中共、人民に歳出削減宣伝

皇紀2673年(平成25年)7月10日

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で陣頭指揮を執った吉田昌郎元所長が九日午前、東京都新宿区の慶應義塾大学病院で食道癌のため亡くなりました。五十八歳でした。

 吉田氏に対する専門家の評価は二分しますが、少なくとも、混乱したまま指示を出す東電本社と頭のおかしな行政府の長に押し潰されそうになりながら、現場で決死の判断を下し、部下と共に事故と戦い続けた吉田氏は、自身の津波対策に関する想定の過ちを自身で正すかのように行動した人です。

 衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。

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 http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE96701B……
 ▲ロイター:中国、政府機関に対し歳出の5%削減を要請=報道

 中共財政部はこのほど、共産党中央と国務院の要請に基づき、本年の歳出を五%削減するよう中央機関の各部門に通知しました。いよいよ緊縮財政に舵を切ったわけです。

 これは中共経済の成長率が著しく減速し、財政収入が目標を大きく下回り始めたことに起因しますが、一方で、いわゆる「無駄遣い」の抑制を広く人民に示すことで、北京政府への批判をかわそうという狙いがあります。

 共産党と地方政府の汚職が多発してきたことは、経済の伸びとは無関係に低所得のままである多くの人民を反政府へと蜂起させてしまうかもしれない問題であり、習近平国家主席は就任以来一貫して体制を維持出来るか否かの瀬戸際にあるのです。

 埃国(エジプト)では、ホスニー・ムバーラク元大統領の失脚により選挙で選ばれたはずのムハンマド・モルシー前大統領が軍の介入で解任されたため、内戦状態に陥っていますが、これも低所得者層の既得権益問題が事の発端と申して過言ではありません。

 泰王国(タイ)のタクシン・チンナワット元首相支持派による反政府行動が一時激化したのも、もともとタクシン政権下で低所得者層にばら撒かれていた補助金を再び欲しがった人たちの主導によるものと斬り捨ててほぼ間違いなく、彼らの言う大義名分はあとからつけ足されたものです。

 回教徒の多い国家として埃国の場合、宗教的原則(世俗主義など)に関する問題は当然絡んでいますが、新政府が旧政府の不公正な諸問題を解決しようとする中で、自ら所得を増やそうとはしない(病気などで出来ない場合をもちろん除く)一部の旧支持層への不正な補助金支給を停止したことで反政府が激化し、体制が転覆したというのでは、俗に「民主化」と謳われる問題が問われているわけでも何でもありません

 しかし、「低所得者の高負担」という不公平が起きる問題は、わが国も他人事ではありませんから、非独裁体制への移行過程に政策的問題があった可能性はあるでしょう。

 人は貧に窮すれば藁をも掴もうとし、団結して自分たちよりも遥かに大きなものを倒してしまいます。「反日」を扇動してきた中共共産党が最も恐れているのは、これが自国で起きることなのです。

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『中共、人民に歳出削減宣伝』に1件のコメント

  1. galaxy:

    吉田所長の評価では何処か番組で言っていたように功罪両面というところでしょう。
    しかし、それでも今の世の中、自分の尻拭いもしないで人のせいにしたりする輩の多いなか、逃げずに仕事をした人とは言えるでしょう。

    他の東電役員、幹部、関係政治家などと比較すればその人物像はよりわかり易いとはないでしょうか。
    それにも増して人間的魅力の断片的な話がこれほど出て来る人物というのはやはり早すぎる死を惜しまれます。