安保反対…賛成派も各地で

皇紀2675年(平成27年)8月30日

 http://www.sankei.com/politics/news/150829/plt1508290018-n1.html
 ▲産經新聞:安保賛成派が都内でデモ 「戦争法案のレッテル貼りは見当違い」 大阪、福岡でも

 いわゆる「安全保障法案」に対する反対派は権力の暴走を許さぬ戦争反対の平和主義者であり、賛成派は権力とともに暴走する好戦的な国粋主義者、というのは全くの間違いです。両者に共通しているのは「(政府に)戦争をさせない」と謳っていることにあるでしょう。

 私は日本国憲法(占領憲法)の、特に第九条こそ「米国(連合国の日本占領統治を主導した国)の戦争に反対できない」諸悪の根源だと申してきました。

 朝鮮戦争でわが国から戦死者を出したこと、ヴェト・ナム戦争に反対できなかったこと、湾岸戦争に多額の資金を提供させられたことやイラク戦争に真っ先に賛成して外交官二名を死なせ、自衛隊員を派遣させられたことを私たちはもう忘れたのでしょうか。わが国はおおよそ「平和国家」とは程遠い「戦後」を歩んできたのです。

 七月二十五日記事で申したように、個人差があることを前提として学校で習ったことしか頭にない人には安保反対の主張が分かりやすく、賛成を言うからにはもう少し自分で学んだ結果の問題意識が表出しているように思えます。

 実は私は昨日、次世代の党のタウンミーティングに参加し、何年かぶりにただ登壇せず拝聴する機会を得ましたが、現職のころにはNHK問題に鋭く切り込んだ三宅博前衆議院議員や中山恭子新党首の話を伺って思ったのは、北朝鮮による日本国民拉致事件の全被害者を奪還してみせるだけで安保法案の不毛な議論は吹き飛ぶのです。安倍政権の喫緊の課題はやはりこれでしょう。

 被害者ご家族のお一人である有本明弘さんも、法案に関する報道では「テレビ朝日とTBSは許せない」とお怒りでした。反対派の主張しか取り上げず、連日安倍政権を非難しています。

 よく見れば七月二十九日配信動画には読むに堪えない(私は「この法案可決は危険だ」と警告してきたのに)頓珍漢なコメントばかり書かれていますが、この動画の主旨は二十八日記事で申した通りで、その上で人間が努力して勝ち取る言論の自由ではなく「言論の自由」という現代用語をアイロニーで包み、敢えてパロディ動画のほうよりもテレビ朝日とTBSを批判しました。私はむしろ、反対派の失態とそれが地上波で無気力に拡散されたことを心配しているのです。

 言論・報道の自由を言うなら、賛成派が全国各地でデモをしていることも取り上げなくてはなりません。わが国にはその自由が本当はないのです。

スポンサードリンク

『安保反対…賛成派も各地で』に4件のコメント

  1. Joanna:

    遠藤先生、毎日の配信、お疲れ様&ありがとうございます。
    さて、今エントリーにありました「朝鮮戦争でわが国から戦死者を出した」という件につき、勉強不足で申し訳ございません、初めて知りました。
    調べていくうちに「国連軍での参加うんぬん」になっていったのですが、事象だけを記憶する学校世界史観点では無理筋だなと。というよりも、一事象を全世界から見なければならないのですね。近現代史を正しく学ぶには覚悟が必要だと痛感。また、学ぶ意欲のある者への「覚悟」の啓蒙も必要だと認識いたしました。正しさを広めるには「苦難」を強いることもある大変なことなのだと、少々頭がくらくらした次第。

    都合のよい話ですが、戦前・戦中・戦後及び明治以降の日本に関し、お薦めの学び方や書物等があればご教示いただけると幸いです。どうかご自愛を。

  2. ゆき:

    先生の趣旨に反することを書くのは気が引けますが、地域を外した日本の軍事の係わりは、危険です。
    シリアなどからドイツを目指す難民が80万人になるとか。イラクやアフガンも含めて。全て米国の政策の失敗によるもの。対応しきれない米国が、そのつけの一部を日本に払わせるのがこの法案にはある。ペルシア湾岸の警備の人事に日本海上自衛隊がトップに立ったというのはすべて米側が安倍氏の国会の動きを見てのこと。そんなに米国の指令が怖いのか。イラン革命で暴露された米国の指令はえげつないものであったが、日本もその方向で押しやられている。解決しない紛争地として中東が目の前にある。中国は別に考えて、地域を外した軍事貢献は絶対米国の手足のように使われるから、泥沼に入り恨みを買うから、だめである。

  3. 矢沢永基地派:

    安保関連法案に反対する人々の無理解→ http://chronos.blog.jp

  4. 遠藤 健太郎:

     皆さん、いつもありがとうございます。配信動画のほうも何卒よろしくお願いします。

    Joanna様
     歴史に関する本というのは実に面白いもので、例えば保阪正康氏のような「ルサンチマンそのもの」という趣の人物が書いた程度の本でも、知識としては役に立つことがあります。ですから著者の政治思想の左右を問わずに読んでみるのも面白いもので、私はまず大きな書店の歴史書コーナーに行っておもしろそうな本を片っ端から読んでみるのです。
     或いは、谷崎潤一郎の『細雪』のような文学作品からも、わが国の大東亜戦争以前の豊かな様子を学ぶことができます。

    ゆき様
     「地域を外した日本の軍事の係わりは危険」という考えは、私もかねてよりここで何度も申していますので、決して私の記事の趣旨に反していません。どうぞご遠慮なく。