八つ墓村のたたりじゃ??

皇紀2670年(平成22年)6月5日

 昭和52年製作・公開の日本映画『八つ墓村』は、当時の松竹が社運を掛けた大作で、『砂の器』の大ヒットを受け、その流れを汲んで企画されただけに、野村芳太郎監督・橋本忍脚本・川又昂撮影・芥川也寸志音楽・森田郷平美術・太田和夫編集らクルーのほとんどがそのままです。

 言わずと知れた横溝正史原作ですが、本作は2度目の映画化で、近年では『犬神家の一族』などの市川崑監督が映画化に臨みましたが、到底本作の脚色の妙と迫力にはかないません。本作の何が凄いかと申せば、原作では「八つ墓明神の祟りに見せかけた財産横領と殺人」という設定が、本当の祟りによって殺人事件が多発していくというものだったことです。

 金田一耕助(渥美清)は3弾目の予告編で「報告」と称し、こう話しています。「人の生命は消えても、血となってその子孫にずうっと残っていくもんだなと思いました」と。

 私が横溝作品を好くのは、のちに気づいたことですが、その多くが祖先祭祀を基軸としてしか発想し得ないものだったからです。祖先からの生命の継承、すなわちこれは神武天皇より今上陛下に至る2670年もの皇統が続くわが国のかたちそのものなのですが、これを人類とその繁栄の基本と周知しているからこそ、本作のような娯楽作品が成立します。それを知らずして『八つ墓村』は楽しめません。

 例としてはあまりよくありませんが、昭和49年日本公開の米国映画『エクソシスト』や、或いは昭和51年の『オーメン』は、いわゆるアンチキリスト映画と言われもしましたが、実際には公開後に聖書がよく売れ、結果としてキリスト教を基本としなければ理解できない内容の宣教映画でした。そのようなものなのです。

 本作の予告編には、さらに金田一の言葉として「人と人とがふれ合い、ぶつかりあって、生きていく間には、自然とアカのようなものが落ちる。私は、そのアカに興味をもつ」とあり、そのアカが殺人事件の発生ならば、人と人はふれ合わずにいるほうがよいでしょう。それが近代合理主義であり、いわゆる革命思想です。その原理の行き着く先は、もはや人類の絶滅しかありません。皆様はそれでいいと思われますか?

 私が教育問題で体罰に言及した際、まだ「個人の合理主義からくる児童への(虐待という表現で誤摩化された)暴行・殺人」と「教育を目的とした有形力の行使」が未分化のまま反論してくる莫迦ものたちがおり、これがいずれも保守派を自称し、護憲派や外国人地方参政権、支那・朝鮮への批判だけは一人前だから困ったものです。このような保守主義の基本哲学が分かっていない輩のヨタ話に「なるほど、これが右派・保守派か」と誤解なさってはいけません。

 本作に話を戻すと、永禄9年に毛利方に攻め滅ぼされ落ちた尼子の武者8人(稲葉義男や田中邦衛ら)が、毛利の詮議に懸賞金がついたことで或る村人たちに惨殺されることから始まります。落ち武者の大将・尼子義孝(夏八木勲)は「祟って、祟って、祟って……」と言い遺し、のちに村では発狂した多治見家の祖先(橋本功)による8人(!)殺しが発生、以来落ち武者8人の魂を丁重に祀り、よってそこは「八つ墓村」(この名は実在した岡山県真庭郡八束村に基づく)となるのでした。

 落ち武者惨殺の首謀者は多治見(原作では「田治見」)家の祖先であり、実際にあった「津山30人殺し」(昭和13年に岡山県津山市近くの苫田郡西加茂村で発生)といわれる短時間無差別大量殺人事件に材を得て描かれた「32人殺し」も、その子孫である多治見要蔵(山崎努)の手によるものでした。そして今、実は24代の血を引く尼子一族直系の子孫・森美也子(小川眞由美)によって、再び八つ墓村に血の雨が降るのです。

 この恐ろしさ、この美しさ。しかも主人公の寺田辰弥(萩原健一)もまた、実は尼子一族と同郷の出身である亀井陽一の子供だったのです。この「亀井」姓は、尼子家の重臣に亀井茲矩がいたことから、横溝が仕掛けた「尼子の怨念」ではないかと思います。橋本忍はおそらくそこに目をつけ、なんと「八つ墓村殺人事件は、辰弥と美也子がお互いまったく無意識に協力してやったこと」という、本当の祟りを描きました。この展開を身体の芯から凍りつかせて楽しむには、やはり「祭祀」を理解していなければならず、仮にも「個人の救済をうたう宗教」では無理でしょう。

 基本としての祭祀は、日本民族が世界平和実現のために全人類へ啓蒙しなければならないことであって、その力もなく米軍に未だひれ伏し、政権のたらい回しをする自民党と民主党の政治にはまったく期待出来ません。少なくとも、民主党はそんな自民党を批判して登場したくせに、小沢派・反小沢派の違いなどどうでもよいほど全員で全力で私たちに嘘をつきました。ああ、末代まで祟ってやりたいが、とりあえず参議院議員選挙では一臣民としての意思を表明したい。

【緊急告知】たちあがれ日本 大阪初街頭演説会

 詳細は真・保守市民の会「たちあがれ日本 街頭演説」をご覧下さい。

【緊急告知】『救国』全国国民運動デモ in 大阪

 日 時  平成22年6月6日・日曜日 午後13時30分集合 午後16時まで

 場 所  大阪市北区「扇町公園」

      JR環状線「天満」駅下車徒歩2分 地下鉄堺筋線「扇町」駅下車2A出口すぐ

      (解散場所は同区「西梅田公園」)

 登壇者  西村眞悟(前衆議院議員)

      三宅博(前八尾市市議会議員)ほか

 主 催  チャンネル櫻を支える会・大阪 設立準備委員会

 協 力  眞悟の会・堺

 詳細は真・保守市民の会「『救国』全国国民行動のお知らせ」をご覧下さい。

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『八つ墓村のたたりじゃ??』に4件のコメント

  1. Candy:

    >基本としての祭祀は、日本民族が世界平和実現のために全人類へ啓蒙しなければならないことであって・・これこそが、日本民族(日本国)としての使命というところでしょうか。日本の今の現実を思うと、使命遂行までの道のりの厳しさを覚悟しなければなりませんが、希望を新たにしてくれた一文でした。

  2. :

    >この展開を身体の芯から凍りつかせて楽しむには、やはり「祭祀」を理解していなければならず、仮にも「個人の救済をうたう宗教」では無理これこれ↑最近、保守面している「幸福実現党」という腐敗したアホな宗教政党にも聞かせたいお言葉ですね!大体、皇紀2670年という伝統をなんだと思ってるんだかと思う人がツイッターを始めmixiやブログ、チャン桜出演者にも多い!天皇陛下に対して「可愛そう」だとか「尊敬してる」と言う言い方にも違和感持つ。象徴天皇だという事をまるで理解してない人が多すぎ。皇紀2670年という伝統が続き、現天皇陛下ご即位20周年を迎えられ、日本が温故知新の精神で発展してきた事に誇りをもつべきでしょう!間違ってますか?どう思われますか?

  3. 田中:

    懐かしい。遠藤氏の映画解説は先日の「世界大戦争」もだが、真に迫っていて面白い。「八つ墓村」の大ヒットは日本人がまだ国体を胸に秘めていたからにも思える。ゆえに遠藤氏の言う通り保守哲学は死んでいない。それがこうした映画や音楽等解説から確かに読み解ける。しかし、これほど見事に保守主義とは何かを示す人はほかにそういない。先日書いておられた大橋巨泉氏は驚くだろう。我々が日本人の左傾化を食い止めるために、皆にどう説けばよいかよく分かる。皆もこれが保守主義だと知れば自然と日本を守るようになるだろう。

  4. あきつ:

    田中様象徴天皇とは 朱鷺などと 同じと言う意味ですよ。国民が決めるのですから?おかしいと思いませんか?天皇は日本国憲法と称するものでは・・・たんなる国民の家来なのですよ絶対おかしい。