露朝会談に見る日本の問題
露国のウラジーミル・プーチン大統領がこの機に北韓(北朝鮮)の酋長らしき者と面談したのは、中共の習近平体制が先月二十八日に公表した「標準地図」とされる出鱈目な地図に抗議しない理由と通じるものがあります。
この地図には、東南亜諸国やわが国も一斉に抗議しましたが、大ウスリー島を含む露中国境紛争地帯(東西分割)まですべて「中共領」としたインチキ地図に、本来であればプーチン大統領が沈黙するはずなどありません。
そこには、米民主党のジョー・バイデン大統領が仕掛けたウクライナ侵攻をめぐる駆け引きがあり、極東の戦力に問題があるため、すなわち「今は黙っておいてやる」ということにすぎないのです。それを見越して中共が勝手な真似を続ければ、必ずプーチン大統領の反撃を喰らうでしょう。
プーチン大統領を前にした北韓の三代目は、米国のドナルド・トランプ前大統領との会談時より少なからず緊張した様子でした。露中との関係が深いゆえ、誤魔化しがきかないからです。
北韓の弾道弾開発に、わが国の技術は欠かせません。それを中共ではなく露国経由で調達してきた北韓は、日米韓関係の修復が進めば進むほどそれが難しくなる可能性を危惧しています。
内心では、恩着せがましい中共にうんざりし、プーチン大統領の(ウクライナ侵攻をめぐる)手腕を疑っているのです。それが交渉中に悟られれば、プーチン大統領にそっぽを向かれてしまうことも恐れていたでしょう。
他国におんぶするほか生きていく術がない北韓は、内も外も疑心暗鬼に満ちあふれているのです。
一方の露国も、極東では満足に戦えないため、中共に沈黙し、わが国を牽制しています。駐日経験のあるアナトリー・コーシキン氏が日本の元首相とされる鳩山由紀夫氏さながらに「北海道は日本の領土ではない」などと吐き散らす思想洗脳番組を十一日、政府系通信社「露国の今日」が配信しました。
そこには、北韓工作員による対日ヘイトスピーチ(日本憎悪差別扇動)をそのままやる韓国の極左と同様、いわゆる「トンデモ歴史」が並べられ、いざという時のため、露国民の「戦意高揚」を仕込んでおくつもりなのでしょう。
ならば「樺太は露国の領土ではない」と言い返してやればよいのですが、太平洋侵略を企てる中共も、米軍による占領統治(国際金融資本の言いなり)が続いているような日本を信用できないプーチン大統領も、珍説を並べ立ててまでわが国の領土を侵す準備を怠りません。
沖縄県石垣市の仲間均市議会議員が同県知事の「反米・屈中」を批判し、中山義隆市長が仲間議員らと共に尖閣諸島の上陸調査と標柱設置を何度も政府に申請するのは、共産党人民解放軍または海警局に先に乗り込まれるのがもう目前に迫っているからです。
私たち国民の大きな財産をみすみす奪われようとしているのに、岸田文雄首相は一体何をしているのでしょうか。安倍晋三元首相がいたおかげで外相が務まっていただけの岸田氏は、決して「外交の岸田」などと呼べる政治家ではありません。
その安倍元首相でさえ、対米従属を「切れない人」とプーチン大統領に悟られて日露講和交渉が一転失敗したほど、対露外交は難しいのです。経済支援を約束してどうにかなるようなものではありません。
太平洋防衛を日米が担うという基本方針を堅持しながら、いかにわが国が自立するかにかかっています。これはまさに、わが国自身の問題なのです。