政府は誤情報で対抗するか

皇紀2675年(平成27年)1月23日

 http://www.sankei.com/affairs/news/150122/afr150122……
 ▲産經新聞:【イスラム国殺害脅迫】北大生渡航事件に関与の元教授が「交渉役」に名乗り

 破壊活動(テロリズム)団体「イスラム国(ISIS)」による日本人二人の殺害警告について、二十一日記事で申したことの「本当の意味」をいよいよ述べます。それは、最初に申した「絶対にこの二人は助からない」かもしれないという残酷な現実です。

 よく例示されるのが、昭和五十二年に日本赤軍が起こしたダッカ日航機ハイジャック事件ですが、わが国政府が日本国民一人当たりの生命に値段をつけてしまったのがこの一件でした。

 安倍晋三首相は、北朝鮮による日本国民拉致事件の解決に深く関与してきた国会議員の一人です。拉致事件の発生を促したとも指摘される福田赳夫元首相のようなことは、絶対にしません。

 一方、原油価格の下落に伴う収入減などにより、ISISがわが国から金銭を引き出したいであろうことをよく知っており、すべて分かった上で中東歴訪を断行しました。

 すなわち、私たち国民一人一人に値段をつけさせない決断をするということは、逆に誘拐されてしまったお二人は生還できないかもしれないのであり、とても辛いことですが、私たちはその展開を今から覚悟しておかなければならないのです。

 よって、身代金として提示された約二億ドル(約二百三十四億円)の一部でもテロリストたちに政府が機密費から支払うようになどと、私たちが簡単に主張してはなりません。

 だから「どうせ二億ドルを使うなら『個別的』と言うらしい自衛権を駆使してミサイルでも撃ち込めば(=お二人を助けることに固執するならば一億総国民が戦う覚悟を決めれば)」などと木で鼻をくくったようなことを申したのです。本当に「そうしろ」という提言と受け止められた方は、恐らくこれまでの全体を読まれておられないだろうと思います。皆さんなら「どう覚悟しておくべきか」と自らも考えられたでしょう。

 その上でもう一つ覚悟すべきは、政府が交渉に関する一切の情報をすべて開示するとは限らないことです。目下「ISISと接触できていない」という報道も、すでに政府が漏らしたディスインフォメーションかもしれません。

 しかし、私たちがこれを非難できるでしょうか。なぜなら人命がかかっているからです。

 同志社大学の中田考元教授のようなことを言う人は、今後も報道ベースで増えるでしょうが、政府はまったく相手にしていませんし、直下の批判を恐れず将来の国民生命に責任を持とうとしています。

 さまざまな批判は別にして、湯川遥菜さんを助けようとシリアに入国したものの同行ガイドに騙されてやはり拘束されてしまった後藤健二さんが「すべて自分の責任です」と語っていたことは、この方なりの覚悟だったでしょう。

 「占領憲法(日本国憲法)第九条の信奉者ご一行を交渉役に派遣しては」と言ってみるのも一興ですが、政府が後藤さんの覚悟に報いることができるか、私たちはさらなる覚悟を持って注視すべきです。

スポンサードリンク

『政府は誤情報で対抗するか』に3件のコメント

  1. :

    テレビでは、ISISが「お金のためではない」と言ったことを受け、色々な深読みをしています。
    安倍内閣に打撃を与えたいのでは?とか、イスラムへの援助を止めさせたいのでは?とか。
    「それはあなた達の希望?」とツッコみたくなります。

    今回の身代金に対しては「払うな」と言う意見が大半で、私も払うべきではないと思います。
    しかし、それに伴い、人質になっている二人に対し、誹謗中傷の類も見受けられるのは残念です。
    見捨てる相手に過失があれば、多少なりとも良心の呵責も和らぐという心理なのかもしれませんが。

    これから益々日本もテロに巻き込まれる可能性が出てきました。
    『テロに屈しない』 言うのは簡単ですが国民一人ひとりにテロと戦う覚悟があるでしょうか?
    もし、人質が攫われた子供だったら、やはり他人事のように「身代金を払うな」と言えるのでしょうか?

    また、サヨクと呼ばれる人達が人質の命など安倍政権打倒のチャンスとしか見ておらず、偽善者達の醜態ぶりが目に余りました。
    少なくとも今回のように、テロリスト批判よりも自国の首相を攻撃することに懸命になるような輩がいるようでは、いざという時に政府も国民も足を引っ張られるでしょう。(正当な批判はもちろん大事ですが)
    これまで、どれだけ反日行為をしても、直接法を犯さない限り「表現の自由、思想の自由」で緩く守られてきた反逆予備軍に対し、その愚行が直接的にも間接的にも国民を危険に晒すということをもっと認識する必要があります。
    ましてや、国内にも眈々とテロを企てている組織がいるわけですし。

  2. きよしこ:

    遠藤先生にも読者の皆様にも是非ご覧になっていただきたく思います。

    安倍首相の「イスラム国脅迫」への最初の対応は良かった。人質生還のチャンスはある
    http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41855

    「誤情報」「曖昧戦術」というのもやはり今回のようなケース、そして占領体制下の日本ではやむをえず必要なものなのですね。後藤氏の母親の記者会見がどうもキナ臭く怪しげなのですが、少なくとも我々では到底足元にも及ばないような強い覚悟を持ってシリアに渡られた後藤氏の意志に報いることができるよう「覚悟」を決めねばならないでしょう。

    「すでに殺害されている」という結末も含めて。

  3. ゆき:

    日本人は、平和ぼけである。あるイランの研究留学生と72年に知り合い、その後交流もなくきたが、40年間彼は革命、戦争、移住を経て異国の地で亡くなった。故国と国交を断絶した国で、異教徒と同じ墓に葬られている。日本の大学も彼を平等には扱わなかったようだ。信義の厚い人で、明治維新の日本留学生も彼のように志があったのではと思う。娘さんと連絡が取れてイライラ戦争時国外に出たイラン人は多かったようだ。文字は同じだが、アーリアである彼らはアラブとは異なる。原理主義をとっているが、祈りは3回、しない人もいると言う。平和な日本での40年間を鑑み、今回人のために尽くしたいと言い、危険な地区に自ら出て行く態度は賞賛できるものなのか。本当に辛苦をなめてきた中東の民族からすれば、平和ボケなのではないか。戦地から逃げざるを得ない人々と対照的に引き寄せられる人達。米国はイスラム国の戦闘員6000人を爆死させたと言う。1700回以上の爆撃があったというから、一回3人位の死亡率。そんな危険な地区に緻密な計画もなく、のこのこと出て行く人間を賛美する日本は本当に平和ボケだ。貧乏国で支払う金がなければどうするのか。