シリア情勢進展、日本の志
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▲47NEWS(共同通信):化学兵器の国際管理を/米ロがシリアに提案
化学兵器を使用したのはアサド政権側か、それとも反政府を名乗る破壊活動(テロリスト)側か……叙国問題は大きな進展を見せました。共同通信社の十日配信記事では米露が叙国に直接提案し、交渉を始めるかのような内容になっていますが、実際は露国のセルゲイ・ラブロフ外相が九日、叙国のワリド・アル=ムアレム外相と直接会談し、政府保有の化学兵器を国際管理下に置くことで既に合意したのです。
これで事実上、反政府側が化学兵器を使用出来なくなります。
私は叙国への仏米主導の軍事介入には反対してきましたが、一方で反政府側から武器弾薬を奪うべきだと申しました。それは、米国が主張するような政権側による化学兵器使用の証拠がなく、「反政府側」と一言で、例えば「自由叙国軍」と申しても、全く一枚岩ではなく、アルカイーダと関連するアル=ヌスラ戦線が過激な行為を主導している可能性が高いからです。
七月十一日には、自由叙国軍の司令官がアルカイーダ系武装勢力「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」に殺害されました。そこには、自由叙国軍が実は米中央情報局(CIA)らの秘密訓練を受けた組織であり、米政府は彼らに軽兵器しか供与していないことを誰よりも知っているため、化学兵器を使用したのであれば政権側だとの考えがあるのでしょうが、先述の通り反政府側の体制はもはや米政府の想定を外れており、今や叙国の混乱を創出しているのが自由叙国軍ではないという現実が横たわっているでしょう。
そして、多くの国民が殺され始めました。この混乱から叙国を建て直すには、きれいごとを抜きにしてもう一度正当な政権が統治出来るよう、外国からの介入組織を一旦整理しなければなりません。
バッシャール・アル=アサド大統領を「無能」だの「世襲の独裁者」だの何と言おうと、形式であっても叙国民による信任投票を受けた彼の為政者としての正当性を否定する権利は私たち外国人にないのです。
この基本の確認は、わが国も外交によって証明すべきでした。しかし、占領憲法(日本国憲法)が有効なままではほとんど何も出来ないため、一部に見られる「九条のおかげで平和だ」という主張とは裏腹に、戦争回避(いわゆる「世界平和」)に一切貢献出来ません。
とはいえ、露国は地理的優位を確保するために叙国の政権側を支持してきただけですが、それによって、英国の支持を失った米国が「軍事介入の泥沼にはまりたくない」という別の本音を満たせたのです。理想の実現には、このような各国の思惑をよく読み取って行動しなければとんだ大怪我を負いかねません。
そうならないためにも、やはりわが国政府が自力で情報を収集する組織を持つことです。安倍政権はその創設を目指していますが、従前のような典型的官僚組織しか作れないようであれば、当面はいわば「秘密組織」でもよいのではないでしょうか。