野田首相の魂胆-日朝協議
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012112700372
▲時事通信:来月5、6日に日朝協議=拉致問題引き続き協議へ
二回目となる日朝局長級協議は来月五、六日に北京で開催されます。一回目の協議を終えた時点で、各社報道にも「北朝鮮は日本人拉致事件を議題の一つとすることに積極的だった」とありましたが、私は極めて不穏な空気を感じました。
その上で判明したことをはっきり申しますが、これは民主党の野田佳彦首相が十六日の衆議院解散、来月十六日の総選挙投開票を決断したことと無関係ではありません。最後までしたたかな野田首相は、拉致事件の何らかの進展に明確な手ごたえを得たのです。
いえ、わが国の妥協に北朝鮮が応じたのですから、被害者家族にとっての手ごたえとはまったく同一ではありません。決して拉致被害者の全員が帰ってくるわけではないのです。
野田首相は正規の日朝協議とは別の人脈で北朝鮮工作員と密約を交わした形跡があり、その舞台は泰王国(タイ)の首都曼谷(バンコク)で、あくまで日本政府が北朝鮮に数名の生存を確認させたという内容になります。
それを投開票日の三日前(来月十四日午後の予定)に会見で発表し、一気に総選挙の形勢逆転を狙うという薄汚いことこの上ない魂胆です。もう一度申しますが、これで有本恵子さんや横田めぐみさんは帰ってきません。
二十六日記事で「民主党と市民の党」について久しぶりに言及しましたが、米国が断行した北朝鮮に対する金融制裁の効力を奪い去った民主党本部の姿勢は、自分たちの利益のためであれば拉致被害者を選挙に勝つための道具にさえします。
今回の日朝局長級協議は間違いなく出鱈目なものです。西村眞悟前衆議院議員(近畿比例予定=日本維新の会)が国会議員で初めて拉致事件の存在を追及して以来、その解決を訴える鋭さから民主党に嫌われ、はみ出していくことも辞さなかったような身を挺する想いで事件の解決を試みようという政治こそ、私たちが心から切望するものではありませんでしたか。
何度でも申しますが、北朝鮮による日本国民拉致事件は桑港講和条約発効後も占領憲法(日本国憲法)の有効を私たちが信じてきたがために起きたものです。この無効なくして北朝鮮の妥協を引き出すことはできません。なぜわが国が妥協するのですか。
総選挙の争点は「護憲か、改憲か、無効か」です。改憲を言うにせよ、限りなく無効に近い認識を持たないような政治家に経済も福祉も教育も任せてはいけません。拉致被害者を何としても取り返すためには、わが国が占領憲法の系譜ではないことを宣言するしかないのです。
【追記】
上記本文内容は二十七日夜に二日分まとめて作成したうちのものですが、二十八日夕方放送の関西テレビ放送系列『スーパーニュース・アンカー』にて、独立総合研究所の青山繁晴氏が同じようなことをおっしゃったそうです。二十五日に大阪府八尾市(特定失踪者問題調査会常務理事である三宅博前市議会議員の地元)で開催された拉致問題総会で発言されたようですが、そこでは野田首相の密使が第三国で極秘に交渉したのは朝鮮労働党統一戦線部だと明かしておられます。
また、内容は「再調査の開始」に留まり、会見でそう発表するのは投開票日の三日前ではなく前日を狙っていたようで、しかし青山氏の発言の影響で官邸はそれを断念したようだとも伝えておられました。まだどうなるかは分かりませんが、青山氏も私も決して今回の日朝協議はまったく評価に値しないどころか再度国民を危険にさらすものという点で一致しているようです。
→十二月三日記事へつづく。