行政の仕組み知らない記者

皇紀2672年(平成24年)5月11日

 http://www.youtube.com/watch?v=3OKlJeer0PQ

 ▲YOUTUBE:5月8日登庁時市長囲み取材

 大阪市の橋下徹市長は八日、いわゆる「ぶら下がり取材」で毎日放送(大阪市北区茶屋町)の斉加尚代記者の質問に応じ、何度も怒声を浴びせる場面がありました。

 主な点は、大阪府が施行した「君が代起立条例」に関して起立斉唱の職務命令を出したのは誰か(どの行政機関か)すら調べていないまま質問を繰り返した斉加記者を叱責したこと、そして質問の最後に「今日はこのくらいにしておきますが」などと自ら暴力を振るいながら劣勢から逃れる際の言い訳のような言葉で締めくくろうとした斉加記者に厳しく注意したことです。

 私がまったく橋下市長もこれら条例も評価していないことは何度も繰り返しませんが、ただ市の公務員労組や日教組に対する取り組みの一点を支持してきたこともまた繰り返すまでもないでしょう。

 橋下市長は、この記者に対する説明の中で何度も「すべて国民に起立斉唱せよとまでは言っていない。(地方公務員でも)日本国家の公務員だから国歌を斉唱するのは当然であり、それがいやなら辞めてくださいと言っているだけだ」と繰り返しています。その通りです。

 毎日放送は、独自の取材力を生かした報道番組(『VOICE』の「憤懣本舗」など)や深夜番組が人気の地方局であり、ことのほか彼らだけが調査不足であったり、或いは不遜な態度で取材に臨み、偏向報道へと誘導しているわけではありません。

 私のよく知る地方議員は、かねてからどこの新聞社も放送局も報道記者のあまりの地方行政に関する無知・無関心の酷さに嘆いており、今回のことで申せば、教育委員会が全教員に対して職務命令を下したという仕組みが分からないのです。橋下市長がつい声を荒げてこだわった様子から察するに、定めし彼も以前から記者たちの無知にうんざりさせられていたに違いありません。

 さらに、この記者がどこに落としどころを持って行こうとしていたのかもお見通しだったのでしょう。それが彼を余計に苛立たせました。ともすれば、斉加記者が「サポートユニオン」などで労組系の左翼活動をしていると知っていたのかもしれません。国旗や国歌の議論に政治信条を持ち込むのは、右翼も左翼ももういい加減にしてください。 

 このやり取りをめぐっては、奈良県生駒市の山下真市長が九日、自身の「ツイッター」で斉加記者を擁護したことがまた別の騒動に発展していますが、朝日新聞社に一年もいなかった山下市長が「記者は忙しく、調査不足でも仕方がない」というのはおかしな話です。

 私にも覚えのある単なる言い間違いや書き間違い、または度忘れの類いならば即訂正すればよいことですが、あれほど橋下市長に食って掛かった彼女が「知ってました」とのちに言い張ったその答えを一度も自分で言えなかったことは、間違いなく報道記者として恥ずべきことでしょう。

 私たちは、往々にしてこの程度の記者たちが事件記事を書き、国家権力や地方権力にものを言っていると知るべきです。記者たちには映画『地方記者』(昭和三十七年東宝製作 丸山誠治監督)でもご覧になって、堺正俊先生(フランキー堺)演じる東朝新聞社地方通信局の中野記者を見習って欲しいと思います。

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