中共はなぜここまで言うか

皇紀2673年(平成25年)10月10日

 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013100900238
 ▲時事通信:日本は中国にも敗北=歴史認識でけん制-駐米中国大使

 中共の崔天凱駐米大使は八日、わが国に対して「平和を愛し、ファシズムに反対した中国(中共)や米国を含む連合国とその人民に敗れた」と述べ、日本政界に歴史認識を見直そうという「不穏な傾向」があり、それは中共のみならず米国や亜州諸国の国益を害すると強調しました。

 さらに、日米両国が防衛協力のための指針(ガイドライン)再改定に合意したことについて、亜州太平洋地域を有望な市場と見て協調の道を歩むか、紛争の危険に満ちた潜在的戦場と捉えるか、二つの見解が存在すると述べ、日米両国にくぎを刺しています。

 崔駐米大使は駐日大使も歴任しましたが、決して北京政府の中で、或いは中共共産党の中で強い発言権を有しているわけではありません。つまり、彼は共産党の方針に従うだけです。

 しかしその中で、駐米している者の体感として今回の発言があるということに、私たちは注意しなければなりません。米国の首都ワシントンD.C.にあるジョンズ・ホプキンス大学ポール・H・ニッツェ高等国際関係大学院で開かれたフォーラムでの彼の発言は、かつての留学先で舌がよく滑ったという程度の話ではなく、崔大使が或る確信をもって述べたことばかりなのです。

 大東亜戦争でわが国は中華民国・国民党と戦いましたが、当時存在すらしていない中華人民共和国の共産党とは(正式な歴史として)戦っていません。よって、崔大使の講演はここから話がおかしいのですが、彼が米国民に言いたかったことはそこではないのです。

 要は、安倍晋三首相らがいわゆる「東京裁判史観」を覆そうとしていることの危険性を強調し、それは米国にとっても不利益であると喧伝するのが最大の目的であり、何度も申しますが、中韓は政府単位で対米「反日」喧伝(ロビー)活動をやって成果を上げています。

 崔大使のこの発言は、明らかにその手ごたえを反映したものに他なりません。米国の一部地方自治体も「反日」喧伝に応え始め、連邦議会のみならず国務省などの連邦政府内部にも「親中派」が何人もいます。

 また、最近では自治体の首長に中共系が複数就任しており、中共はもはや米国を内部から侵略し始め、太平洋防衛を共有するわが国をも呑み込もうとしているのです。だからこそ、日米防衛指針の再改定に軽くくぎを刺したのでしょう。そこには中共側の焦燥感など全くなく、むしろ余裕すら感じさせます

 菅義偉官房長官は九日午前の記者会見で、崔大使の発言を「論評に値しない」として一笑に付しましたが、これは(菅長官が有能であることとは別に)非常に危険な態度です。呆れるほど低次元の講演に聞こえますが、彼は韓国の外交官ではありません。確かな目論見と確かな方法を手に入れた上でこその発言が、ついにここまできたということなのです。

 私たちもその認識をもって中共の動向に注視しなければ、笑い事では済まなくなります。もう一度提言しますが、安倍政権は現地人を使った対米「親日」喧伝活動を真剣に始めるべきです。

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『中共はなぜここまで言うか』に3件のコメント

  1. ゆき:

    戦勝国の歴史認識といえば、イスラエルに対してドイツは一言も文句が言えない。パレスチナ人に対して彼らの土地を侵食し、勝手に住居を建てる。アラブの土地は広大で、ここから出てもアラブだから出ていけばいい、というのが一般イスラエル人の考え方。これを批判してもにドイツがどうと言われることはない。しかし、グラスが批判的なことを言うとイスラエルは叩きまくった。あちらも同じだなと感じた。
    中国は他国に尊敬されるような国であるならば、日本も耳も傾けよう。金儲けに余年がなく、地下資源はチベットやウィグルから収奪し、逆らえば難癖つけて例えばテロリストとして銃殺刑。漢族の集団移住が始まってから、それぞれの民族性も破壊されている、民族浄化か。人権はなく、公開処刑に子供を抱いて見学し、笑う農民の姿があるし、河川は赤や緑に変色し、空気は粉塵が舞飛ぶ。日本も汚染のあおりを受けている。こんな国に敗戦国はいつまでも服従せよといわれる覚えはない。
    かつての日本は軍国主義だったが、今は民主国家である。彼の国が賄賂国家、自由のない国家、弱小民族を浄化する国家、技術を盗んで新興国で製品を売り、模造品、偽装品で儲ける国家、何を偉そうに言ってるのだ。

  2. ポンスケ:

    どう考えても、中国の現状の方がファシストに見える筈なのに、アメリカも
    自分に火の粉が降りかかるとなると、コロっと騙されるんですね。

    「東京裁判史観」を覆そうとしていることの危険性と言われて、アメリカは
    何をそんなに危惧しているのでしょうか?
    日本人としては、せいぜい東京裁判で有罪になった人と、侵略戦争という
    汚名を返上したいという思いがあるだけで、どっかの国のように、アメリカに
    謝罪と賠償を求めることまで考えていないと思います。
    (まぁ、東京裁判が間違いだったと言えば、原爆投下も過ちになり、それに
    ついては賠償責任はあってもいいと思いますが)

    いずれにしても日本人は、相手の陰口を言うことを卑怯だと思ってしまうので、
    こういうロビー活動ではどうしても後手に回ってしまいますが、これからは
    正攻法では国を護ることはできないですね。

  3. NP:

    法の秩序で問題を解決するという安倍首相の対極にあるのが二国間で話し合うという欺瞞の直ぐ裏にある「力による解決」を国是とする中華人民共和国です。

    自分たちのやることには他国を関わらせないように内政干渉と言い、歴史認識を含め日本などには気持ちが悪いほど干渉して来る中華人民共和国。

    日本はシーレーンという国益そのものを守る事に中華人民共和国の脅し、ウソ、戦略と対峙し勝たなければなりません。
    それにはどうすれば良いのか?
    それを考えましょう。