力で支配された民族の反撃

皇紀2674年(平成26年)5月23日

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/140522/chn140522……
 ▲産經新聞:ウルムチ、テロの死者31人 習主席、徹底封じ込め指示 中国新疆
 http://jp.wsj.com/news/articles/SB100014240527023039……
 ▲ザ・ウォール・ストリート・ジャーナル:米国から訴追された中国軍ハッカー5人の正体

 中共北西部の旧東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)ウルムチ市内の朝市で二十二日に起きた爆発事件は、これまでで最大規模の被害をもたらし、まずは亡くなられた方にお悔やみを申し上げ、けがをされた方にお見舞い申し上げます。

 破壊活動(テロリズム)は、いかなる理由があろうと決して許されません。それを大前提としても、入植した漢族たちであふれかえる朝市が攻撃の対象になり、習近平国家主席がウイグル族による再独立運動への締めつけを指示してから間もなくだったことを考えますと、かつて中共共産党に侵略、併呑された東トルキスタンとチベットの不満は、経済的事由を発端に、最高潮に達している事情を無視できないのです。

 シリアやウクライナに反体制の動きを創出すべく、武器弾薬を提供した疑いの強い米国が、なぜ中共には裏で介入しないのでしょうか。それは恐らく、米中の経済関係以外の理由を申せば、特に東トルキスタンの独立派が回教徒であり、過激派の流入が疑われるからでしょう。

 中共は近ごろ、世界各国で回教原理主義の一部過激派が起こす事件に対し、わざわざ非難声明を出すようになりました。これは、自治区への締めつけを正当化し、テロとの戦いにおける欧米との共闘に見せかけ、主に米国を牽制しています。

 その米国が、絶対に中共を許さないとしている分野が「サイバーテロ」です。制裁を加える場合、表向きの動きが大きくなければ裏の手の効果は見込めません。だからウクライナ政変への欧米の制裁は、ほとんどしていないのと同じだと申しているのです。

 占領憲法(日本国憲法)下のわが国は、そもそも裏の手をまったく持ち合わせていません。たいてい独立支援は(琉球独立言論の背景を見ても分かるとおり)裏の手しか使えず、制裁とは違います。ですから私たちは、東トルキスタンにもチベットにも、侵略された状態からの解放を後押ししてあげられないのです。

 ただし、中共内部の問題は、原則として私たち日本民族の手に負えないほど強烈な権力闘争を伴います。米国は国民党を信じて日本を叩いた結果、まんまと共産党の台頭を許し、中曽根康弘元首相は胡耀邦総書記に肩入れして、靖國神社参拝を外交問題にされてしまいました。

 それでも、共産党に力で支配されたウイグル族やチベット族が、今度は自分たちの力で自らを解放しようとしていることに、私たちはどのような形ででも支援の声を届けたいと思います。

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差し止め判決乱発の司法

皇紀2674年(平成26年)5月22日

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140521/biz140521……
 ▲産經新聞:大飯原発運転差し止め、再稼働の地元同意に影響か
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140521/trl140521144……
 ▲産經新聞:自衛隊機の夜間飛行差し止め 厚木基地の第4次騒音訴訟で初判断 横浜地裁

 関西電力大飯原子力発電所三、四号機(福井県おおい町)の運転差し止めを認めた二十一日の福井地裁判決(樋口英明裁判長)は、私が十七日記事「深刻な『美味しんぼ』問題」で述べた「政府の不作為がもたらした私たち国民の漠然たる不安」が基礎となり、判決に際して原子力の専門家に意見を求めたのかどうか怪しい点はあるものの、やむをえず下されたといえます。

 これを覆し、あくまで現行軽水炉型原発に依存し続けるというのなら、よほど政府主導で危機管理を再構築し、東京電力福島第一原発の事故対応について、適切な情報公開とともに迅速に進めなければならないでしょう。安倍政権の大きな課題の一つです。

 しかし同日、米海軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(神奈川県大和、綾瀬市)の第四次騒音訴訟の横浜地裁判決(佐村浩之裁判長)は、少しばかりの「安全保障の専門家に意見を求めたのか」という疑問では済まないほど、司法による行政権の侵害以外の何ものでもありません。

 米軍機はお咎めなしで、海自機の飛行だけを差し止めるという茶番は、従前の司法判断(政府の支配が及ばない第三者の行為という認識)の枠を超えておらず、その第三者(この場合は米軍ではない)がわが国の領空・領海内を侵犯する行為に対し、国民に被害が及ばないよう情報を収集して対応しなければならないとするのが内閣の有する行政権なのです。

 海自の対潜哨戒機「P3C」や「P1」は、厚木基地が拠点であり、彼らは今まさに中共公船による侵犯がないかどうか、絶えず哨戒しています。侵犯が「ほどよい時間帯」に限られるわけなどありません。

 佐村裁判長は、差し止めの条件に「特に防衛相が必要とする場合を除き」と添えていますが、一般論としての騒音に的を絞って人格権だけを争点にしたのは、あまりにも国民全体の生命の軽視、ひいてはそれが多くの国民の人格権を侵害するという視点を欠いています。

 哨戒機などの飛行音を、個人に対する何かの嫌がらせを目的とした騒音と同列に裁こうとする司法の未整備は、実のところ占領憲法(日本国憲法)有効論という立法による最悪の不作為が原因です。私たちはもうこれ以上、憲法論議での沈黙を許されないのです。

露中首脳会談、両国の本音

皇紀2674年(平成26年)5月21日

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/140520/chn140520……
 ▲産經新聞:中露首脳会談、中国“援軍”プーチン氏を歓迎…孤立の中で「同盟」確認

 報道各社は「露中の蜜月アピール」というような伝え方に終始していますが、基本的には昨年三月二十四日記事「露中の『蜜月』報道はウソ」で申した状況に変わりはありません。ただ、昨日記事で申したように、ここ数ヶ月の劇的な変化は、ウクライナ政変があったことです。

 ウラジーミル・プーチン大統領は上海市で、習近平国家主席だけでなく、江沢民元主席とも会っています。これも「蜜月アピール」に拍車をかけているのですが、いわゆる「上海閥」の習主席側が自らの体制強化(権力闘争の勝利宣言)のために江元主席を担ぎ上げて設定した会談に過ぎません。

 まして、露国にとって最も重要な露産天然ガスの売買契約は、結局合意に至りませんでした。プーチン大統領は、露中連携で新たにパイプラインを建設する気などほとんどなく、そのようなことをすれば、平易に申しますと露中国境紛争のようなものを起こされて面倒なことになる、中共とはそういう国だ、と理解しているのです。

 共同声明の文言をめぐり、中共側が執着した「歴史改竄と戦後秩序の破壊に反対」も、プーチン大統領の興味を一切ひいていません。どうでもよいことだったからこそ彼は、日本や独国の名指しを避けるよう調整させています。

 一方、ウクライナ問題に対し、米国も欧州各国も積極的に露国へ制裁を加えているとは申せません。北大西洋条約機構(NATO)軍も動いておらず、実のところ露国は日欧米から非難声明を出され(口だけで)、大して痛くも痒くもない経済制裁を受けているだけなのです。

 欧州各国の本音は、露国からのエネルギー供給に悪影響がでるような対露外交に踏み切りたくないのであり、プーチン大統領はそれを知っています。次なる供給先はあくまで、経済信用度が高くて米国の牽制材料に使える国、すなわち日本です。

 それでも中共はわずかな隙を見逃さず、露国に恩を売るつもりでしょう。ただちに効果がなくてもよいのです。こうして楔を打ち込んでいくのが中共のやり方だということを、私たちも忘れてはなりません。

【追記】
 露中両首脳は結局、パイプライン東ルートにて露国が中共に天然ガスを提供する協力覚書と天然ガス売買に関する契約書に調印しました。プーチン大統領は、いざとなれば供給を止める外交カードを手にしたつもりでしょうが、くれぐれも注意が必要でしょう。

中共軍幹部の発言のウラ

皇紀2674年(平成26年)5月20日

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/140516/amr140516……
 ▲産經新聞:「中国が問題を創出しているのではない」 中国軍総参謀長が米で日本、ベトナム批判

 訪米した中共共産党人民解放軍の房峰輝総参謀長は、マーティン・デンプシー統合参謀本部議長との約五十分間の共同記者会見で、大部分を日本批判に費やしました。

 彼は、「亜州の安全を脅かしているのは日本(?)であり、再び米中(??)が手を組んで日本の『軍国主義』(???)を叩き潰すべきだ」と述べていますが、誰の目にも「頭のおかしな発言」であることに間違いはなく、ここまでおかしいとかえって異常と思われるだけだ、と考えるのが正常でしょう。

 しかし、房総参謀長はすべて分かった上で発言しているばすです。

 デンプシー統参議長は彼に対し、ヴェト・ナムやフィリピンに対する挑発行為をやめるよう、この場で繰り返していますが、中共は昨年末からわずか三ヶ月前まで日米関係が悪化していたことと、四月のバラク・オバマ大統領の訪日までに日米関係がよくなったことを知っています。

 まず悪化した理由は、安倍晋三首相の靖國神社参拝時期をめぐって、ジョー・バイデン副大統領が恥をかかされたためであり、よくなった理由は、三月に入って露国のウラジーミル・プーチン大統領によるクリミア半島への介入(併合)表明に起因し、米政府は「安倍日本」より露国のほうがはるかに許せなくなったためです。

 房総参謀長は、国防総省を含む米政府および連邦議会内の親中派に対し、「安倍日本が許せなかった感情を思い出せ」とでも言っているのでしょうか。とにかく、彼はこの莫迦げた発言の形をとって、「日米関係に再び亀裂を走らせようとすることを、中共はまったく諦めていない」と表明したのです。

 そこには、安倍・プーチン両首脳が構築した日露関係の破壊と、露中(本当はエネルギー)連携にとって最大の障害である日米関係の破壊をもくろむ作戦が見えており、そのためであれば、たとえ「異様なまでの他国へのなすりつけ」「己の所業の恥ずべき棚上げ」発言であっても構いません。これが中共のやり方です。

 米国は、露中に反撃していません。もはやオバマ政権では無理ですから、わが国が本物の憲法(大日本帝國憲法とその改正)を取り戻すことについて、いよいよ米国が「お願いします」と言わなければならない時が来ているのです。

創価学会に何があったのか

皇紀2674年(平成26年)5月19日

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140517/plc140517……
 ▲産經新聞:【集団的自衛権】 創価学会「改憲経るべきだ」 行使めぐり見解

 カルトの宗教法人が、いよいよ政治に直接口を出してきました。

 しかし、どうもこれが妙なのです。創価学会の「永田町実働部隊」である公明党が存在する限り、「信濃町本部」が表に出てこなくてもよいはずであり、これまでも憲法や安全保障、社会福祉などの問題で公明党が「意地を張る」からには、創価学会の意向が強く反映されているのだろう、と誰の目にも明らかでした。

 では、なぜ今回、極めて異例の見解表明に至ったのでしょうか。

 学会が「党の山口那津男代表を辞めさせたがっている」という話は、もう随分前に聞いたことで、今もそうなのかは知りませんが、集団的自衛権の行使容認をめぐる自民党との「八百長試合」の行方に、学会は不満を抱いているのかもしれません

 とはいえ、本当はこの問題がどうなろうと、学会は何の関係もないはずです。公明は「平和と福祉の党」といわれていますが、それは表向きの顔であり、前例を申せば小泉政権下でイラクへの自衛隊派遣を止めませんでした。私でさえ、と申すのも変ですが、反対の論陣を張ったのに。

 宗教法人に対する不文律といえば、個別の政治課題に口を出させないことであり、まして与党の母体となれば政府に与える影響力が強いわけですから、余計に意見させてはならないのです。

 創価学会は、このたった一度の過ちで、あらゆる「パワーバランスの輪」からつまみ出されることになるかもしれません。むしろ、本当は彼らにとってどうでもよい問題で、罠にはめられた可能性すらあるのです。

 では、一体何者たちが学会を罠にはめようとしたのか、そして何を得るのか、ということでしょう。

 それはまだ分かりませんが、占領憲法(日本国憲法)の改正派が護憲を主張して解釈だけを変更しようとしている背景に、よからぬ動きがあるのは間違いありません。