野田首相の魂胆が崩壊?
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012120300005
▲時事通信:官邸の積極姿勢が裏目=拉致停滞は必至-日朝協議延期
私は十一月二十九日記事(二十七日作成)で重要な情報を公表しました。その詳細を要約しますと、今月五、六日に開催を予定した第二回日朝局長級協議で北朝鮮に拉致された日本国民数名の生存という妥協を確認し、これを首相官邸はあくまで野田政権の成果として衆議院議員総選挙投開票日の三日前(十四日午後の予定)に会見で発表する魂胆だったというものです。
一方、独立総合研究所の青山繁晴氏は同様に、拉致事件の再調査を北朝鮮に確約させたということを野田政権の成果として投開票日の前日(十五日)に会見で発表する予定だった、と十一月二十八日夕方放送の報道番組で公表しました。
しかし、青山氏はもう一つ重要なことを指摘しています。それは、この薄汚い謀略の一切を青山氏が十一月二十五日の拉致問題総会(大阪府八尾市)で話したがために、官邸は実行を諦めたようだ、というものでした。
この点まで私は知りえませんでしたが、外務省の一部職員も憂慮していた野田佳彦首相による拉致事件を悪用したいわゆる「選挙対策案」が外部の私たちに漏れていたのは事実です。はっきり申しまして、この程度のことすら秘密裏のうちに実行できない民主党政治は国家安全保障の素人集団であり、或る意味素朴で健全なのかもしれません。
では、北朝鮮がなぜ今この時期に長距離弾道弾の発射に手をかけるのでしょうか。極寒の北朝鮮では、これまで失敗を恐れてこの時期の弾道弾発射を必ず避けてきました。まして本年四月の失敗があったばかりで、挽回するにしても時期を逸したと思います。
引っかかるのは、米国政府から発射の兆候をさかんに言われていたことであり、それでも野田首相は泰国(タイ)の首都曼谷(バンコク)で北朝鮮側(青山氏の指摘では朝鮮労働党統一戦線部)と交わした密約を優先してこれを無視してきたことです。
産経新聞社が社説で「今回の発射はまもなく誕生するであろう次期安倍政権への牽制である」と書いたように、米国政府がそれを望んでむしろ発射を見逃したのではないでしょうか。というより、米国政府はもはや朝鮮半島にほとんど関心を持たなくなり始めていますから、発射阻止の工作など何らしていないと思います。
弾道弾の迎撃に向けた動きは政府の機能正常を国民に見せつける好機ではありますが、もはや野田政権の終焉は避けられない規定路線であり、今頃野田首相は完全に占領憲法(日本国憲法)の宗主国(米国)に見放されたと知ってがっかりしているかもしれません。もう民主党大惨敗予想からの形勢逆転は無理なのだ、と。
野田首相の拉致被害者とそのご家族を莫迦にした態度は決して許されないにせよ、私たちは今一度占領憲法の有効を信じ続けていてよいのかどうか考えましょう。景気回復も社会福祉の充実もすべて憲法問題を乗り越えなければならないのであって、それを棚に上げては何も前に進まないのです。