安倍政権の不安材料=楽天

皇紀2673年(平成25年)3月19日

 http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPTYE92D05I……
 ▲ロイター:インタビュー 日本に必要なのは産業政策ではなく競争=楽天社長

 約三年間に及んだ「民主党」という私たち国民の政権選択に大いなる間違いがあったと判明した以上、麻生政権に戻すことが唯一の選択であり、安倍政権の再登板は筋違いだと私はかねて主張しましたが、有用な経済政策の示唆で誕生した第二次安倍政権をいたずらに批判し続けることは避けました。

 その成長戦略は資源と食糧の自給であるとし、むしろ安倍政権の歩むべき道を提言して皆様と共に前へ向かって進んできたつもりです。

 しかし、安倍晋三首相が環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加を表明するに至り、政府の産業競争力会議や国家安全保障会議の創設に関する有識者会議について、やはり間違いがあることは恐れずに正していかなければならないでしょう。

 今回は特に産業競争力会議の「民間議員」という存在に対して苦言を呈さざるを得ず、私たちがその暴走の可能性に制動をかける必要があることを明言しておきたいと思います。それがわが国のため、安倍政権のためなのです。

 ロイター通信の取材に楽天の三木谷浩史社長は、「この市場を開放しなければいけない。国際基準をできるだけ採用する必要がある」「弱い産業は断念して他国にまかせることが必要だと気づくべきだ」 などと答えています。

 彼は例の民間議員です。竹中平蔵元総務相もそうですが、彼らの主張は規制緩和で市場を開放すれば経済活動が活性化するというものであり、競争原理についてこられない産業はなくなってもよいというものでしょう。

 ここには「努力する者が報われる」という正論が紛れ込んではいるものの、例えば農業を保護の対象とする政策の構築を否定し、それも新規参入促進の視点から一見正論なのですが、根本的に間違っているのは農家を弱者と規定するような前提にあります。

 安倍政権が目指すべき全く新しい成長戦略は、農業を輸出産業にまで誘導する国家的政策であり、平時より戦略的物資として必要なものは国策として推し進めるという強い政治の実現です。

 よって何でも民間にまかせて競争させるだけでは経済は成長しません。それどころかかえって分野ごとに著しい業界全体の疲弊を招き、経済規模が萎縮するのです。わが国企業の資金繰りのためであれば外資も歓迎するというのが、特に分野によって国家安全保障上極めて危険であるのと同じと言えましょう。

 しかも三木谷議員の言う「国際基準」とは、一体どこの誰が作ったものを指しているのでしょうか。なぜわが国の私たち日本民族が基準を示そうとは考えないのでしょうか。これほど「占領統治体制保守」の姿勢をあからさまにしたのでは、資源採掘など出来ません。

 また国家資本主義と言えば、米国はその最たる存在です。わが国の市場が閉鎖的だとするのは多国籍企業の圧力を受けて偏向した見方であり、守るべきものを守り、既に開くべきは開いています。

 安倍首相にお願いしなければならないのは、このような民間議員の言いなりに決してなってはいけないということです。どのような経緯で人選がなされたのかはともかく、利を得るを当然とする民間人の意見が必ずしも正しくはないことを理解しておかなければなりません。

 身近なことで申せば、無理が通れば道理が引っ込むというような客の言うなりにして経営は成り立たないのであり、お断りすべきはお断りすればよいのです。

スポンサードリンク

Comments are closed.