橋下氏こそいつの時代の人

皇紀2672年(平成24年)11月28日

 http://www.asahi.com/politics/update/1125/OSK2012……
 ▲朝日新聞:公共工事公約「いつの時代の政治ですか」 維新・橋下氏

 大阪市の橋下徹市長(日本維新の会代表代行)は二十五日、愛媛県大洲市での街頭演説で「自民党は公共工事をやりまくると言う。いつの時代の政治ですか」などと、公共投資の拡大で内需の回復を目指す自民党の安倍晋三総裁らの政策を非難しました。

 実は自民党が二度下野したことと公共投資の問題は、私たちがまったく意識しなかったとしても同期しています。

 泡沫(バブル)経済に沸き、市中にお金が出回り倒していてなお公がばら撒いてきた無駄が祟った挙げ句、民のお金回りを止めてしまった(出身省庁である大蔵省を制御できなかった宮澤喜一首相のせいもあり)自民党は平成五年に政権から引き摺り下ろされました。

 そして、長く苦しい円高と内需縮小からくる強烈な給与下落(デフレーション)状態にもかかわらず公がばら撒いて民のお金回りを活性化させるべきをことごとく否定した小泉純一郎首相の影響を払拭できないまま、自民党はまたも平成二十一年に政権の座を奪われたのです。

 すなわち、橋下市長の経済に対する認識は「いつの時代か」と問うより「勉強したことはあるのか」と問わなければならない程度であり、「20年間やって結果が見えない」ではなく政府はこの二十年間にやるべき公共投資をまったくと言ってよいほどしていないからこそ、結果が見えないわけでも出ていないわけでもなく、ただ「ない」のです。何もしていないのですから結果はありません。

 安倍総裁はこの重篤な間違いに気づき、報道各社が批判したがる公共工事の促進をそれでも掲げたのでしょう。叩かれると知っていても景気回復のためには言わなければならないことがあります。日本銀行法の改正提言といい、かつて私があれほど批判してきた安倍総裁の現在の状態は以前より少しよくなっているようです。

 公共工事ということで申せば、新党日本の田中康夫代表も「各地で社会基盤(インフラストラクチャー)が激しく老朽化しており、地方自治体と連携して補修や架け替えなどで内需を回復させられる」とおっしゃっています。これは私も以前に申したことでした。

 雇用問題を抱える米国政府も同じことを始めており、橋下市長の発言はそのまま多くの米民主党所属の連邦議員やバラク・オバマ大統領に向かって「いつの時代の政治ですか」と非難しているようなものです。彼らは昨年までの二十年間でわが国の六倍もの規模で政府支出を増額してきたのですから、是非そちらにも行って叫んでください。

 安倍総裁のおっしゃる通り日銀にお札を刷らせることは大切ですが、経済が実体を持たなければそのお札は金融の間だけでぐるぐる回って終わります。だからこそ利権構造が産む不正を防止することは勿論のこととしながらも、公が資源採掘の大号令なども総動員して民にお金を投下していく必要があるのです。

 そのようなことも分からない人は、私たちの目の前で外国製品(iPhoneやルンバなど)が売れていることを平気で讃えます。悔しいならば自分たちも売ってみろというわけですが、売ろうにも公が異常な円高を是正しようとしていません。まさしく橋下市長のおっしゃった「やる気のある民間の皆さんを邪魔しない、妨害しない、これが公の行政の役割だ」に則って「いつの時代ですか」などと邪魔するのは絶対にやめてもらいたい。

スポンサードリンク

Comments are closed.