100年前の条約が有効

皇紀2676年(平成28年)2月14日

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/timeline/list/CK20160211……
 ▲東京新聞:オランダの扉 100年の時を超え サッカー日本選手 移籍に追い風

 東京新聞社が紀元節に配信した記事ですが、単なるスポーツ関連記事と片づけてはいけません。オランダ(蘭国)リーグで活躍する日本人選手が増えるかもしれないという指摘の根拠とした「日蘭通商航海條約」のことは、日本国憲法(占領憲法)問題で寝とぼけてきた私たちに意識改革を促すものです。

 この条約は、仏国がマダガスカルを植民化した明治二十九年(グレゴリオ暦千八百九十六年)に日蘭が締結した通商航海条約の改正で、豪華客船タイタニック号が沈没した明治四十五年(千九百十二年)の七月六日、明治天皇御崩御(同月三十日)前に結ばれました。

 外務省が公開している条約原文(該当PDF参照)によるとその後、大東亜戦争占領統治が終わった翌年の昭和二十八年五月二十九日に復活の通告を受け、同年八月二十九日に復活したとあります。

 これを多くの私たち日本人が忘れてしまっていたのです。再認識させられたのは、新聞社配信記事にもあるロッテルダムの日本をテーマにした文化会館「財団法人松風館」の宮大工招聘を巡る違法労働か否かの裁判でした。

 実は、蘭政府もすっかり忘れていたのでしょう。労働局が宮大工を違法就労と指摘し、罰金を課そうとしたことに対し、松風館側に立ったジュリアン・ルスキュア弁護士がこの条約を根拠に労働局の間違いを追及、裁判所がそれを認めたのです。

 国際法上有効な条約の存在が忘れられていたということは、いかにも私たちの認識の程度を表しています。私たち自身が「もう六十年以上も経っているから」と占領統治終了後も未だ有効のものと信じ込まされてきた占領憲法の出鱈目は、逆に日蘭両政府の忘却の彼方にあって百年以上前の条約が今なお有効だったという一事例をもってして到底許されるものではありません

 大東亜戦争下、日蘭は激しく敵対しました。それでものちに条約(「最恵國の臣民又は人民」の記述あり)の復活を確認し合ったことこそ「未来志向の関係」であり、この姿勢が中韓には全く存しません。

 因みにこの条約第一条の規定により、蘭国が第三国に出したいわゆる「就労許可免除」を日本臣民にも与えたからといって、わが国が国内法で認めていない特権を蘭国民に適用しなくてもよいことになっています。

 私たちがしっかりしなければ、必ずしも内閣法制局といった政府機関が正しい法の認識を持っているとは限らないのです。

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