中国も米国も工作しまくり
二十二日記事でも扱いましたが、中共・共産党が世界各国で主権侵害に当たる工作活動を激化させており、当該国の政策を「中共寄り」に仕組んだり、中共産党独裁体制に疑問を呈する在外中共人の情報を本国へ漏らしてその者の身柄を拘束してしまいます。
極右政党と言いながら欧州議会のマクシミリアン・クラー議員は、旧東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)の深刻な人権問題を「反中プロパガンダだろ」などと吐き捨てたり、台湾が中共の一部であるかの愚かな発言に及んだことがあり、中共工作員を雇っていた背景にも中共の工作(暗黒面)に堕ちた可能性を否定できません。
英国でも中共工作員の逮捕者が続出していますが、翻ってわが国はどうでしょうか。自民党の松下新平参議院議員(宮崎県選挙区)の秘書だった「呉麗香」こと何丽红(フー・リーホン)工作員の書類送検は、氷山の一角にすぎず、もはや「福田康夫元首相本人を逮捕しろ」と言いたいくらいです。
そのような中共の薄汚い工作は、特に若者に人気の動画投稿アプリケーションで北京字節跳動科技(バイトダンス)が開発、運営している「ティックトック」などにも浸透しており、ついに米連邦議会上院が禁止法案を可決しました。
これを受け、米国事業を売却する気などないバイトダンスが法廷闘争に持ち込む方針に言及しています。ならばグーグルもユーチューブも、中共産党の不当な規制に対して訴えてよいことになるでしょう。
日本放送協会(NHK)の国際放送も、中共でたびたび放送を遮断されますので、訴えればよいでしょうが、バイトダンスが「合衆国憲法違反だ」として訴えるということは、日米の企業・団体がそもそも言論・表現の自由がない中共で「何に違反した」と訴えることができるものか、と考えた時、そうです。やはり中共とのあらゆる商取引、交渉など初めからしてはいけないのです。
しかしながら、少なからず冷めた目で米上院のこの裁定を眺めてみますと、米国こそ諜報のために手段を選んでいません。メタが運営しているSNS「フェイスブック」が米発の政治工作の現場だったことは、阿チュニジアで起きたジャスミン革命の出鱈目を指摘した当時、ここでも言及しました。
ティックトック禁止法案可決の最中、米民主党のアントニー・ブリンケン国務長官が上海市を訪問しています。二十六日までの日程で、北京市を訪れては王毅党中央政治局委員兼外交部長と、或いは今回も習近平国家主席とも会談する予定です。
まるで予定調和の批判合戦は、互いの工作活動をよく知り合っているからこそとも申せましょう。工作員(スパイ)防止法相当の法整備もないわが国がこの輪の中にさえ入っていないことは、それだけ私たち国民の個人情報が危険に晒されても救われることすらない現実を示唆しているのです。