トルコ大規模デモ、なぜ?

皇紀2673年(平成25年)6月5日

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/130604/erp130604……
 ▲産經新聞:トルコ、24万人規模のスト突入 反政府デモ拡大 野党党員1人死亡

 野中広務元官房長官や仙谷由人元官房長官らが訪中し、沖縄県石垣市尖閣諸島の係争化(棚上げ論の蒸し返し)を中共共産党幹部らと確認しあったとか何とか、といった報道に触れても、皆様はほとんど心配する必要はありません。

 野中氏も仙谷氏も現政権と一切関係のない人たちです。彼らの言動は日中関係のいわゆる「瓦斯抜き」に過ぎません。

 仮にも安倍晋三首相の親書でも携えた自民党の高村正彦副総裁が「中日関係が……」などと話し出せば多少緊張も走りますが、中共側とて本気で彼らと話し合ってはいないでしょう。このような体裁が欲しいだけです。

 さて、土国(トルコ)では四日、首都イスタンブル中心部のタクシム広場にあるゲジ公園の再開発計画反対に端を発した抗議運動がついに二十四万人規模にまで膨れ上がり、野党・共和人民党の男性党員が死亡しました。

 この日は公務員労働組合連盟も運動に参加し、二日間の公業務中止という抗議手法に出ることを発表しています。私は本来、公務員が労組を結成して政治活動をすることに反対ですが、日土の大いなる違いは、土国の公務員は国旗を掲げて政府と戦うことでしょう。

 わが国の自治労や日教組の政治活動で、私は国旗を見たことがありません。一体彼らはどこの国の公務員で、誰のために、どこの誰と戦っているのでしょうか。

 わが国の報道では、約十年間に渡って高い支持率を誇ってきた公正発展党のレジェップ・タイイップ・エルドアン首相が急速に回教化を進めており、国父ケマル・ アタテュルク以来の「世俗派(単純に申すと徹底した政教分離原則)」がこれに対抗し始めたという構図を伝えていますが、決してそれだけではありません。

 回教徒としての暮らしを徹底することがいわば「保守的または復古主義的」で、酒類の販売禁止などに反対することが俗に「革新的または個人主義的」というのではなく、前段で申した通り土国の世俗主義は建国以来です。そちらのほうが彼らの「国体」のかたちに違いありません。

 確かにきっかけは多目的施設の建設計画に反対することであり、抗議していた老人や女性に過剰な暴力をふるって排除しようとした警察官の様子が広く伝えられたことへの不満でしたが、俗に言う「首都圏の知識層」は、エルドアン首相の極端な合理主義と外国資本流入の促進によって、むしろ伝統的な街の風景が失われ始めていたことに強い危機感を抱いていました。

 つまり、これは「中東の春」というより泰王国(タイ)でかつて起きた「反タクシン」行動によく似ているのです。新自由主義の導入で国体の破壊をも目論んだタクシン・チンナワット元首相を非難したのも、やはりバンコク都内で活躍していた知識層でした。

 この構図を理解した上で私たちは土国の行方を見守り、エルドアン首相に対して穏便な対応を求めることがわが国政府の役割の一つです。日土関係がこれからも親密であるために。

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『トルコ大規模デモ、なぜ?』に3件のコメント

  1. ウチヤマセンニュウ:

     野中氏の発言は田中元総理を侮辱した発言でしょう。尖閣棚上げ論は闇に包まれている現状では元総理としては触れて欲しくない、失政だったと思うからです。
     遠藤先生がガス抜きだから問題ないとのご感想ですからその通りだろうと思います。ただ自民党政治の中心人物だった者ども、野中、加藤、古賀等々が日本の政治を担っていた事が極めて悲しい事です。
     言論の自由はあります。ただ、元政治家が発言する場合、現政権に反対意見を述べるならばそれなりの責任と立場を弁えるべきなのです。自民党を離党宣言することもなく、赤旗に寄稿したり中国で日本の立場と異なる意見を発表したりする厚かましさは、人間としてどうなのでしょう。
     筋を通す政党であると述べている共産党が、筋を通すことも出来ない輩の意見を記載する等は、まともな考えであるとは到底思えません。主義主張の大切さを顧みることもない者どもにより、日本国の有り様さえも否定し、日本国を貶めるだけの政治屋集団に成り下がったことが極めて嘆かわしく思います。
     野中氏に連れられて現自民党議員も混じっているとの情報もありますが、その選挙区の有権者は次回選挙の折、しっかりご判断頂き、議員として絶対認めぬご判断を願いたく存じます。
     

  2. 愛信:

    あまくさチャンネル

    感動のインターネット動画紹介・制作発信局明るい天草の未来をみんなで作る、新しい形のインターネット動画発信基地

    世界中が感動した東日本大震災後の日本人のあり方!
    http://www.youtube.com/watch?v=vlUhd4xof4g&feature=youtu.be
    ブータン国王と同じく、世界中の人たちが東日本大震
    災後の日本人のあり方に感動しました。
    なぜ、日本では略奪、暴動が横行しないのか?
    なぜ、水の配給に列を作って何時間も並ぶのか?
    日本人以外考えられない…!
    と世界中が、未曾有の大震災後の日本人の行動に感激しました。その時、世界銀行や国際通貨基金の
    スタッフの間から世界中に広まったチェーンメールが「日本に学ぶ10のこと」です。
    そのメールの本文を読んで感動して、思わず映像化してユーチューブに1年前にアップしました。
    よろしかったら、ご覧ください。

    歴史に残る2012年春の高校野球宣誓
    http://www.youtube.com/watch?v=OIe8PoVnjkU&feature=youtu.be
    2012年春の選抜高校野球大会の石巻工業高校阿部将人君の宣誓文を聴いて、波が込み上げてきました。
    解説は不要ですね。とにかくお聴きください。

    詳細は
    【世界の皆が見守る被災地の掲示板】最新版をカッチとね
    http://www.aixin.sakura.ne.jp/axths/jht/jht0.cgi

  3. ゆき:

    日本は中東に関しては米国の「国務省」に意見を頼っていると思う。最近シリア反政府軍を支援する声明を出したのもそうだ。アサドのバックには友好国のイラン、ロシアがついているから。
    トルコは世俗主義を取っている国家。隣国イランは原理主義、だからといって西側の制裁に加わるわけでもない。イランとの石油売買の取引を金でしている。その一方でイラク戦後すっかりシ-ア派に傾いたイラクで副首相がスンニ-派であるため、身に危険を感じてトルコに亡命を求めてくれば、入国させている。微妙なバランスの舵取りをしているようだ。
    シリアを取材したアジアプレスの女性ジャ-ナリストのルポを先日聞きに行った。クルド地区の限られた取材であったが、政府反政府軍ともに陣取り合戦をしているだけで、この内戦にどちら側にも正義はないと言っていた。
    アサドが敗れても抗争は続くだろうと。反政府軍にはイラクへ義勇兵として馳せ参じた若者が少なくない。
    アサドはシリアで数少ないシ-ア派、反政府軍はスンニー派が多く、あるキリスト教徒に言わせれば、原理主義を持ち込みそうなスンニー派よりは、アサドの世俗主義の方に幾分安心できる。
    会議も反政府側がアサド退陣を前提としているため、開かれることもないという。