さぁ、大変なことになった

皇紀2673年(平成25年)2月24日

 http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD2302L_T20C……
 ▲日本経済新聞:ロシアから電力輸入構想 ソフトバンクや三井物産 事業化調査、16年以降の実現目指す

 安倍晋三首相は二十三日(現地時間二十二日午後)、米国のバラク・オバマ大統領との首脳会談で、日米共に「関税の聖域」があることを確認し合って環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加の意向を表明[訂正]に向けた議論の継続を示唆しました。

 この顛末を事務方級で確認していても米政府が日米首脳による共同会見を拒否したのは、以前に申しました通り、もはや米政府にとってTPP交渉への日本参加に関する話題は「宣伝すべき大きな成果(日米首脳会談の最重要項目)」でないからです。

 とは言え、私たちはこれで大変なことになりました。何度も申しますが、私は交渉の戦列に加わることを最初から否定しません。しかし、占領憲法(日本国憲法)の有効期限が六十年前に切れていることすら確認出来ず、事実上米軍による占領統治体制を継続させてきたような政府の言う「交渉」は全く国民の信用を得ていないのです。

 これから安倍首相の真価が問われます。とりあえず就任からわずか二ヶ月で示して見せた経済政策の効果が文字通りの「余興」となるほど、不参加の決断を出来るか否かが今後注目されるのです。

 交渉参加の是非をこれから国内で判断するという段階で協定そのものへの不参加を首相が決断出来るかどうか問わなければならない背景には、私たちの意識の問題があります。

 まず、協定の諸問題を繰り返し申すことは避けるとして、協定に参加することで国内産業または事業に於ける規制緩和が促進されるという無根拠な思い込みはやめなければなりません

 そして、協定の形成経緯からして「環太平洋」の国家群が参加すべきであるという前提など一切ありません(実は「パン・パシフィック」ではない)から、不参加によって孤立するといった、これまた無根拠な恐怖に駆られて間違いを犯すべきでもないのです。

 ところが、これと別の問題のようで別ではないので取り上げますが、ソフトバンクと三井物産のように露国の電力企業と共謀して電力を輸入すれば目下国内の諸問題が解決する、或いは新規参入を促進して内需が活性化するといった間違った意見を平然と口にして、政府の経済政策に介入しようとする動きが厳然と存在します。

 これのどこが間違いかと申せば、国家安全保障上外国に社会基盤(インフラストラクチャー)の一部でも依存した場合、仮にその外国が「送電を止める」と脅せばわが国が何かを差し出すか、何かを諦めて結果大損害を被ることがあるからです。現に、私たちはこれまで資源の対外依存で何度も損をしてきました。その最大の犠牲が大東亜戦争に於ける約三百万人とも言われている人命です。

 だからこそ、安倍首相が成すべき成長戦略の要は資源と食糧の自給であり、それがわが国は可能であると何度も申しています。

 私たちの中には、わが国にそのような力はなく、農業も弱いもので「保護」を前提としがちですが、そうなりますと規制緩和の先は日本企業よりもむしろ外国企業に向けられ、それが協定参加で促進されれば、気がつく頃には私たちが私たちの国で経済活動の環からはじき出されているかもしれません。

 そうではなく、新資源採掘分野を興して成長を目指したり、わが国が独自に南亜、東南亜との経済連携協定を作成して見せるといった自信を取り戻すことこそ、安倍首相の目指す日本の力強い姿ではないでしょうか。

 私たちが政府に訴えるべきはその道であり、特にソフトバンクのような「寄生型」の「口先成長戦略」の道は、確実に内需回復の阻害要因を創出してわが国を弱体化させます。決して騙されてはなりません。

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『さぁ、大変なことになった』に2件のコメント

  1. ほらえもん:

    安倍さんは「交渉参加」とは言っていません。これは各マスコミの誘導報道です。

    ニコ動に記者会見の映像(一応一次ソース)がありますので、そちらで確認してみてください。

    これによれば、「これから持ち帰って参加の可否を‘判断’する」となっていますので。

  2. よっちん:

    うーん、、これだと交渉参加の意向を表明したっていう書き方にもなりますわな

    遠藤さんが書かれてるように不参加を判断できるかどうかが安倍さんにかかってますね