亜州開発銀行(ADB)があるのに対し、米国の影響力が低下すればするほど連合国(俗称=国際連合)の国際通貨基金や世界銀行では米国の意向を反映しきれません。つまり、わが国より米国のほうが大変なのです。

 そのような中、わが国への接近という点で最も狡猾に反応したのが露国のウラジーミル・プーチン大統領であり、最も敏感に反応したのが独国のアンゲラ・メルケル首相ということになります。

 わが国がどう立ち振る舞うか、これほど問われている瞬間はありません。「中共にやられる」「欧州が裏切った」ではないのです。太平洋防衛の主導権が米国から日本へ移るかもしれないという事態に差し掛かったことを、私たちが認識しなければなりません。

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