祈願祭ならぬ悲願祭だった

皇紀2672年(平成24年)4月17日

 南朝皇居の歴史を有する世界遺産の吉水神社(奈良県吉野郡吉野山)は十五日午前、北朝鮮によって拉致された被害者の即時帰国を祈る「桜の吉野祈願祭」を執り行い、横田滋さんと横田早紀江さんが参列されました。

 また、南出喜久治弁護士や西村眞悟元防衛政務次官、三宅博前八尾市議会議員(特定失踪者問題調査会常務理事)、市村浩一郎元国土交通相政務官、杉本延博御所市議会議員らが参列され、佐藤素心宮司より恐縮ながらお招きをいただき私も祈願しました。

 http://blogs.yahoo.co.jp/yoshimizushrine/61851299.html
 ▲世界遺産の吉水神社から「ニコニコ顔で、命がけ!」:「桜の吉野祈願祭」拉致被害者の奪還の悲願祭

 以前にも吉水神社を参拝しましたが、私の無知で桜の季節にこれほど吉野山のすべてが大混雑するとは思いもよらず、それは午後からの署名活動をお手伝いしようと午前から参列予定だった拙研究所の研究員たちが祈願祭に間に合わず、私も帰りは歩いて下山した(ケーブルカーに乗れなかった)ほどです。皆様、本当にご苦労様でした。

 しかしながら、美しい桜の名所を訪ねる多くの参拝客が署名してくださり、横田さんご夫妻に温かいお声をかけておられるのを見て、私は「やはり拉致事件の即時全面解決は国民的悲願と申して過言ではない」との想いをあらたにした次第です。

 横田さんご夫妻ら参列者の前で、私は以下のことを申しました。

 「拉致被害者は、横田めぐみさんが拉致された昭和五十年代当時ヴァイオリンケースを抱えて国鉄の列車に一人で乗っていた私だったかもしれない、決して皆が他人事にはできないという想いが常にある」
 「核兵器を保有したと宣言している北朝鮮より、米国の情報当局者が『義蘭(イラン)の核開発について、北朝鮮と共謀して核兵器を製造しようとしている証拠は何もない』と言っているにもかかわらず義蘭のほうを叩くことに執心する国際情勢に、わが国政府が抗し得ないのはなぜか」
 「わが国は拉致事件を未解決のまま北朝鮮(犯人)に放置されており、国際社会の孤立を恐れて(これ以上孤立しようのないほど孤立しているのは北朝鮮なのに)、或いは核や弾道弾の問題と拉致問題とは別であるとの屁理屈に押しやられて強く非難しない理由など本来まったくない。わが国一国では対処できない、非難の旗振りをしてはならないという思い込みがある」
 「それらの理由は、すべて占領憲法(日本国憲法)を「憲法」と呼んできたことにある」

 憲法については、南出氏からお話がありましたから多くを申しませんでしたが、私はおもわず途中で言葉に詰まってしまったほど、横田さんご夫妻の「手弁当で一所懸命に活動してくださる皆様に申し訳がない」「もうこれ以上このような運動はしたくない」「早く『ありがとうございました』という会でも開いて終わりにできれば……」とのご発言が頭から離れませんでした。北朝鮮を擁護してきたような連中には問うだけ無駄ですが、拉致事件を献金や寄付の糧にしてきた「改憲右翼」の政治家や政治活動家たちはどうお考えでしょうか。

 占領統治以来わが国が国家のかたちを取り戻していない中、交戦権もなく外交ができるはずもありません。たった五人が帰国して北朝鮮に終わりにされ、それから何も進展しない最大の理由はそこにあります。

 横田さんご夫妻をこれ以上辛く苦しめておいてはなりません。皆が好き勝手を言い始めて可決も成立もしない改憲やら創憲で「日本が救われる」など妄想そのものであり、一刻も早くわが国は正気を取り戻さなくはならないのです。

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