震災「ヤラセ」映画問題

皇紀2674年(平成26年)3月9日

 http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20140306……
 ▲報知新聞:役所広司、激怒!震災ドキュメンタリー映画で「ヤラセ」上映中止へ

 ドキュメンタリー映画というのはね、李纓監督の『靖国』やルイ・シホヨス監督の『ザ・コーヴ』がまもなく公開されるという時にも申しましたが、決して「事実の、そのまんま」ではないのですよ。監督がいて、プロデューサーがいて、台本もあるわけだから当然、製作者の主観で事実が切り取られ、編集されるわけ。そこを誤解してはいけません。

 だから、事実を捻じ曲げることも出来ます。演出の基本ですが、例えば女性が坂の上から降りてくる様子を撮影するとしますわね。そこへ明るい音楽を流せば、楽しい外出のように見える、と。でも暗い音楽を流せば、まるで悲壮な場面に変わってしまう。そこに彼女の実際の心情は関係ありません。

 劇映画だろうがドキュメンタリー映画だろうが、演出という点で申せば同じことなのです。

 ただ今回、梅村太郎監督の『ガレキとラジオ』を巡って、無報酬でナレーションを担当された役所広司さんのお怒りはごもっともでしょう。東日本大震災の被災地である宮城県南三陸町の災害ラジオ局を中心に、その周辺を記録した作品で、全く係わり合いのない人を登場させて演出したのは非常にまずかった

 でもね、私たちがドキュメンタリーとか記録映画とか言われるものについて、勘違いしてはいけないのです。市川崑監督の『東京オリンピック』が当時一部の政治家から批判されたのも、東京の破壊と開発から始まる演出に対してでしたが、事実をどう切り取るかは監督の勝手なのですよ、あくまで。

 観たら自分で考えなくちゃ。自分で調べなくちゃ。映画はそのきっかけになるのです。共感や同意とは別に、鵜呑みにするものではありません。『靖国』や『ザ・コーヴ』もそうですが、世界映画史で最も暗い記憶は、プロパガンダ映画の製作であり、その顛末により、のちに断罪された映画人がいたことです。

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『震災「ヤラセ」映画問題』に2件のコメント

  1. 神谷:

    「観たら自分で考えなくちゃ。自分で調べなくちゃ。」

    遠藤先生の記事のスタンスはこれなんですね。最近分かるようになりました。
    わたしはこのブログを知って間もないのですが、もっとその先を知りたいと思う記事が結構あったんです。自分で考えろ、自分で探せってことなんですね。

  2. ちびた:

    現在カンヌ映画祭に出品している「利休にたずねよ」という作品も酷いらしいですね。

    韓国の国花ムクゲがフィーチャーされたり、李氏朝鮮のお姫様が日本人に拉致されたり、不自然に秀吉が貶められたり、茶道は朝鮮の影響を受けたとか捏造満載らしいですよ。
    ウリナラマンセー、ディスカウン トジャパン プロパガンダ映画であることは間違いないでしょう。

    海老蔵はじめ3人も歌舞伎役者が出演してるとか

    最近はアメリカだけでなくフランスでも活動が活発なようですね。
    「日本人が作った映画」として事実が間違って世界に広められます。

    詳細はこちら

    http://ameblo.jp/darkpent/entry-11727510707.html