北朝鮮の発言が後退の理由

皇紀2673年(平成25年)7月4日

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/130703/asi130703……
 ▲産經新聞:北朝鮮非核化へ対立鮮明 ASEAN地域フォーラム閣僚会議閉幕

 文莱(ブルネイ・ダルッサラーム)の首都バンダル・スリ・ブガワンで開かれた東南亜諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)の閣僚会議と、東亜サミット(EAS)の外相会議は二日、閉幕しました。

 日韓外相会談が開かれたことや、日中外相会談が開かれなかったことは、決して大した問題ではありません。今会合は南支那海を巡る中共の態度と、北朝鮮の体制そのもの、そして日米がどこまで亜州の安定に寄与出来るのかが問題の焦点だったのです。

 ARFには北朝鮮の朴宜春外相が出席しましたが、本当に外交を仕切っているのは労働党の金永日書記(国際部長)であり、朴外相が核問題でも日本国民拉致事件についても従前の主張を繰り返したのは、いかに彼が岸田文雄外相ほどの実権すらも持ち合わせていないかよく分かります。

 彼は「拉致事件は既に解決済みだ」と発言しましたが、これでは飯島勲内閣官房参与が訪朝する以前の物言いであり、まるで飯島参与と金書記の会談がなかったかのようです。

 ところが、日朝交渉に米政府から待ったがかかり、安倍晋三首相の動きが止まっている以上、朴外相に何か新しい発言をさせるわけにはいきません。これが北朝鮮労働党の判断だったのです。

 これまで何度も申してまいりました通り、中韓の接近は北朝鮮にとって二重苦であり、一つは中朝国境の緊張が北朝鮮そのものを覆い始めていること、もう一つは南北(韓朝)の根源的対立(韓国は日米側、北朝鮮は中露側という構図)がぼやけることで北朝鮮の体制維持が難しくなることに他なりません。

 だからこそ南北対話を通して「南北対立」を確認しあうのが朝鮮半島の現実だったのです。朝鮮半島の統一など両国が望んでいるはずもなく、統一の障害は北朝鮮の「金一族体制維持」という方針そのものでした。

 北京政府が本年五月、国営四銀行に北朝鮮への送金業務停止を命令したのは、まさに金一族体制への揺さぶりであり、そもそもこの要請が米政府から発せられたものだったことから、ゆえに現体制下で日朝交渉を進めてもらっては困るという思惑が米中にあり、米国は中韓の接近を見逃しているのです。

 これは私が本年に入ってから一貫して申してきたことであり、今月に入っても状況は全く変わっていないということが今会合ではっきりしました。一日も早い帰国を待つ拉致事件被害者ご家族にとっては、あまりに過酷な外交戦が繰り広げられているのです。

 また、中共の王毅外交部長がわが国に対し、一方的に沖縄県石垣市尖閣諸島の「棚上げ」を口にして場を去ったように報じられていますが、岸田外相はその場で大いに中共を牽制しており、南支那海問題でも明確に「東南亜諸国(特に越比馬各国)側につく」と述べています。

 しかし、どうしても占領憲法下では外交に致命的な限界があり、統治体制に最も問題があるのは実のところわが国だったのです。中共の海洋侵略に対しても、北朝鮮が起こした国民拉致や核兵器開発に対しても、いわばわが国だけが東南亜諸国の感覚とは裏腹に「解決集団の蚊帳の外」と申すしかありません。

 米国はまたも中共にそそのかされて、中共の思いのままの「北朝鮮改造」がなされるかもしれず、米軍の事態解決力にも限界が見え始めた昨今、本当はわが国が自立し、米国や東南亜諸国と連携して事に当たらなければならないのです。

 私たちはその意識を持って、本日公示される参議院議員選挙の投票行動を決めましょう。

スポンサードリンク

Comments are closed.