東京地検と地裁がミスった

皇紀2683年(令和5年)12月28日

人気うなぎ店「炭火職人うなみ」産地偽装か 外国産を「三河産」家宅捜索:中日新聞Web

愛知県西尾市の人気うなぎ料理店「炭火職人 うなみ」が、中国、台湾産のウナギを三河産として、店で客に提供していたことが分かった。男性店主…

(中日新聞社)

 この不正競争防止法違反容疑について、私たち国民が、わが国政府が自らの問題として考えなければならないことが二点あります。

 一つは、菅義偉前首相が総務相時代に旗を振って導入された「ふるさと納税(寄付金控除)」自体が地方税法を歪めたものであり、平成二十年五月の施行前年に石原慎太郎東京都知事(当時)が「税体系としてナンセンスだ」と指摘した通り、都市部の税収減を懸念したとはいえ告知期間を経て廃止しなければならない制度です。

 いわゆる「返礼品」が地方創生に繋がった事例も存在しますが、残念ながら好例と申せるのはあまりに少なく、実際には高額商品の設定に各地方自治体も苦労しており、愛知県西尾市の鰻料理店のように「返礼品を優先するため」肝心の店内提供の品質が疎かになるなら、今回の事件がそのまま制度限界を示しています。

 もう一つは、なぜ鰻の産地偽装は繰り返されるのかということです。国内に於ける鰻の養殖は、既に台湾に、そして中共にまで負けてしまいました。

 その原因は、飼料の確保です。高品質の魚粉などで買い負けが起き、と言うより国内でその価値が正しく評価されないまま、今や「国産養殖」よりも明らかに台湾産養殖鰻のほうが味も品質も高いと言われています。

 鰻の調理にかけては「天下一品」と申して過言ではない料理文化を誇るわが国がこの有り様では、他の食糧に関しても言わずもがな、私たち国民はいつか、飢え死ぬかもしれません。向上を目指さなくてはならない食糧自給率を「支える部分(飼料や肥料など)」にまで目がいかないようでは、目標を達することができないのです。

 この種の報道に「騙すのはいけない」とか「国産がないなら仕方ない」などと言っている場合ではありません。それでは何ら問題が解決しないのです。

 鰻の養殖は、極めて難しいことで知られてきました。それでもわが国の研究者たちによって鰻の生態の解明に始まり、飼料の工夫、水質の確保などに取り組み、山の中でも(良質な井戸水を確保するなどして)養殖に成功した業者もあります。

 自然の恵みをいただくことへの感謝を忘れ、休耕田や耕作放棄地に太陽光発電パネルを設置しているようでは、わが国のあまりに低い食糧自給率は改善しません。大きく考えを改め、政府が内需回復策としても(諸案検討の上で)農林水産業の活性化計画を打ち出さねばならないのです。

 それを私たち国民の誰も求めなければ、このような事件は何度でも起きる、と覚悟しなければならないでしょう。

「捜査尽くさず」大川原化工機訴訟、都と国に1億6千万円の賠償命令

外為法違反(無許可輸出)罪などに問われ、後に起訴が取り消された横浜市都筑区の「大川原化工機」の大川原正明社長(74)らが捜査の違法性などを主張して国と東京都に…

(産經新聞社)

 さて、もう一つの懸念。東京地方検察庁の中でも占領統治軍(米軍)肝入りの特別捜査部(旧隠匿退蔵物資事件捜査部)は浮いた存在ですから無関係でしょうが、まさか自民党に対して「怨念を晴らす」と動いたのは、この件で地検自体が大きくしくじったからではあるまいな、と。

 左翼・極左暴力活動家たちは、国会でも日本共産党や立憲民主党がわめいたように、警視庁公安部の失態を大きく取り上げることに躍起になっていますが、確かに公安の捜査に(経験者は語るが)かなり強引な点もあるとはいえ、捜査方法の懸念が指摘されていたにもかかわらず起訴に踏み切った塚部貴子検察官の判断こそが冤罪となった諸悪の根源なのです。

 警察が逮捕しても、その時点では有罪でも何でもありません。ところが、起訴ともなると容疑者が被告となり、裁判で有罪か否かが判断される、と。執拗な拘置(人質司法)に進行癌が発覚した者の保釈すら認めないよう求めた地検も、認めなかった東京地方裁判所も大間違いを犯しています。

 仮に警察が専門知識に(当たり前だが)疎く、誤認逮捕をしたとしても、冤罪を防ぐ司法装置は検察と裁判所が存在しているのです。この事件は、それが全く機能しなかった典型事例であり、決して許されません。

 安倍政権と公安を結びつけて「怨念」に論点をずらしている限り、無実の人を死にまで追いやった冤罪もまた、何度でも起きるのです。

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